イベントレポート

CEATEC 2025

NECPC、1日使えるバッテリーを搭載した軽量ノートPCなど、さまざまな法人向けPCを展示

「CEATEC 2025 エコ&デザインチャレンジ」の優秀賞を受賞

CEATEC 2025のNECパーソナルコンピュータのブース。法人向けPCに特化した展示は初めてになる

 CEATEC 2025に、PCメーカーとして唯一出展したのがNECパーソナルコンピュータ(NECPC)だ。同社の出展は2016年以来、9年ぶりとなる。

 今回、同社ブースで展示していたのは、法人向けPCのラインアップだ。CEATEC 2025全体でも、製品展示を前面に打ち出すケースが少ないなかで、多くの製品が展示されている様子を見て、足を止める来場者の姿も少なくなかった。

1kgを切る軽量化に加え、1日使えるバッテリーを搭載

 とくに、「VersaPro UltraLite タイプVY」は、2025年7月に発表した法人向けAI PC であり、1kgを切る軽量化を実現するとともに、このクラスでは世界最長となるバッテリー駆動時間を実現。それを訴求するために、天井からワイヤーで、同PCを吊るして、軽さを演出してみせた。

 さらに、毎日、午前10時の開場時間にあわせて、Microsoft Teamsによる接続を開始。午後5時の閉会時間まで、連続無充電のまま、オンライン会議ができる様子をデモンストレーションしてみせたことが注目を集めていた。

VersaPro UltraLite タイプVYをワイヤーで吊るして軽量さを訴求

 日々、オンライン会議をしているビジネスマンであれば、バッテリー駆動のままで、Teamsを利用すると、その後、どこかでバッテリーを充電するタイミングがあるのかどうかを気にしなくてはならない経験をしたことがあるだろう。社内であればまだいいが、外出先となると、カフェに飛び込んで、急速充電で何とか凌いだ、という経験をした人もいるはずだ。

 だが、VersaPro UltraLite タイプVYは、そうした不安を払拭できるモバイルPCであることを今回は訴求した。実際、同社では、「1日持たなければ、返品OKキャンペーン」を実施しているところであり、バッテリーの長時間駆動には強い自信を持っている。それをCEATEC 2025で証明してみせた格好だ。

 JEITA 3.0に基づく動画再生時の駆動時間では約20.1時間、アイドル時の駆動時間では約40.2時間としているが、電力消費が多いとされるTeamsにつないだままという過酷な実利用条件においても、連続無充電のまま、1日利用できることを示したのだ。

 閉会時間が近い午後4時30分過ぎに同社のブースを訪れてみたところ、接続開始から6時間33分を経過したにも関わらず、バッテリー残量は34%となっており、逆算すれば、あと3時間ほどは、連続使用ができるという余力を残していた。

Teamsへの接続開始から6時間33分を経過したが、バッテリーは34%残っていた

 VersaPro UltraLite タイプVYでは、AI制御で駆動時間を延ばす「ロングバッテリーモード」や、利用時間帯に応じて電力消費を最適化する「スマート・スタンバイ」、さらにはバッテリー寿命そのものを延ばす「スマート充電機能」など、独自のAI技術を通じて、長く利用できる環境を実現している。

 「ハイブリッドワークの環境において、外出先でパソコンを頻繁に利用するモバイルワーカー、オフィス内の様々な場所でオンライン会議を頻繁に行うビジネスユーザーは増加傾向にある。また、より多くの電力を必要とするAIアプリケーションの利用が増えるなか、多くのユーザーはバッテリー切れに対する不安を抱えている。VersaPro UltraLite タイプVY は、これらのバッテリー切れに対する不安を解消しつつ、優れたモバイル性能を提供することで、ハイブリッドワーク環境において多様化する働き方を最大限支援できる」としている。

さまざまなPCの展示や、ミニステージではセミナーも開催

 そのほか、展示ブースでは、大画面とモバイル性能を両立したオフィスワーカー向けのAI対応モバイルノートPC「VersaPro タイプVM」、エントリー価格帯ながら、ビジネスに必要な機能を搭載した「VersaPro タイプVB」、Secured-Core PCに対応し、PCの安全性を高めた「VersaPro タイプVN」、NPU搭載で高いセキュリティを実現し、豊富なBTO対応を可能にしているデスクトップPCの「Mate タイプME/MB」も展示。さらに、同社が持つ過去の問い合わせデータベースをもとに、PC操作に困った際などに解決策を提示するAIサポートチャット「AI Plus Biz」も紹介していた。

