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TP-Link、Wi-Fi 7対応ルーター「Archer BE900」、メッシュシステム「Deco BE85」などを今夏発売

「Tapoロボット掃除機」も発表、3〜4月に発売

Wi-Fi 7対応「Archer BE900」

 ティーピーリンクジャパン株式会社(TP-Link)は3月9日、新製品発表会を開催し、Wi-Fi 7対応ルーター「Archer BE900」、同じくWi-Fi 7対応のメッシュシステム「Deco BE85」など、Wi-Fi 7対応製品を今年夏に発売予定と発表した。

 価格は、フラッグシップの「Archer BE900」が8万9800円。また、同時にロボット掃除機市場への参入を発表、3月から4月にかけて発売する製品を展示した。

Wi-Fi 7対応ルーター最上位「Archer BE900」は合計最大約24Gbps

 発表されたWi-Fi 7対応製品のラインアップは、ルーターがフラッグシップモデルの「Archer BE900」のほかに、「Archer BE805」「Archer BE550」、そしてゲーミングルーターの「Archer GE650」。メッシュシステムは「Deco BE85」のほか、「Deco BE75」「Deco BE65」も展示された。

Archer BE900。正面のLEDスクリーンに文字が流れて表示されている

 今回、発売時期と詳細が説明された「Archer BE900」は夏の発売。TP-Link製品では規格や速度を示す文字が型番と同時に示されているが「BE24000」となり、Wi-Fi 7ことIEEE 802.11beと、各バンドを合計した最大通信速度が約24Gbpsであることを示している。

 ワイヤレスは合計16ストリームに対応、各バンドの通信速度は6GHz帯が11520Mbps、5GHz帯の1と2がそれぞれ5760Mbps、2.4GHz帯が1376Mbps。ただし、日本国内では現時点で6GHz帯では320MHz幅の通信ができず、あくまで許可された場合の最高速度となる。

 また、Wi-Fi 6までと違い、Wi-Fi 7では各バンドで同時通信するMLOに対応し、全てのバンドを同時に使えるため、通信相手の対応や条件が整えば全バンドの合計速度で通信できることになる。

 Archer BE900のCPUは2.2GHz動作のクアッドコアCPU。さらに有線LANも高速化され、10GbpsポートをWAN側、LAN側ともに備え、光ファイバーも接続できるSFP+ポートも備えている。また、LANポートは2.5Gbps×4、ギガビット×1を備える。このほか、USBポートはUSB 3.0とUSB 2.0をそれぞれ1ポート備える。最大接続台数は250台。

Archer BE900の背面。SFP+ポートも備える

 IPv6 IPoEサービスは、v6プラス、OCNバーチャルコネクトのほか、DS-Lite方式に対応する。また、メッシュ機能は標準のWi-Fi EasyMeshと、TP-Link独自のOneMeshの2種類に対応する。本体のサイズは96×302×262.5mm。

 本体の正面にあるLEDスクリーンでは、さまざまな情報を表示可能なほか、設定した文字を表示することも可能。タッチパネルにより状態の表示や本体の操作もできる。

タッチパネルで状態表示や操作が可能
タッチパネルやLEDスクリーンはアプリで設定可能(今回は認可の関係で本体から電波を出さすに、別のアクセスポイントを接続、そこからワイヤレスで操作している)
まもなく発売する地域のパッケージ。これを内箱に上からかぶせる構造
内箱はルータが縦に収まり、左右に開くパッケージ。マグネットがあり箱もしっかりと閉じるという贅沢な構造

 このほかのルーターの詳細なスペックは未発表だが、Archer BE805の最大通信速度は6GHz帯が11520Mbps、5GHz帯が5760Mbps、2.4GHz帯が1376Mbps。有線ポートは10Gbps対応のWAN、LAN各1と、ギガビット対応LAN×4。

 Archer BE550の最大通信速度は6GHz帯が5760Mbps、5GHz帯が2880Mbps、2.4GHz帯が574Mbps。有線ポートは全て2.5Gbps対応でWAN×1、LAN×4。Archer GE650は展示がなかったが、6GHz帯が5760Mbps、5GHz帯が4320Mbps、2.4GHz帯が574Mbpsとなる。

Archer BE805(右)とArcher BE550(左)
Archer BE805の背面(発表会のスライドではギガビット対応とされる4つのLANポートが、2.5Gbps対応と表記されている)
Archer BE550の背面

 会場には、法人向けのWi-Fi 7アクセスポイント2機種も展示。「Omada Pro AP9778」の最大通信速度は6GHz帯が11520Mbps、5GHz帯が8640Mbps、2.4GHz帯が1376Mbps。有線ポートは10Gbps×2。「Omada EAP770」は6GHz帯が5760Mbps、5GHz帯が4320Mbps、2.4GHz帯が574Mbps、有線ポートは10Gbps×1。

法人向けのWi-Fi 7アクセスポイント、Omada Pro AP9778(左)とOmada EAP770(右)
背面

 そのほか、Wi-Fi 7対応デュアルバンド(5/2.4GHz帯対応)ルータとして「Archer BE230」、Wi-Fi 7対応トライバンド中継機「RE550BE」、Wi-Fi 7対応デュアルバンド中継機「RE235BE」もラインアップされている。

