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CEATECが19日開幕、8年ぶりに電機8社がそろい踏み、アドビやソフトバンクも
化粧品のポーラや、海外連携、22都道府県参加のセッションも
2021年10月18日 13:48
CEATEC 2021 ONLINEのメインイベントが、2021年10月19日からスタートするのに先がけ、主催者である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が記者会見を行った。
CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「ニューノーマル時代における新しい展示会の在り方への挑戦になる。オンラインだからこそできる情報発信の強化や、これまで以上の盛り上がりを作ることで、CEATECが社会において、より重要な役割を果たすことを目指す。未来に向けた新たな共創が、ひとつでも多く生み出されることを期待している」と述べた。
2度目の完全オンライン開催、8年ぶりに電機8社がそろい踏み
CEATEC 2021 ONLINEは、昨年に続き、完全オンラインで開催される。
今年の開催テーマは、「つながる社会、共創する未来」。スローガンは、「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC(CEATEC-Toward Society 5.0 with the New Normal)」を掲げている。
オンライン展示会場には、314社の企業/団体が出展。そのうち、海外からは20カ国/地域の85社の企業/団体が出展する。また、新規出展者数は128社/団体で、全体の41%を占めた。スタートアップ企業や大学研究機関は115社/団体。前年実績を超える10万人以上の登録者数を見込み、会期中には延べ15万人以上の来場を見込んでいる。事前登録では、3万人近くに達しているという。
「昨年は356社/団体の出展者数であったのに比べると、それを下回る結果になったが、これまでのCEATECを支え、牽引してきた電機、IT、電子部品各社や、国内外の多様なスタートアップ企業、ソフトウェアやソリューション企業をはじめ、通信、化粧品、モビリティなど、新たな産業界や新たな国からの出展など、バラエティーに富んだ出展者となった」とした。
22回目を迎えるCEATECを支えてきたソニーグループ、日立製作所、パナソニック、三菱電機、富士通、東芝、NEC、シャープの電機8社が、8年ぶりに出揃ったほか、ポーラや三菱ふそうトラック・バス、アドビ、ソフトバンクなどが新規出展する。また、海外企業は前年に比べて14社増えている。
「海外からの来場者を増やす必要がある。CEATECの内容を3分ビデオにまとめて発信したり、海外の出先機関を通じた情報発信も行っている。時差の問題はあるが、オンラインの特徴を生かして、昨年を超える海外からの来場者数を見込んでいる」と述べた。
展示エリアは「企業エリア」「Society 5.0エリア」「Co-Creation PARK」の3つで構成
展示エリアは「企業エリア」、「Society 5.0エリア」、「Co-Creation PARK」の3つで構成される。
海外スタートアップ企業などが出展するCO-Creation PARKには、カナダ・オンタリオ州が新たに出展。また、2017年に出展して話題を集めたインドのIT業界団体であるNASSCOMが参加。さらに、JETROとの連携によって実施したJapan Challenge for Society 5.0で選出された18カ国45社のスタートアップ企業も出展する。Japan Challenge for Society 5.0は、日本が抱える社会課題の解決策を海外スタートアップ企業が提案するコンテストであり、日本の企業や自治体との共創のきっかけになることが期待されている。
スピーチやコンファレンスも150以上、CESやIFA、MWCによるものも
さらに、グローバルイベントであるCESやIFA、MWCによるスピーチやコンファレンスも実施される。「オンライン開催ならではの国際色豊かな展示やコンファレンスに期待してほしい」としている。
コンファレンスは、Society 5.0の実現に向けた重点テーマとして掲げた「カーボンニュートラル」、「5G」、「モビリティ」、「スーパーシティ/スマートシティ」のほかに、「Society 5.0/IoT/DX(デジタルトランスフォーメーション)/SX(サステナビリティトランスフォーメーション)」、「地域ビジョン/地域戦略セッション」、「スタートアップ」、「企業セミナー」を加えた合計8つのカテゴリーにおいて、150以上のセッションが行われる。
22都道府県が参加する「地域ビジョン/戦略セッション」も
