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Zoomが進化している。より賢く・使いやすくなった「Zoom AI Companion 2.0」で便利な機能が拡張
ビデオ会議の文脈理解・要約にとどまらず、対面のリアル会議の日時調整までやってくれる
2024年10月10日 06:00
米Zoom Video Communications(以下、Zoom)が10月9日、同社の年次イベント「Zoomtopia 2024」を米国ではリアルイベントとして、それ以外の国ではバーチャルイベントとして開催。この中で「Zoom AI Companion 2.0」およびそのカスタムアドオン、「Zoom Tasks」などのZoom Workplace向けの機能拡張を発表した。
Zoomは、2022年の「Zoomtopia 2022」において、ビデオ会議機能の「Zoom」にメールやカレンダーなどの機能を追加することを発表し、のちにそれらを総称した「Zoom Workplace」を採用しており、現在、Zoomのクライアントツールの名称ともなっている。今回発表されたのは、そうしたZoom Workplaceの機能拡張になる。
従来はビデオ会議だけだった「Zoom」は、徐々に「Zoom Workspace」という統合型ビジネスツールへと進化している
多くのユーザーにとって「Zoom」と言えばビデオ会議に参加するためのツールだろう。特に2020年に発生したコロナ禍におけるリモートワーク環境下において、ビジネスパーソンが会議をするために必携のツールになったことは記憶に新しい。2022年からは、コロナ禍と呼ばれる状況が終了してからも、ハイブリッドワーク(リモートワークと出社や対面の会議などが半々になっている働き方のこと)の時代では、重要なツールになっている。
そのZoomのクライアントアプリ(ビデオ会議に参加するためのソフトウェア)は、以前は単に「Zoom」という名称だったが、今は「Zoom Workplace」になっていることにお気付きだろうか? これは、Zoomの機能が、従来のビデオ会議から、ユーザーの働き方を支援するツールへと進化していることを反映して、名称が変更されたのだ。
2022年11月に開催された「Zoomtopia 2022」では、メールやカレンダーなどの機能追加が発表され、Zoomは言ってみれば、Microsoftが提供しているMicrosoft 365のような統合的なビジネススイートに進化したことが示された。そうしたビデオ会議を超えるような機能が実装されたため、のちにZoom Workplaceという名称へとZoomのサービス自体やクライアントアプリの名称が変更されたという経緯になる。
Zoomと言えば、従来はいわゆるフリーミアムモデルで、会議に接続するクライアント機能だけを利用する場合は無料、ビデオ会議を主催する場合でも、規定されている時間までは無料で、それ以上の時間や機能を使いたい場合にはサブスクリプションの有料プランを契約する必要があるという料金モデルになっていた。Zoom Workplaceになってもそれは同じで、無料のプランは機能限定で、有料プランを申し込んでいるユーザーに対して、Zoom Workplaceのより多くの機能を提供するというかたちだ。
今回、Zoomが開催している「Zoomtopia 2024」でも、そうした方向性が引き続き示されており、Zoom Workplaceの新機能が発表され、よりビジネスパーソンにとって有益のツールへと進化している。
文脈理解などが進化し、よりスマートになった「Zoom AI Companion 2.0」で機能を拡張
今回Zoomが発表した新機能はいくつかあるが、「Zoom AI Companion 2.0」およびそのカスタムアドオン、「Zoom Tasks」などに関しての発表が行なわれた。
Zoom AI Companionは、Zoomが自社製品向けのAI基盤(プラットフォーム)として提供している生成AIを利用した機能になる。Zoom AI Companionを活用すると、Zoomで開催したビデオ会議のミーティング要約、さらには他の言語への翻訳、録画したミーティングをチャプターに分割するといった生成AIを利用した機能が実現される。こうした機能は、従来は他の文字起こしツールや翻訳ツールと組み合わせて実現できていたが、それがZoomだけで実現されることになる。
Zoomtopia 2024では、そのZoom AI Companionが進化して「Zoom AI Companion 2.0」という第2世代になっている。Zoomによれば、ユーザーインターフェースが改善され、サイドパネルに表示されているZoom AI Companionの表示を利用すると、すぐにAIを活用したさまざまな機能を活用できるという。また、AI自体も大きく強化され、Zoom会議などからより高度な文脈理解が可能になり、Zoom AI Companionが会議内容などを理解して、ユーザーに提案やその回答を行なうことが可能になる。
また、Zoom AI Companionから他のサービスへのアドオンに接続することが可能になり、例えば、Microsoft 365やGoogle Workspaceのメールやカレンダー、文書などにアクセスし、それらのコンテンツをAIが理解して、さまざまなサービスを提供することが可能。
さらに、アドオン関連ではZoom AI Companion向けにカスタムアドオンが追加できるようになる。カスタムアドオンでは、「AI Studio」と呼ばれる開発ツールを利用して、カスタム辞書や会議の概要などをもとにZoom AI Companionを自社のビジネス向けによりカスタマイズできる。また、前出のMicrosoft 365やGoogle Workspaceだけでなく、Atlassian(JiraおよびConfluence)、Glean、Workday、Zendesk、ServiceNow、Box、Asana、Hubspotなど外部のサービスと接続して、AIがよりカスタマイズされたサービスを従業員に提供できるようになる。
Zoomによれば、Zoom AI Companion 2.0はZoomの有料プランを契約しているユーザー向けに、今後、数週間以内に順次提供開始予定だとしている。
タスク管理ができる「Zoom Tasks」が追加されている
Zoomtopia 2022で発表されたメールやカレンダーの機能に加えて、ビジネスパーソンが進行中のタスクを管理する「Zoom Tasks」が追加された。競合サービスとなるMicrosoft 365やGoogle Workspaceではおなじみのタスク管理ツールだが、これまでZoom Workplaceには用意されてこなかっただけに、Zoom Workspaceのユーザーにとってはうれしいアップデートだと言える。
そのほかにも、電話機能「Zoom Phone」のボイスメール生成や要約生成機能、「Zoom Clips」のアバター機能の強化、Zoomドキュメント共有時の権限付与の新オプションなどの機能拡張も発表されている。
また、Zoomの最大の特徴であるビデオ会議とは真逆の、対面による会議向けの機能も用意される。「Workspace Reservation」と呼ばれる会議を予約するサービスが、Zoom AI Companionにより機能拡張され、従業員のカレンダーや会議室の空き状況などを参照して、参加者に最善の日程や会議室を提案するなどが可能になる。これまでそうした作業は会議の主催者が自分で行なっていたが、今後は必要なくなるだけに要注目な機能だ。