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今年「e-Taxを利用する予定」、青色申告者の約4割に。「税務署へ持参」を上回り最多
新型コロナ感染防止や「青色申告特別控除」の要件変更が後押し
2021年2月9日 11:10
令和2年分(2020年分)の確定申告が2月16日にスタートする。これを前に9日、会計ソフトなどを提供する弥生株式会社が「確定申告のデジタル化に関する意識調査」の結果を発表した。
確定申告を予定している全国の個人事業者1000人を対象に1月18日・19日にインターネットで実施した同調査によると、令和2年分の確定申告で電子申告(e-Taxでの申告)の利用意向ありと回答した人は、青色申告者の38.9%に上った(税務署や確定申告会場におけるインターネットでの提出は除く)。前年の確定申告で電子申告を利用した青色申告者は26.5%だったため、12.4ポイントの増加だ。弥生では、コロナ禍における非接触・非対面の浸透に加え、「青色申告特別控除」の見直しが後押しになっていると指摘している。
一方で、前年の確定申告書提出方法において31.6%と最多だった「税務署へ持参」は、今年の利用意向では22.7%と、前年から8.9ポイント減少。これにより、今年利用する予定の確定申告書提出方法として、電子申告が最多となった。
電子申告を利用する理由としては、白色申告も含む個人事業主全体のうち54.6%が「税務署に行かずに済むから」が回答。次いで「時間を気にせず手続きができるから」が44.7%、「青色申告特別控除65万円が受けられるから」が29.0%と続く。
一方、利用しない理由としては「ICカードリーダーを買いたくないから」が32.9%、「紙での提出に慣れているから」が31.5%、「マイナンバーカードを持ちたくないから」が26.2%の順。弥生では、事前準備や申告方法の変更の手間が阻害要因となっていると指摘している。
なお、電子申告の利用意向がないとした青色申告者のうち34.2%は「青色申告特別控除の要件変更を知らない」と回答。さらに「聞いたことはあるが内容は知らない」も含めると、66.3%に上る。
青色申告特別控除額の要件変更とは、令和2年分の確定申告から個人所得税の控除額が変更されたことに伴うもの。合計所得金額が2400万円以下の場合、基礎控除額が10万円増加して48万円になる一方、青色申告特別控除額は65万円から55万円に減額される。ただし、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存(仕訳帳・総勘定元帳)を行うと優遇措置が適用され、青色申告特別控除額は65万円のままとなる。
今回の調査では、電子申告の利用意向がない青色申告者の3人に2人がこの制度について正確に把握していないことが分かったことから、電子申告による事業者への優遇制度について周知不足が浮き彫りになったと弥生では指摘している。
このほか同調査では、証憑整理や取引記録を自動取込・自動仕訳をするインプット部分のデジタル化について、個人事業主の31.4%が利用意向を示し、前年の利用者の26.2%から5.2ポイント増加した。
コロナ禍や青色申告特別控除の要件変更を背景とした「申告書の提出部分」の電子化(e-Tax)とあわせ、クレジットカードや銀行明細の取引記録を自動取込・自動仕訳する機能が搭載された会計ソフトの普及により、証憑整理や取引記録にあたる「インプット部分のデジタル化」がそれぞれ浸透してきているとしている。
弥生では、青色申告の優遇措置などを含む、確定申告の基礎知識について解説したサイト「確定申告あんしんガイド」を公開中だ。