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メディアドゥと早川書房、世界初の「NFT電子書籍付き新書」を発売、新レーベル「ハヤカワ新書」で

「+400円で電子書籍がついてくる」、さらに電子書籍がユーザー間で売買可能に

ハヤカワ新書の創刊ラインアップ。写真中の価格はNFT電子書籍が付属しないタイプ。NFT電子書籍付きは本体価格で+400円程度

 株式会社メディアドゥと早川書房は、「NFTによる電子書籍そのもの」が紙の本に付属する「NFT電子書籍付き新書」を6月20日(火)に発売することを発表した。この「NFT電子書籍付き新書」は、早川書房が6月に創刊する新レーベル「ハヤカワ新書」の創刊ラインアップ5作品。

 紙の書籍に本編と同じ内容のNFT化された電子書籍が付属する事例は世界初(メディアドゥ調べ)。「+400円程度で電子書籍がついてくる、それを人にあげたり売ったりできるのが利用者のメリット」(早川書房)という。

ハヤカワ新書のコンセプトは「未知への扉をひらく」
早川書房の代表取締役副社長 早川 淳氏

「電子書籍の二次流通」が可能に

 この「NFT電子書籍付き新書」は、NFT電子書籍を取得できるカードが封入された紙の書籍で、カードをスマートフォンで読み取ることで、epubフォーマットのNFT電子書籍を取得できる。

 電子書籍はメディアドゥが展開するNFTサービス「FanTop」で利用でき、電子書籍部分だけ他人に譲渡したり、二次流通としてユーザー間で売買することが可能。

登壇したメディアドゥ代表取締役社長 CEOの藤田 恭嗣氏

 両社では、「NFT電子書籍付き新書」によって「新しい読書体験」が提供できると説明。「電子書籍の本文そのものを配信するだけでなく、本編未収録テキストや動画なども提供できる」といった事例を挙げたほか、これまでの電子書籍との違いとして「個数の概念があり、個数限定での販売なども可能」「二次流通の概念があり、しかもユーザー間の売買のたびに権利者への収益・印税配分が行える」とする。

 ユーザー間の売買・譲渡は、閲覧環境でもあるFanTop内で行うことになるが、NFTの売買を行う既存マーケットであるOpenSeaなどが「アートを扱う」というコンセプトで設計されているのに対し、FanTopは「コンテンツを扱う」というコンセプトのため、コンテンツ流通に最適なのが特徴とする。具体的なポイントは、「スクリーニングされたコンテンツを扱うため、偽物対策が不要」「二次流通の際にも、権利者に還元される前提になっている」「投機的な価格高騰が起きにくい」といった点。

 なお、権利者への還元は、ブロックチェーンによるスマートコントラクトで実現されており、例えば「この本を売買した際の権利者配分は600円」というかたちで権利者が設定できる。この場合、800円で取引がされると売り手には200円が残ることになる(正確にはFanTop上のポイントが残る)。譲渡の場合は権利者への還元はないが、譲渡できる書籍は、権利者が「譲渡可能」と設定したものに限られる(今回の書籍は全て譲渡可能)。

 利用しているブロックチェーンはDapper Labs社のFlowで、価格高騰が起きにくいメリットはこれによる部分もあるとする。

 なお、ハヤカワ新書では今後もNFT電子書籍付きの書籍を発売予定。本編と同じ内容のNFT電子書籍に加え、動画などでの限定特典も予定しているという。

今後のラインアップ