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「Zoomは、日本国内のハイブリッドワークをサポートできる」、Zoomtopia Japan 2022で国内の事例を紹介
2022年11月29日 12:45
Zoomtopia Japan 2022が、2022年11月17日、オンラインで開催された。
米Zoom Video Communicationsの日本法人であるZVC JAPANが、日本市場を対象に開催している年次イベントで、今年は「新しいコミュニケーションの世界へ」をテーマに、ZVC Globalのグレッグ・トム社長、ZVC JAPANの下垣典弘会長、佐賀文宣社長などが講演。国内の企業や自治体におけるZoomソリューションの活用事例などが紹介された。
2022年6月に就任したZVC Globalのグレッグ・トム社長は、「Zoomの社長としては新参者だが、Google CloudやSAPなどで20年以上の経験があり、日本市場にも詳しい。何度も訪日しており、世界で最も好きな市場のひとつである」と切り出した。
日本での成功を踏まえ「新しい次元のコミュニケーションを追求していく」
トム社長は、Zoomの市場開拓戦略や収益拡大活動、グローバルCIO室の監督を担当。前職のGoogle Cloudでは、営業、Google Workspace、SMB、データ分析、Geo Enterprisesやセキュリティ営業を担当するバイスプレジデントを務め、それ以前はSAPで、クラウド製品やSAP Business Technology PlatformのGTMおよび営業部門のプレジデントを務めた。現在、Pure Storageの役員も兼務している。
トム社長は、「日本市場でのZoomソリューションの広がりの最初の原動力は、コロナ禍において、自宅で仕事をすることを余儀なくされたことだった。しかし、ポストコロナの環境を見ると、日本のユーザーーは、Zoomソリューションを受動的に選択しているのではなく、積極的に使用するために選択している。いまの時代のビジネスに、非常に適したツールであることが理解されている」とコメント。
「日本では、ハイブリッドワークが多くの業種・業界での標準的な選択肢となっており、従業員にとっても、雇用主にとっても、より望ましい働き方であることが理解されている。介護をしながら働く人など、多様な背景を持つ従業員を惹きつける機会も提供できる。さらに、チャットやビデオ録画などの非同期機能や、Zoom MeetingsやZoom Phoneなどの同期機能の両方を利用できるため、ハイブリッドワークをサポートする理想的なツールになる」と述べた。
また、約2年間で、日本国内で20万人以上が利用しており、自治体や自動車教習所、セキュリティ会社といったユニークな導入事例もあることを示しながら、「日本は大きな可能性がある市場であり、そのために、日本市場に対して、新製品を投入し、日本でのパートナーシップを強化し、Zoomソリューションを提供できるようにしている。日本のユーザーが、これまで以上に、柔軟で、効率的につながり、コラボレーションができるように、コミュニケーションプラットフォームを構築していく」と述べた。
とくに、トム社長が強調したのが、日本でのパートナーモデルの成功だ。
「日本では最先端のパートナーモデルを確立し、営業、パートナーマーケティング、パートナーソリューションエンジニアリング、パートナーイネーブルメント、そしてパートナーサクセスチームを含む、広範囲なパートナーチームがある。日本での販売状況を見ると、パートナーの成功がはっきりと確認できる。米国と同じようにやるのではなく、日本の文化やパートナーの文化を取り入れながら、日本で成長するための最善の方法を模索し続け、それが成功につながっている」と胸を張った。
さらに、ISMAPの取得に取り組んでいることにも言及。「来年早々には取得する予定であり、公共部門や金融分野での採用につながることを期待している」と述べた。
最後に、トム社長は、「Zoomは、これから数年間にわたり、新しい次元のコミュニケーションとはなにか、といったことを追求していくことになる。物理的な環境とデジタルな環境をひとつにして、さらに優れた体験を作り出そうと考えている。Zoomは、単なる会議用ビデオアプリケーションの会社ではなく、未来のために、真のコミュニケーションとコラボレーションのプラットフォームを提供する会社になる。今後5~10年の間に、Zoomが仕事の場となり、社員はどこからでも、どのデバイスからでも仕事ができるようになる」と述べた。
Zoom Phoneなどのツールがコミュニケーションの壁を取り除く