メッシュシステム「Deco BE85」は2台セットで14万8800円

 Wi-Fi 7対応メッシュシステムはDeco BE85を発表。発売は2023年夏で、価格は1パックが7万9800円、2パックが14万8800円。ワイヤレスは合計12ストリームに対応、通信速度は6GHz帯が11520Mbps、5GHz帯が8640Mbps、2.4GHz帯が1376Mbps。

 有線ポートは、WAN/LAN自動切り替えの10Gbps×2、2.5Gbps×2ポートと、光ファイバーも接続できるSFP+ポート×1を備え、そのほかにUSB 3.0×1ポートも備える。メッシュを構成する際のバックホール回線として10Gbpsを使えば、各アクセスポイントから高速な通信が可能だとする。最大接続台数は200台以上。

Wi-Fi 7対応のDecoシリーズ、Deco BE85(中央)、Deco BE75(左)、Deco BE65(右)
Decoシリーズの背面

 会場にはDeco BE75とDeco BE65も展示。Deco BE75の最大通信速度は6GHz帯が11520Mbps、5GHz帯が4320Mbps、2.4GHz帯が688Mbps。有線ポートは10Gbps×1、2.5Gbps×3。Deco BE65の最大通信速度は6GHz帯が5760Mbps、5GHz帯が4320Mbps、2.4GHz帯が574Mbps。有線ポートは2.5Gbps×4。

日本でも最速でWi-Fi 7製品を発表

 発表会では、ティーピーリンクジャパン社長のSimon Li氏とリテール営業部長の鈴木義信氏、リテール営業部課長の吉岡英剛氏が登壇した。

 Simon Li氏は「4年前の2019年10月にTP-Linkは日本で初めてWi-Fi 6製品をリリース、2023年、私たちはWi-Fi 7製品においても、日本最速で発表」「日本のユーザーに最高のWi-Fiとネットワーク体験を届けることが、私たちの使命のひとつ」と述べた。

ティーピーリンクジャパン社長のSimon Li氏
日本最速発表
Wi-Fi 7対応製品ラインアップ
TP-LinkのTapoブランドの製品

 また、「6つのカテゴリーでビジネスを拡大している」とWi-Fi製品以外にも注力していることを強調した上で、Wi-Fi 7製品とロボット掃除機への参入も宣言した。

 Wi-Fi 7製品については鈴木氏が説明。Wi-Fi 7の優位性をひととおり説明しあと、Archer BE900については「これまでにないスピードを実現する超高速Wi-Fi 7ルーター」とし、そのパフォーマンスを実現するカギとして各バンドごとに最適に配置した合計12本のアンテナで16ストリームを実現していると説明した。

 さらに、ルーターとしての性能のほか、LEDスクリーンやタッチパネルの搭載を挙げ「単なるルーターの域を超えた特別な一台」と位置付けた。

ティーピーリンクジャパン リテール営業部長の鈴木義信氏
Archer BE900の特徴
Wi-Fi 7対応製品のラインナップ

 メッシュシステムのDeco BE85については、2階建ての家屋に配置した実験結果として、2台のDeco BE85のバックホールを有線で接続した場合と、ワイヤレスで接続した場合の結果を示した。

 ワイヤレス接続でも建物全体で5〜6Gbpsで通信できていることについて「多少速度は低下しているが、それでも素晴らしい結果」とし、Wi-Fi 7なら速度低下なくバックホールにワイヤレスが使えることを強調した。

Deco BE85の特徴
2階建ての家で1階と2階の速度。10Gbps有線のバックホール時
ワイヤレス時の速度

ロボット掃除機はいずれもWi-Fi装備でスマートスピーカー対応

 新たに参入したロボット掃除機については、吉岡氏が説明。最上位モデルの「Tapo RV30 Plus」について、最大4200Paの吸引力や、自動ゴミ収集機が本体のゴミを収集し最大70日分貯められることなどを強調した。

ティーピーリンクジャパン リテール営業部課長の吉岡英剛氏

 ロボット掃除機は「Tapo」ブランドから登場し、Tapo RV30 Plus(7万6780円)は、光検出および測距技術「LiDAR」とジャイロセンサーを搭載し、高精度のマッピングによる効率的な掃除が可能で、水拭き機能や自動ゴミ収集機も持つ。

 そのほか、ゴミ収集機が付属しない「Tapo RV30」(5万9180円)、LiDARがなくジャイロだけで動き、ゴミ収集機が付属した「Tapo RV10 Plus」(4万9800円)、ゴミ収集機が付属しない「Tapo RV10」(3万7180円)、水拭き機能を省いた「Tapo RV10 Lite」(2万9800円)。以上の5機種のラインアップが発表された。

ロボット掃除機「Tapo RV30 Plus」の特徴

 Tapo RV30シリーズではLiDARによる高精度マップにより、アプリで清掃のゾーンなど細かく設定できるほか、最大4200Paの吸引力などスペックが強化されている。Tapo RV10シリーズでは吸引力が2000Paとなるなど、性能面で簡略化されている。

Tapo RV10シリーズ
各機種の比較
Tapo RV30 Plusは7万6780円

 前機種共通で2.4GHz帯のWi-Fiに対応、Google Home、Amazon Alexaによる音声アシスタントに対応していることも特徴となる。

Tapo RV30 Plus
Tapo RV10 Plus
会場ではTapo RV30 Plusで段差を乗り越え、端でも落ちないことなどを含めたデモを行った

 発売は上位のTapo RV30シリーズが4月20日、Tapo RV10シリーズは3月30日としている。