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Slack、新サイドバーを導入。「後で」ボタンや、新着を一覧表示する機能など追加

情報へのアクセスを交通整理、生産性が向上~段階的に全ユーザーに展開

Slackの新サイドバー。新しいホームボタン、ワークスペースの切り替えや会話、チームメンバーなどにアクセスできる

 Salesforceの100%子会社となるSlack Technologiesが8月9日に報道発表を行ない、同社が提供しているコミュニケーションツール「Slack」のユーザーインターフェースを一新することを明らかにした。

 従来のサイドバーの左側にワークスペースを表示していた部分に、「ホーム」(英語ではHome)、「アクティビティ」(同Activity)、「DM」(同DM)、「後で」(同 Later)などの新しい機能を追加するもので、従来よりも容易に目的のワークスペースやチャンネル間の移動などが容易になり、ユーザーの生産性が向上するとSlackは説明している。

 Slackによれば、この新しいユーザーインターフェースは同日より順次展開する計画で、今後数カ月をかけて全ユーザーに展開されることになる。

「ホーム」「アクティビティ」「DM」「後で」がサイドバー左に追加、情報へのアクセスが交通整理される

 Slackは、クライアントアプリ(以下、アプリ版)とウェブ版の両方で利用することが可能で、それぞれ基本的な使い勝手は同じになっているが、設計の自由度が高いアプリ版の方がより使いやすくなっているのは言うまでもない。Slackが提供開始された当初のアプリ版は、メモリ消費量が大きかったり、起動も遅かったりと課題を抱えていたが、2019年に大幅なアップデートが入り、それによりメモリ消費量が半分になり、起動時間も速くなるなどの強化が行なわれた(2019年7月24日付関連記事『Slack、メモリ使用量50%削減、起動も33%速く。コードを一から記述し直して大幅な軽量・高速化』参照)。

 その後は新しいサービス・機能の追加などはクラウド側で行なわれてきたため、クライアント側の変更は多くなかったのだが、今回、アプリ版を含めてユーザーインターフェースが大幅に更新されることになった。

 今回手が入れられるのはアプリ版などでサイドバーの左側に表示されていた、ワークスペースのボタンを表示していたビューの部分。ここに新しい「ホーム」(英語ではHome)、「アクティビティ」(同 Activity)、「DM」(同DM)、「後で」(同Later)、「その他」(同More)、「+」ボタンなどが追加される。それらにより、サイドバー左のボタンを押すだけで、階層的にそれぞれの情報にアクセスすることが可能になる。

 「ホーム」では、従来のサイドバーに表示されていたワークスペースの切り替え、会話、ワークスペースに所属しているメンバーの一覧などが表示される。従来のSlackのサイドバー機能を利用したい場合にはホームを押せばよいということでシンプルだ。

 「アクティビティ」では、スレッド、メンション、リアクションなどの新着が一覧表示され、以前に見たときとの差分を一覧で確認できる。また、「DM」では、DMが一覧として表示される。なお、アクティビティとDMに未読がある場合には、それぞれのアイコンに未読数が表示される。

「アクティビティ」ボタン

 「後で」は、ホームやアクティビティ、DMなどでいったん確認したが後で返信する必要があるメッセージなどを保存しておき、時間ができてからゆっくりと処理するという使い方が可能になる。従来であれば「未読」として再度マークするなどの使い方をしていたユーザーが多いと思うが、今後は「後で」に保存しておくことで、そうした必要がなくなるので便利だ。

 サイドバー左側にあるビューの下部には、検索と「+」(Create)という2つのボタンが表示されている。検索に関しては検索機能へのアクセスが可能になっており、ワークスペースやチャンネルを横断的に検索できる。検索した結果は左側にトップの投稿が表示され、選択すると右側にスレッドの詳細が表示される。これにより、検索した結果に対して「いいね」などのリアクションをする作業などがより容易にできるようになる。

 「+」ボタンでは、DMやSlack Canvasへの投稿、さらにハドルミーティングを開始するなどの作業を行なえる。メールクライアントアプリなどでも最近流行になっている「新規メールを作成」のようなボタンだと理解するといいだろう。

検索と「+」(Create)ボタン

従来のビューには戻せないため、乗り換えやすいよう配慮した設計に

 Slack Technologiesのティナ・チェン氏(プロダクトデザイン担当 シニアディレクター)は「これまでSlackは多くのユーザーからのフィードバックを得ており、それをもとによりよいインターフェースはどういうものであるのかを長年研究し、テストを繰り返してきた。今回導入する新しいユーザーインターフェースでは、ユーザーが情報を整理整頓することが可能になり、かつ、他のユーザーとのコミュニケーションに集中することが可能になり、生産性を高めるものと確信している」と述べ、ユーザーがより容易に他のユーザーとコミュニケーションを取り、集中して作業ができるようになり生産性が向上すると強調した。

 Slackがこうした新しいユーザーインターフェースを導入したのは、Slackがここ数年、新しい機能を追加してきた結果、それらと従来のSlackの機能を交通整理する必要があったからという。

 「現状のユーザーインターフェースは3年以上前に導入したもので、そこから現在までにワークフローやCanvas、ハドルミーティングなどのパワフルな新機能を多く投入してきた。そのため、従来の機能とそうした新しい機能をミックスして利用するにはどうしたらよいか考えてきた結果、そうした機能をグループ化していくのがいいと判断し、新ユーザーインターフェースの導入に至った。しかし、もちろん新しいユーザーインターフェースの導入がユーザーの負担になって、Slackを学び直すなどになってはいけないと考えており、ホームのような、従来のSlackの使い方を残している。それらにより、徐々に新しいビューに慣れていってほしいと考えている」とし、ホームなどに従来のSlackの使い勝手を残すことで従来のユーザーもより容易に乗り換えが可能だと強調した。

 なお、この新ユーザーインターフェースは全てのユーザーに対して順次導入される計画で、ユーザーが以前のビューに戻して使うことはできないとチェン氏は説明した。なお、大企業向けのプランである「Enterprise Grid」を契約している企業に関しては、企業のSlack管理者がこうした新しいユーザーインターフェースの導入をいつ行なうのかをいくつかの日付から選択できるようになるとのこと。その場合でも、最終的にはどこかのタイミングで新ユーザーインターフェースになるため、Slack管理者にとってはそれまでに新ユーザーインターフェースに対応したマニュアルを準備するなどの作業が必要になるだろう。