一方、ZVC JAPANの下垣典弘会長は、「Zoomは、日本においてさまざまなチャレンジを行い、プラットフォーマーとしての性格と存在感を大きく強めた1年であった。ツールからインフラへ、ビデオコミュニケーションプラットフォームへと進化し、生活のなかに自然に溶け込むことができた。そのために、全力でユーザビリティを向上させ、新たなツールを開発し、言語の壁を取り除き、周辺サービスとの連携、統合を推し進めてきた。人と人を結びつけるために生まれてきたというZoomの思いがかたちになってきた」と述べた。
「とくに、Zoom Phoneは、0ABJ番号で利用できるように進化したことで、場所の制約を取り払い、働き方やコミュニケーションの自由度を飛躍的に向上させることができた。電話とウェブ会議、テレビ会議をひとつに集約するエクスペリエンスも提供した。Zoomは、コミュニケーションのまわりに立ちはだかる障壁、制約、ストレスを取り除くことで、その人らしい生き方や働き方の実現を、強力にサポートする存在になっている。プラベートの充実が、より大きな幸せを作っていくのは、これからが本番である」とも語った。
「今後も直感的なコミュニケーションツールが選ばれる時代に」
ZVC JAPANの佐賀文宣社長は、「日本のユーザーからの示唆に富んだフィードバックや、開発チームの想定を超える創意工夫を凝らした使い方は、アップデートに不可欠な知見となる宝物である。日本法人は、2018年に設立し、現在では世界で3番目の市場規模を誇っている。Zoomが日本で多くの人に利用してもらえるサービスに成長している」と述べた。
また、「コミュニケーションは、生き物のように形を変えている。少し前までは、対面以外は、電話やメールでのコミュニケーションだけであった。時間をかけて文章を書いていたが、いまでは、チャットとビデオで済むようになった。これは、ツールの発達が重要な要素ではなく、人間本来のコミュニケーションの原点に近いものである点が重要である。今後も、もっと直感的に伝えることができるコミュニケーションツールが選ばれ、使われる時代がやってくるだろう。それを実現するために、Zoomの創業者であるエリック・ユアンは、2035年までに、相手のコーヒーの香りが伝わったり、相手とハグができたりするような体験を提供したいと語っている」と語った。
自民党の小林史明議員「政府は本気でやる」「ルールは作れる」
特別メッセージを寄せた衆議院議員の小林史明氏(自民党副幹事長)は、デジタル庁やデジタル臨時行政調査会の取り組みによって、大きな変化が始まっていることを指摘した。
「日本はインフラが古い。ここでいうインフラは、道路やエネルギー設備だけでなく、制度やガバナンス、リソースも含む。道路や設備は定期的に点検が行われるが、制度、ガバナンス、リソースは古いままである。これが日本におけるデジタル施策やイノベーションの促進がうまくいっていない理由であり、技術の進展に対して社会制度が追いついていないのが実態である。規制改革はやってきたが時間がかかり、デジタルのない時代につくられた法律にあわせるため、デジタルが活用できず、法律を変えたとしても、それを実装するリソースがないという課題があった。デジタル庁やデジタル臨時行政調査会の設置により、課題を解決する環境が整った。対面や目視などのアナログな手段が求められる規制を、デジタル臨調でピックアップしたところ、法令の約9000条項がアナログ規制の対象となった。これらの規制を目的ごとに類型化し、デジタル技術の適用フェーズをわけて、テクノロジーマップと題した技術基準に沿って、規制を横断的に、一括で改正していく。点で行っていた規制改革を、面で行っていくことがこれまでと大きな違いとなる。これは、規制改革のイノベーションである。コロナ禍を契機に実施した押印の廃止は、その前哨戦といえるものである。全省庁の法律を横断的に見直し、48の法律を一括で改正した」と発言。
「これにより、電子契約市場は3倍に成長した。テクノロジーは社会を良くするために開発され、進化している。それが実装できない状況ならば、ルールを変えるべきである。日本の社会には、不便や不自由があっても、どうせ変わらないという雰囲気があった。しかし、政府は本気でやる。信じてほしい。制度はもちろん、国民や企業が活動しやすいインフラを整えていけば、多様性やQoLが向上し、イノベーションも起きやすくなる。ルールは変えられる、ルールは作れるという前提で、自由な発想でビジネスを作ってほしい」と述べた。
また、「オンライン会議が普及したことで、移動が制限された状況が軽減できたほか、チャットやドキュメントツールを併用することで、情報へのアクセスがフェアになり、組織がフラットになり、どこからでの仕事ができ、多くの人にチャンスが生まれた。動画による通信は会議だけでなく、遠隔医療や建設現場でも活用され、人材不足をカバーし、アニメやゲームなどの日本が誇るコンテンツ産業にとっては、海を渡る大きなビジネスチャンスが生まれた。優れたテクノロジーによって、人々が望むチャンスを、誰もがフェアに掴めるようになることを願っている」と語った。