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地下の空洞を既設の光ファイバーで検知し、道路陥没リスクを低減する実証実験、NTT東日本が開始
2025年2月17日 13:30
東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は2月13日、地下に敷設してある未稼働の通信用光ファイバーを活用し、路面下の空洞検知が実現できるかを検証するプロジェクトを開始した。
NTTグループが研究を進めている、地下に敷設した光ファイバーで振動を検知する技術「光ファイバーセンシング」を応用するもの。都市部の道路下に設置された上下水道やガス、電気、通信など地下管路が経年により劣化し、これが原因で路面下に空洞が発生した場合、重大事故につながる恐れがある。空洞が原因とみられる道路陥没は年間1万件以上発生しており、1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故も、地下に埋設された下水道管などの老朽化が原因とみられている。
しかし、現状では地下2m程度以上を開削せずにこうした空洞を確認することは難しく、発見が大きく遅れることも懸念されている。
光ファイバーセンシングは、地下に張りめぐらされている通信用光ファイバーが地上を通過する自動車の振動データなどを捉えられることを利用し、センサーとして利用する技術や機能。地下の空洞の有無により異なる振動が発生することから、大学など研究機関と連携して取得した振動データの分析を行い、前後の時間との振動特性を比較することにより路面下の土砂が大きく動くことで新たに発生した空洞を検知したり、前後の区間との振動特性を比較することで過去から存在していた空洞を検知したりすることの実現性を検証するとしている。
同技術の特徴として、既設の光ファイバーを利用することで、新たにセンサーなどを設置する必要がなく、電気式の振動センサーと異なり、連続的かつ無給電でモニタリングが可能になることが挙げられている。また、深い地点の地中振動特性の変化をより精度高くモニタリングできるという。
なお、NTTグループはこれまで、光ファイバーセンシングを用いて、豪雪地帯における道路除去判断を行う実証実験や、一般道の交通流モニタリングの実証実験を行ってきている。