世界最長バッテリーを謳う「VersaPro UltraLite タイプVY」
オフィスワーカー向けのAI対応モバイルノートPC「VersaPro タイプVM」
エントリー価格帯ながら、ビジネスに必要な機能を搭載した「VersaPro タイプVB」
Secured-Core PCに対応し、PCの安全性を高めた「VersaPro タイプVN」
豊富なBTO対応を可能にしているデスクトップPC「Mate タイプME/MB」
AIサポートチャット「AI Plus Biz」も紹介

 また、1979年に発売したPC-8001を源流に、46年間にわたるPC事業の歴史を持つ企業であること、山形県米沢市の米沢事業場で開発、生産を行い、群馬県太田市の群馬事業場でサポートを行う体制を敷いており、国内生産による品質の高さと、3日間で納入する短納期などの強みを訴求していた。

NECのPC事業は46年の歴史を持つ
国内での開発、生産、販売サポートの一貫体制を訴求

 ブース内に用意されたミニステージでは、毎日4~5回のセミナーが行われ、AMDや日本マイクロソフトも登壇。最新の法人向けノートPCの特徴などを紹介した。

ミニステージが始まると多くの人が集まった

 ちなみに、CEATEC 2025の会期初日の10月14日には、Windows 10のEOSを迎えたが、ブース内では、これに関する訴求は行っていなかった。EOSに伴って、買い替えの検討をしていることを話題にする来場者の姿もあったという。

法人向けPCを守りから、攻めに変える

 NECパーソナルコンピュータが、CEATEC 2025に出展した背景には、2025年4月に法人向けPCの販売機能をNEC本体から移管したことが見逃せない。

 従来の法人向けPC事業の仕組みは、レノボグループ傘下のNECパーソナルコンピュータが、NEC本体からの要望に基づいて、製品を開発、生産し、NEC本体が製品を訴求し、販売するというものであった。NECでは、利益重視の路線を徹底しており、利益率が低い本体そのものは積極的に訴求せず、先進機能の搭載にも後れがあったといえた。

 だが、NECパーソナルコンピュータに法人向けPCの販売が移管されたことで、個人向けPCと同様に、NECパーソナルコンピュータが主導権を持って、開発、生産、販売、サポートを行う形となった。その最初の成果として、2025年7月に1kgを切る軽量化を実現するとともに、このクラスでは世界最長となるバッテリー駆動時間を実現した「VersaPro UltraLite タイプVY」を発表した。

 国内法人ユーザーのニーズを聞き、それを捉えたモノづくりへとシフトすることで、開発した戦略製品といえるものだ。

 NECパーソナルコンピュータでは、「法人向けPCを守りから、攻めに変える」という姿勢を強調しているところだ。

 今回のCEATEC 2025への出展は、法人向けPCの販売機能の移管を背景に開発した製品を、自ら訴求するという施策のひとつであった。つまり、同社の法人向けPCビジネスにおける「攻め」の姿勢を示したものでもある。

 同社が、法人向けPC市場におけるNECブランドPCの認知度を改めて高め、減少していたシェアを取り返すために各種施策を推進するなかで、今回のCEATEC 2025への出展は重要な意味を持つものに位置づけている。

 実際、2025年7月に発表した「VersaPro UltraLite タイプVY」を、ユーザーに対して、広く訴求する機会は、今回が初めてだという。

 「来場者からは、最新のノートPCの機能に触れて、ぜひ購入したいという声も出ていた。NECのPCのファンが増えたという手応えがあり、想像以上の成果が出ている。当社が訴求する軽さ、長時間バッテリー駆動、AIという3つのポイントが伝わったと考えている。第4四半期の期末需要に向けて、商談にも弾みがついている」と語る。

「CEATEC 2025 エコ&デザインチャレンジ」の優秀賞を受賞

 一方、CEATEC 2025で初めて用意された出展ブース評価制度「CEATEC 2025 エコ&デザインチャレンジ」において、NECパーソナルコンピュータは優秀賞を受賞した。

「CEATEC 2025 エコ&デザインチャレンジ」の優秀賞を受賞した

 優秀賞は4社が受賞したが、大規模ブースで出展した企業ばかりのなか、同社は、6コマという最も小さなブースでの受賞者となった。

 1コマあたりのCO2排出量が少ないブースづくりをしていたこと、環境に配慮した素材の使用や、展示台などの再利用を行うことに加えて、PCを吊るしたフローティングアトリエによる展示や、見学しやすい動線、グレーを基調とした壁面デザインを採用した点などが評価されたという。また、ブース内に引かれたラインは、未来に続く先進性を示したという。

3つのカラーを組み合わせたラインをブース内に配置
グレーの落ち着いた色づかいとした
ポーチやクリーナーもプレゼントした