初めての企画となるのが、22都道府県が参加し、42のセッションが行われる「地域ビジョン/戦略セッション」だ。
国を9つの地域に分けたプログラムとして、地域経済の発展と地域未来への投資が促進されることを目指して実施するもので、「DX」、「ニューノーマル」、「スーパーシティ」、「地域推薦テーマ」をもとに、地域課題の解決や地方創生などの取り組みについて紹介されることになる。
「地域ビジョン/戦略セッションに、その他のコンファレンスを加えると、開催期間中に24都道府県の登壇を予定している。首都圏に限定せず、全国規模での展示会になっている。これもオンラインの特性をフルに生かすことで実現したものである」とした。
「365日間、新たな情報を発信していくことが、新しい展示会の在り方」
また、鹿野エグゼグティブプロデューサーは、「Society 5.0の展示会としての発信を、4日間だけでなく、365日間、新たな情報を発信していくことが、新しい展示会の在り方だと考えている。リアル会場での開催では、展示期間が限られるが、オンラインを活用することで新たな展示会の姿を実現できる可能性が生まれる。
今回のCEATEC 2021 ONLINEは、プレイベントからアフターイベントまで3カ月間という期間での開催になる。今年の出展者数は減少しているが、新規出展者数が減少したのが理由。CEATECを支えた企業が多く出展しており、スタートアップ企業の出展も増加している。リアルの展示会では、来場者数、出展者数などが指標となっていたが、そろそろ新たな展示会のKPIといったものも作っていく必要がある」と述べた。
「CEATEC会場の回り方」も解説、検索機能や「混雑度」表示も
今回の会見では、CEATEC 2021 ONLINEの会場の回り方について、実際の画面を用いて説明した。
CEATECに登録すると、エントランスページが表示され、来場者は、そこから各エリアに自由にアクセスできる。「今年は奥行き感を持たせたデザインにしており、幕張メッセ会場に近いイメージとした。展示エリアには、会場に入っていくような感覚でクリックしてもらえばいい」としている。
展示エリアは、「企業エリア」「Society 5.0エリア」「Co-Creation PARK」に分かれている。企業エリアは、プレミアム、スタンダード、ベーシックの3タイプのブース形態を用意。プレミアムは、10種類の製品、サービスを展示。スタンダードでは6種類、ベーシックでは1種類を展示できるほか、オプションで展示内容を1個単位で追加することもできる。SDGsに関してどのカテゴリーの製品、サービスが展示されているかも表示している。また、展示ブースでは、出展者と直接やりとりができるテキストチャットやビデオチャットを実装。ビデオを視聴したり、資料のダウンロードも可能だ。
企業名やカテゴリーごとに検索して、展示ブースに飛ぶことができるほか、訪問済みブースの履歴も表示される。また、各ブースでは、混雑状況を3段階で表示。注目されているブースを優先して訪問するといったことも可能だ。
コンファレンスエリアは、5つのチャンネルを用意。テレビの番組表のように一覧表示されており、そこから簡単に聴講ができる。
また、会場をぶらりと歩くような体験を促すために出展者などをランダムに表示する「CEATEC GO」機能を進化している。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「CEATEC 2021 ONLINE は、いつでも、どこからでも参加することができる。何度でも気軽に会場を訪れることができる仕組みになっている」とし、「展示を『見て』、コンファレンスを『聴いて』、未来の社会を『感じて』『考えて』、共創に向けて『動き出す』というCEATEC体験が可能になる。オンラインならではの特徴を生かしながら、時間や場所を超えて、多くの人にCEATEC体験をしてもらいたい」と述べた。
会場の回り方に関する動画も用意しており、効果的なCEATEC体験を提案する。
11月30日まではアーカイブとして参照可能
会期終了後も、11月30日までは、講演内容や展示内容を、アーカイブとして見ることができる。
すでに、9月9日からCEATEC初のプレイベントを開催。延べ3万人が聴講したほか、10月15日にはオープニングイベントを開催している。
「プレイベントは、カーボンニュートラルをはじめとする4つの重点テーマとリンクしたイベントとして、高い関心が集まったほか、事前入場登録の促進という意味でも成果があった」とした。また、11月30日まで予定されているアフターイベントについては、「まだ具体的なスケジュールや内容が公開できていないが、CEATEC AWARD 2021の授賞企業による詳しい説明などを予定している。審査員とのパネルディスカッションも検討しており、会期中に発表できる」と述べた。
