イベントレポート
CEATEC 2019
「気圧計で機材管理」から「フリスク大でワイヤレス給電」、「乳児のお昼寝時の突然死防止」まで………中小企業の知られざる技術力にも注目!
「東京ビジネスフロンティア」ブースレポート
2019年10月16日 13:55
10月15日~18日に幕張メッセで開催されている「CEATEC 2019」。イベントでは大手企業のブースが目立つが、中小企業のユニークな展示も見逃せない。日本全国の中小企業20社の展示が集まる「東京ビジネスフロンティア」のブースは、特にそういったユニークな展示に出会えそうだ。
東京ビジネスフロンティアは、東京都、東京商工会議所、東京都中小企業振興公社など6団体からなる中小企業世界発信プロジェクト推進協議会が、中小企業の展示会出展・販路拡大などを支援する枠組みとして展開している事業の柱の1つ。同協議会が選定した、中小企業の選りすぐりの技術をチェックできるわけだ。ここでは、そのなかから5社をピックアップして紹介したい。
乳児のお昼寝時の突然死を防ぐ、保育施設向けアプリ「ホイミン」
キャスレーコンサルティングが開発したのは、保育施設での利用を想定した0〜1歳の乳児のお昼寝時のアクシデントを防止するアプリ「ホイミン」。すでに医療機関などで利用されていた高精度ピエゾセンサー2個を内蔵するマット型のデバイスを改良し乳児向けに特化させたものと、このアプリを組み合わせて利用することで、保育施設におけるスタッフの負担軽減を図るものだ。
マットの上、もしくはその周囲で寝ている乳児の動き、具体的には「呼吸に伴う子どもの体動」と「心拍を含む微振動」を1秒間隔で検出し、異常を検知した場合はアラームで警告する。アプリ側ではこれらのデータを5分間隔で記録しており、保育施設のスタッフが乳児ごとの寝ている向きなど、保育上必要な記録を手動で残せるようにもなっている。国内ですでに3,000枚程度が販売されており、アラームが頻繁に鳴る子供を病院に連れて行ったところ、持病の発見につながったという成果も出ているとのこと。
フリスク大でも広範囲に電力供給、独自のワイヤレス給電システム
独自のワイヤレス給電システムを展示していたのはマスデンテック。極小の給電装置で磁界を発生させ、同じく極小の受電装置で比較的広範囲まで電力供給を受けることができる。現在スマートフォンでも使われているワイヤレス給電のQiでは、給電装置の小型化が難しく、ホットスポットから少しでも外れると充電されない問題があるが、同社のシステムは給電装置がフリスクのケース程度の大きさで、10cm程度離れていても給電される。給電装置と受電装置の間に中継機を設けることで、さらにその範囲を広げられるようにもなっている。
ブースでは、鉄道模型のレール部分を給電装置とし、受電装置を搭載した鉄道を走らせるデモや、中継機を介して給電装置から20cmほど離れたところにあるモーターを回すデモなどを行なっていた。
最大出力は法律上許可の出る範囲であれば50Wまで可能だとし、技術的にはkWレベルの出力も可能だという。大手自動車メーカーの展示物などに活用されるなど、実用化も進んでいる。
数百メートル先でも読み取れる「XPANDコード」省スペース&スタイリッシュな棒状2次元バーコード
遠くからでも読み取れる2次元バーコード「XPANDコード」を開発しているのは、XPAND社。現在一般的なQRコードのような正方形の模様ではなく、横長のバーコードをさらに細長くしたようなイメージで、数百メートル離れた場所からでも読み取れるのが特徴の1つ。読み取りには専用アプリが必要になる。
正方形にスペースを取らないため、これまでQRコードを掲示しにくかった場所でも利用しやすい。基本的にリンクデータを含んだ形で、専用サーバーにアクセスして情報を取り出すことから、情報量の多いデータの表示にも向いている。ユーザーがスマートフォンのカメラで読み取るときは、傍目からは何をしているのかわかりにくため、QRコードよりもプライバシー性が保たれるのもメリットだ。すでに北海道のバス停などでの利用実績があるという。
機材管理を確実に、かつ効率的にするRFIDソリューション「工具ONE」
セールスワンは、業務で使う細かな機材の管理に便利な「工具ONE」というRFIDを活用したソリューションを展示している。機材1つ1つに専用のタグを貼り付け、その情報をデータベースに登録しておくことで、専用リーダー端末でそれらが周辺に存在しているかどうかを一括で調べられる。工具ONEという名前ではあるものの、用途は工具類に限定されているわけではない。
リーダーはハンディ型以外にも据え置き型も用意。据え置き型を部屋の出入り口に設置しておけば、機材の持ち出し・持ち込みのタイミングでその機材の動きを把握できるようになる。機材の形状、大きさに合わせてタグはカスタマイズしており、その数は40〜50種類ほど。すでに国内外の80社以上に採用され、放送機材、営業車両、消化器、施設の鍵、さらには盗難に遭いやすい神輿の部品などにも使われているという。
気圧センサーで機材の場所を把握、ビル建築向けの「mono-tracker」
また、ビル建築向けの特化した機材管理システム「mono-tracker」もTACK&Coが展示していた。
「建築現場では現場の状況がどんどん変わっていくため、ビーコンを利用した機材管理システムは利用しにくい」(同社)にもかかわらず、「あの機材はどこにある?」といった問題が度々発生、そのたびに捜索時間がかかってしまう、という問題あるという。同社では、これを解決するために、気圧計とLPWA通信を組み合わせ、「機材の高度」(=存在するフロア)をクラウド経由で把握するシステムを構築したとする。
誤差は間もなく±1~1.5mを実現できる見通しで、「実質上、1フロア分の誤差は発生しない」(同社)のが特徴。
透明にもなる!「窓ガラス貼り付け型LEDディスプレイ」
アクシアが開発したのは、窓ガラスをデジタルサイネージにしてしまうシート型のLEDディスプレイ。消灯時は向こうが透けて見えるが、点灯すると鮮やかな発色で映像を映し出す。耐候性はないため屋内設置用となるが、建物の内側から窓ガラスに貼り付け、屋外に情報発信する用途で活躍する。
シート型のため、一般的なデジタルサイネージより薄く、軽量で、場所を取りにくく、設置場所の自由度も高い。曲面ガラスでもある程度までなら貼り付けが可能で、LED 1つ1つの発熱も低く抑えられていることから、冷房や空調のコストアップなども考えずに済む。440×800mmのシートを複数枚組み合わせて大きなディスプレイを形作る仕組みで、サイズにも特に制限はない。2019年10月末から渋谷区内で本格導入が始まる見通しとのこと。
そのほか、様々な製品が展示中5Gスマートフォン向けのシールドボックスや、超音波モーターなど……
東京ビジネスフロンティアブースでは、合計20社が出展しており、上記の他にも様々な製品やサービスが体験できる。ブースとしてはコンパクトにまとまっており、気になるならば見に行ってみるのもいいだろう。
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