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Google渋谷オフィス開設から20年、アジア太平洋地域における同社の取り組みを振り返り

初の海外拠点誕生から「AlphaGo」まで

 米Googleは、同社初の海外拠点となる渋谷オフィスが開設されてから20年となる2021年9月1日に、同社のアジア太平洋地域における20年間の取り組みを「10の誇らしいモーメント」としてブログ「The Keyword」で振り返った。紹介されている10件の内容は次の通り。

1.シリコンバレーから渋谷へ(2001年)

 2001年に渋谷オフィスを開設。共同創設者であるラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン両氏が渋谷オフィスにいる写真とともに、最初の「わかりにくいオフィス」から、2019年より渋谷ストリームに設けた日本法人(グーグル合同会社)のオフィスに至るまでを、長い道のりだったと述べている。

開設当時の渋谷オフィスで、ラリー・ペイジ氏(左奥)とセルゲイ・ブリン氏(中央)

2.「G'Day」Googleマップ(2004年)

 オーストラリアのシドニーで、2人のオーストラリア人と2人のデンマーク人が新しいマッピング技術を開発。2005年にGoogleマップが誕生した。なお「G'Day」はオーストラリアで使われるあいさつで、「Good day」の略。

3.「Google MapMaker」とアジアのGoogle製品への影響(2008年)

 インドでGoogleマップに利用できる十分な質の商用地図がないことから、コミュニティが地図にデータを追加できるツール「Google MapMaker」をインド人エンジニアが開発。この後、フィリピン台風のような災害時などに、世界中で使われるようになった。

4.アジアにおけるデジタル経済の発展に貢献(2011年)

 シンガポールと台湾にアジア初のデータセンターを開設。以降、物理インフラへの投資を続け、ある調査によると、2010~2019年のGoogleのインフラへの投資は、合計4300億ドルのGDPに貢献、地域全体で110万人の雇用創出に役立ったという。

5.「江南スタイル」とアジアにおけるYouTubeの台頭(2014年)

 韓国のラッパーであるPSY氏が2012年夏にYouTubeに投稿した動画「江南(ガンナム)スタイル」が、2014年夏に20億再生を突破。K-PopアーティストがYouTubeを通じて世界の視聴者にリーチする最初の事例となった。

6.「FlappyBird」とアジアの新しいモバイル起業家(2014年)

 ベトナムのDong Nguyen氏が開発したゲーム「FlappyBird」が世界中でヒット。Google Payを通じて売り上げが生じた。今日、アジア太平洋地域はモバイルサブスクリプションやアプリマーケットにおいてはナンバーワンの地域であり、世界のオンラインゲームにおける収益源の半分を占めるという。

7.デジタルスキル普及のための新しいアプローチ(2015~2020年)

 インターネットへのアクセスが制限されている地域の人々へのデジタルスキル普及のための取り組みが、インドの農村地域に住む女性のデジタルリテラシー向上プログラム「Internet Saathi initiative」につながる。このような取り組みにより、2015~2020年の間に、アジア太平洋地域の5000万人にスキルトレーニングを提供した。

8.AIの可能性を示した「AlphaGo」(2015年)

 Google傘下のAI企業であるDeepMindが開発した囲碁AI「AlphaGo」が、2015年にプロ棋士に勝利し、2016年には科学雑誌「Nature」の表紙に。その後も、韓国のソウルで元世界チャンピオンの李世乭氏、中国の烏鎮で世界チャンピオンの柯潔氏に勝利した。AlphaGoは引退したが、洪水の予測や病気の診断などにAIを役立てる取り組みが進んでいる。

柯潔氏とAlphaGoとの対局の様子

9.デジタルの未来への投資(2017年)

 2017年に台湾のHTCと契約し、エンジニアリング能力を強化。以降のスマートフォン「Pixel」シリーズやスマート家電「Nest」シリーズの礎となった。ほかにも、インドネシアでライドシェア事業などを手掛けるGojek、インドの通信会社Reliance Jioなどに投資。Reliance Jioとは、インドの多くの人が手にしやすい手頃な価格のスマートフォンの提供に取り組んでいる。

10.アジアの多様な言語に対応

 2020年の時点で、Google翻訳はアジア太平洋地域の30を超える言語をサポート。アジア地域では、スマートフォンでタイプするよりも話すことを好む、つまりキーボードよりも音声アシスタントを利用するインターネットユーザーが増えているという。