なお、主催者では、メインイベントの開催初日には、会場へのアクセスが集中するため、事前に入場登録することを勧めている。登録は無料。
「幕張メッセの会場では、日を追うごとに来場者数が増加する傾向にあったが、オンライン開催では、初日に集中し、減少していく傾向がある」としている。昨年のオンライン開催では、開催初日の午前10時の開場時間前後にアクセスが集中し、午後1時まで登録および入場ができないという不具合が発生した。今年は、登録の仕組みを変更するとともに、事前登録を積極的に呼びかけることで、スムーズな運営を目指している。
CEATEC AWARD 2021も発表NECのスーパーシティ構想が総務大臣賞、東芝のフィルム型太陽電池が経済産業大臣賞
一方、CEATEC 2021 ONLINEに展示される技術、製品、サービスなどを対象にしたCEATEC AWARD 2021も発表した。総務大臣賞には、NECの「NECが目指す未来のまち~スーパーシティ」が、経済産業大臣賞には、東芝の「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」がそれぞれ選ばれた。
CEATEC AWARDは、CPS/IoTによるSociety 5.0の実現を促し、新たな価値と市場の創造、発展に貢献するとともに、関係する産業の活性化に寄与することを目的として行われているもので、審査委員会が学術的、技術的観点、市場性や将来性などの視点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを審査、選考し、表彰している。
総務大臣賞:「NECが目指す未来のまち~スーパーシティ」
総務大臣賞の「NECが目指す未来のまち~スーパーシティ」は、スーパーシティやスマートシティ向けのデータ連携基盤ソフトウェア「FIWARE」や、NEC独自のAI生体認証技術などのアセットを組み合わせた「NEC都市OS」を中核とし、自治体が保有するデータをはじめとした各種データと、住民に提供する行政サービスなどの効率的な連携を実現するサービス群を体系化したものだ。
「観光、医療福祉、防災など複数分野にわたる行政サービスの効率化が可能であり、地域間連携や共同運営など、地域の特性やニーズに合わせたシステム構築にも対応する。複数の自治体を支援してきた実績と、NECの総合力が評価された」という。
経済産業大臣賞:「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」
経済産業大臣賞を受賞した東芝の「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」は、軽量薄型、フレキシブル性が特徴で、シリコン太陽電池の設置が困難だった都市部など、多様な場所での利用が可能になる。
独自の成膜方法により、フィルム型大面積ペロブスカイト太陽電池モジュールとして、世界最高のエネルギー変換効率である15.1%を達成し、実用化に大きく前進したという。「太陽光発電は、カーボンニュートラルの実現において不可欠な要素だが、重量や形態の面から設置場所が限られるという課題があった。フィルム型ペロブスカイト太陽電池によって、幅広い実用性が期待され、再生可能エネルギーの導入拡大に貢献するものとして評価された」という。東芝は2年連続で経済産業大臣賞を授賞した。
部門賞なども同時発表
部門賞も発表された。Society 5.0時代の新たな社会インフラカテゴリーにおいては、カーボンニュートラル部門賞グランプリに、東芝の「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」が選ばれ、経済産業大臣賞との同時授賞となったほか、スーパーシティ/スマートシティ部門賞のグランプリにはNECの「NECが目指す未来のまち~スーパーシティ~」が選ばれ、これも総務大臣賞との同時受賞となった。また、デジタルトランスフォーメーション部門賞グランプリにはSoundUD推進コンソーシアムのリモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」が選ばれた。
オープンカテゴリーでは、ソリューション部門賞グランプリに、ソフトバンクの「Non-Terrestrial Network構想 グローバルに展開する宇宙・成層圏通信」が選ばれ、要素技術・デバイス部門賞グランプリには、シャープの「健聴力で、あなたと世界をつなぐ。メディカルリスニングプラグ」、スタートアップ&ユニバーシティ部門グランプリには、エイシングの「極軽量/省電力エッジAIアルゴリズム MST(Memory Saving Tree)」がそれぞれ選ばれた。
授賞した技術や製品、サービスは、各社のブースで見ることができる。