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「店長」の残業が月11.1時間増加したとの調査結果~「デューダ」が職種別の平均残業時間ランキング発表

「社内SE」「Webエンジニア」などでは大きく減少

 パーソルキャリア株式会社は1月15日、転職サービス「doda(デューダ)」が調査した「平均残業時間ランキング【91職種別】」を発表した。平均残業時間が最も少なかったのは「一般事務」、最も多かったのは「プロデューサー/ディレクター/プランナー」だった。また、経済活動の再開・オフラインの需要回復を受け、「店長」の残業時間が2022年の前回調査から月11時間以上増加していることも分かった。

 調査は、20~59歳の正社員1万5000人を対象に、2023年8月23日~9月1日にインターネットで実施。正社員の地域・年代・性別に合わせてウェイトバックを行っている。これによると、2023年4~6月の平均残業時間は21.9時間/月で、前回調査の2022年から0.3 時間減少。1カ月の実働日数を20日とすると、単純計算で1日あたり1時間程度の残業が行われているとしている。

 過去5年間の平均残業時間は、2019年に24.9時間だったのが、働き方改革関連法が施行されたことやコロナ禍の影響もあって2020年に20.6時間、2021年に20.8時間と大幅に減少。その後、コロナ禍で停滞していた経済活動が戻りつつあることを受け、2022年には22.2時間と増加した。今回調査した2023年は前年から減少しているものの、2022年とほぼ同じ水準になっている。

 全91職種のうち、前回調査から平均残業時間が減少したのは46職種で、職種分類では「IT/通信系エンジニア」「モノづくり系エンジニア」が最多だった。一方、「営業」に分類される多くの職種では平均残業時間が増加しており、「オンライン化が進んでいた営業活動の一部がオフラインに戻っていると推測できる面もある」としている。

 今回の調査で残業時間が少なかった職種の1位は「一般事務」で10.6時間/月。前回調査から2.7時間減少した。

 減少幅が大きかった職種を見ると、15位「品質管理/品質保証(素材/化学/食品系)」が15.5時間/月で6.7時間減少、17位「社内SE」が16.0時間/月で5.5時間減少、19位「Webエンジニア」がで17.4時間/月で7.5時間減少、20位「食品メーカーの営業/消費財メーカーの営業」が18.2時間/月で5.9時間減少となっている。

 一方、平均残業時間が多い職種は「プロデューサー/ディレクター/プランナー」が2年連続の1位で、42.2時間/月。前回調査から5.1時間増加した。「小説やマンガ、アニメなどの人気の高まりや、コロナ自粛が明けたことでリアルイベントの需要が回復し、紙媒体や告知用広告のニーズが戻ったことなどが残業時間増加に影響したと考えられる」としている。

 なお、5位の「店長」は30.0時間/月で、前回調査から11.1時間の増加。平均残業時間が多い職種トップ20の中で最も増加幅が大きかったという。コロナ禍で停滞していた経済活動が戻りつつあることで小売店や飲食店への来客数が増える一方、店舗ではスタッフの採用が間に合わず、深刻な人材不足に陥っていることが一因とみている。このほか、39.1時間/月で2位の「設計監理/コンストラクションマネジメント」も10.2時間増加、27.1時間/月で18位の「MR」(Medical Representatives:医療情報担当者)も9.0時間増加と、増加幅が大きかった。

 年代×職種分類別で見ると、平均残業時間の多いトップ3は、1位「30代×クリエイティブ」の30.9時間、2位「30代×建築/土木系エンジニア」の30.0時間、3位「50代×建築/土木系エンジニア」の28.5時間。

 一方、「事務/アシスタント」は全ての年代で平均残業時間が最も少なかった。また、「IT/通信系エンジニア」は、前回調査と比べ、全ての年代で平均残業時間が減少したという。