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エリアや時間を指定して「ネットワークスライス」を提供する実証実験、NTTドコモらが世界初の成功

 株式会社NTTドコモとNTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)、日本電気株式会社(NEC)、およびSandvineは1月15日、ハイブリッドクラウド構成で構築した5Gコアネットワーク(5GC)とNTTドコモが提供する5Gスタンドアローン(5G SA)の商用無線基地局を利用し、エリアや時間を指定してネットワークスライスを提供する技術の実現に向けた実証実験に成功したと発表した。NTTドコモによれば、本技術の実証実験成功は世界初。

 ネットワークスライスとは、ネットワークを仮想的に分割する「ネットワークスライシング」技術により仮想的に分割されたネットワークのこと。高速・大容量通信向け、低遅延が求められる通信向けなど、サービスごとのさまざまな品質要求に対応したネットワークを提供できる。

 実験の背景には、クラウドサービス、AI、IoTなどの利用拡大によって、扱う情報量が増加したり、リアルタイム性が必要な処理が発生したりと、利用用途が多様化したことがある。自動運転やドローン、ロボット制御など、今後活用が見込まれる領域への対応を含め、ユーザーのさまざまな要望に対応するため、利用用途に応じたネットワークスライスの提供を目指しているという。

 本実験では、以下の4点を実証する実験が行われた。

オンデマンドかつ即時対応を実現するネットワークスライス生成技術実証

 NTT Comが提供するオーケストレーションプラットフォーム(クラウドネイティブアプリケーションの開発・運用のためのPaaS)「Qmonus」(クモナス)より、ハイブリッドクラウド構成で構築した5GCに対して、オンデマンドで利用エリアや時間を指定したネットワークスライスを生成すること。

5Gネットワーク上でのネットワークスライス接続技術実証

 ハイブリッドクラウド上の5GCで生成したネットワークスライスと商用環境の5G SAの無線基地局を接続した実通信を利用可能であること。

ネットワークスライスを活用した、高精度の映像処理ユースケース実証

 ユーザー通信処理装置(UPF)である「ARM-Powered UPF」および「UPF on Outposts」と、NECが推進する6G・IOWN時代を見据えたネットワークアーキテクチャである「インクルーシブコア」アーキテクチャの要素技術である「ISAP」( In-network Service Accelerator Platform:ネットワーク融合サービス高速処理基盤)を活用したGPUアクセラレーション機能を連携することで、高速かつ高精度にAI映像解析ができること。

ネットワークスライスの品質監視技術実証

 トラフィック、およびアプリケーション識別・制御ソリューションを活用し、ネットワークスライスごとにQoS/QoE(ネットワークのサービス品質/体感品質)などのネットワーク品質監視ができること。

実証実験の構成

 本実験により、利用エリアや時間などの利用用途に応じたネットワークスライスをオンデマンドで生成し、そのネットワークスライスが5Gネットワーク上で利用可能であることをユースケース含めて商用の無線基地局環境で確認したという。

 また、本技術の活用によってイベント会場や災害地域など通信トラフィックが集中する特定スポットで日時を指定し、利用用途に応じた最適なネットワークの提供が可能になるとしている。さらに、QoSおよびQoEを可視化することで、提供するネットワーク品質の監視ができるとしている。

 なお、本技術は1月17日・18日からNTTドコモが東京国際フォーラムで開催する「docomo Open Houseʼ24」に出展される。