イベントレポート
CEATEC 2019
非可聴領域の音で情報受信する「SoundUD」、テレビのリアルタイム字幕化も実現へ
2019年10月17日 07:00
10月15日~18日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されている「CEATEC 2019」の会場では、実は人間の耳にはほとんど聞こえない音が飛び交っている。これは、人間の非可聴領域の音を流して、それを受信できる機械上で特定の情報を引き出すトリガーとする「SoundUD」という仕組みを利用するためのもの。「おもてなしガイド」などの対応するスマートフォンアプリを使えば、会場のあちこちでその場所に最適な情報を受信できる。
SoundUDは、すでにさまざまな企業によって、日本全国で活用が始まっている。今回のCEATEC 2019の会場では15カ所の展示ブースと連携しており、SoundUD対応のスマートフォンアプリを起動した状態で各ブースに近づくと、そのブースの展示内容などの解説が表示されるようになっている。SoundUDが用いる非可聴領域の音は一般的なスピーカーで再生できるため、こういった展示会のようにブースごとにスピーカーがある環境では、SoundUDの実現のために追加のコストがかからないこともメリットだ。
エイベックスが紹介していた対応アプリでは、解説が表示されるのに加えて、その内容を音声で読み上げる機能も備えている。京急などでは駅構内のアナウンスなどで同様の仕組みを使っているほか、この10月には和歌山県友ヶ島を舞台に、要所でSoundUDを活用したガイドコンテンツを提供するアートイベント「ヤミツク ~くらやみのいきものに関する研究結果展~」もスタートしている。
サイマルラジオ配信のRadikoも、同じく10月のアプリアップデートで、SoundUDによる情報提供を開始した。CEATEC 2019会場の15カ所のガイドを表示できるだけでなく、10月現在は渋谷センター街で情報を受け取れるという。今後、ラジオ番組の内容とリアルを結び付けるような活用方法も期待できそうだ。
SoundUDのそもそもの開発元であるヤマハは、テレビ局と連携した、番組音声のリアルタイム字幕化に向けた取り組みを紹介している。これは、生放送番組で出演者がしゃべった言葉をクラウド上で音声認識してリアルタイムにテキスト化し、視聴者のスマートフォン上でそのテキストを表示するというもの。
SoundUDが使われるのはテレビのスピーカーと視聴者のスマートフォン間の音の送受信部分で、視聴者が今どのチャンネルを受信しているかの判別に用いる。これにより、現在、各放送局が多大なコストをかけている手作業の半リアルタイム字幕化の仕組みを置き換えるだけでなく、同時機械翻訳により多言語にも対応することから、日本在住の外国人や観光で訪れている訪日外国人にとっても便利なシステムになる。
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