ニュース

地下に敷設された光ファイバーで振動を検知し、一般道の交通流モニタリングを実現、NTTらが大阪市内でを実証

広域かつ面的な光ファイバーセンシングによる実施例は初

 日本電信電話株式会社(NTT)、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)、日本電気株式会社(NEC)は9月30日、IOWN APNに光ファイバーセンシングを組み合わせる構成を構築し、一般道の交通流モニタリングの実証に成功したことを発表した。複数の一般道に沿って、広域かつ面的にモニタリングした実施例は今回が初めてだとしている。

 光ファイバーセンシングとは、地下に張りめぐらせた通信用光ファイバーが地上を通過する自動車による振動を捉えられることを利用し、センサーとして活用する技術や機能。これまでには、工事による振動の検知や、交通状況を検知しての道路除雪判断の支援などの実証実験が行われてきている。

 今回の実証の構成は、光ファイバーセンシング機能と大量データの高速転送が可能なIOWN APNを組み合わせたもの。さらに、IOWN APNを構成するAPN-Gateway(APN-G)において、光パス(通信路)選択機能を利用することで、1つの光ファイバーセンシング装置でAPN-Gに接続された複数の通信用光ファイバーが振動などを測定できる。

IOWN APNを利用した広域光ファイバーセンシングのイメージ
IOWN APNを介して光ファイバーセンシングを実施するための接続構成

 実験は、大阪市内の一般道路で、5台のセンシング装置をAPN-Gに接続し、道路地下にある通信用光ファイバーケーブル5ルート(のべ37km、8km四方の範囲に配線)に対して、交通振動を同時測定した。

 この交通振動を車速解析アルゴリズムで解析し、一般道の通行車両の平均車速、道路の交通量とその時間変化をリアルタイムに可視化できた。また、車両の速度と台数の解析結果は、5地点で現地測定した正解データと一致する傾向を示すことも確認できた。

交通流の広域モニタリング結果

 一般道の交通流モニタリング装置は主要幹線のみに数km間隔で設置され、膨大な数のセンサーの導入や保守・運用が必要となるが、今回実証実験で仕様されたような光ファイバーセンシングによる交通流モニタリングが実用されれば、面的で、低コストかつ迅速な都市モニタリングが実現する。これにより、渋滞の検知・予測や、都市交通計画への適用などにも活用が期待できるとしている。

 4社は、今回の成果を踏まえ、IOWN APNでの光ファイバーセンシングの市場展開を図っていくとしている。将来的には、インフラ監視や防災などへの活用など、都市モニタリングを通した応用も見据えている。