イベントレポート

CEATEC 2019

2030年の家と街はこれが当たり前!? 建設会社の未来を見据えた取り組み

「Society 5.0」をテーマにしたエリア

 10月15日~18日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されている「CEATEC 2019」では、日本の大手建設会社の多くが出展している。その会場のなかでも、政府が推進する「Society 5.0」をテーマにしたエリアにはいわゆるゼネコンのブースが集中しており、Society 5.0の具現化の1つの目安となる2030年の社会をイメージした展示となっている。ここでは、株式会社竹中工務店と戸田建設株式会社のブースを紹介する。

竹中工務店、モデルハウス「EQ House」

 2030年に向けた展示とはいえ、竹中工務店はすでに実現している最先端の技術を駆使したモデルハウス「EQ House」を紹介している。メルセデス・ベンツ日本のEVカー「EQ」の名が付いたこの建物は、メルセデスのショールームとして2019年3月13日にオープンしたもので、約2年間限定で公開される。

竹中工務店のブース

 特徴的な模様が施された外壁は、白いアルミ製のパネル1200枚を二重に貼り合わせて形作られており、模様に見える隙間から屋内に光が差し込むようになっている。この模様は、時刻や季節ごとの太陽光の角度などを綿密に計算したうえで、生活するうえで常に最も快適な照明、空調とコスト低減を実現した空間ができあがるよう、シミュレーションした結果が反映されたもの。

 屋内にあるガラスは液晶ディスプレイとしても利用でき、タッチすることで家やクルマに関する情報が得られる。屋内外に設けられたスマート機器や各種センサーとも連携し、居住者の家電の操作や過ごし方などを学習してその人により合った空間づくりをしていく「成長する家」となっているのもポイントだ。

モデルハウス「EQ House」の模型
外壁は白いアルミ製パネル1200枚とガラスからできている
実物大のパネル
太陽光の差し込み方をコンピューターシミュレーションし、パネルの模様を最適化
このショールームは現地で誰でも見ることができる
建設時にはパネルの設置位置などをMRで合成して見られるようにし、効率化とミス防止に役立てた

戸田建設、洋上風力発電施設で電力+水素

 2030年の都市のあり方を提案しているのが戸田建設のブース。将来的な人口減が見込まれる日本では、既存の拡大していくだけの街づくりの仕方ではさまざまな面で非効率になると考えられている。そのため、街をコンパクト化し、エネルギーに電力+水素を利用して、高効率な生産が可能な農業施設を運営する、というのが戸田建設の考えだ。

戸田建設のブース

 同社がすでに日本国内で5基運用している洋上風力発電施設では、単純に発電するだけでなく、余剰電力で水素を生成し街の外で販売することで、街の電力をまかなったうえで街としての新たな収入源を得られる仕組みとなっている。また、茨城県常総市で運用しているイチゴ栽培のビニルハウスにおいては、採光性を高めた構造とセンサー類を駆使したオートメーション化により、一般的なハウスより単位面積当たりの作付を1.7倍に拡大するなど、次世代の農業に向けた取り組みが進んでいる。

戸田建設のブース
2030年の街づくりの例。手前の離島の沖合で洋上発電し、電力を街に伝送。もしくは水素に変換して販売する
洋上発電の模型
断面を見ると、流されないようアンカーで海底とつながってはいるが、縦長の浮きで浮かべていることが分かる
洋上風力発電施設の模型を手作りできるキットも
来場したお子さんプレゼントしてくれるそう
ビニルハウス風にしつらえられたブース
右2列は実際に茨城県の施設で栽培しているイチゴだという
栽培方法は変わっても味は変わらず甘く、おいしいはず
育てたイチゴは現地で生のイチゴ、もしくは加工品にして売られている
ドラえもんとコラボした「ほんトダ学習帳」

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