イベントレポート

CEATEC 2025

電源ボタンなし、動作終了まで泣き続ける赤ちゃんロボット「Crying baby」で子育ての困難さを体験

 10月17日まで開催された「CEATEC 2025」では、「新生児育児体験システムCrying baby」で乳児の子育てを擬似体験できた。

 「Crying baby」は、東海大学情報理工学部情報メディア学科の小坂崇之准教授が手がけるもので、赤ちゃんを模した人形を、実際に抱っこしたりできる。

 ミルクに見立てた液体を与えたり、飲んだ後にゲップを出させるよう背中をさすったりするなど、まるで本物の乳児のように“お世話”する必要がある。また、排泄も行うが、体調が悪いと血尿が出てきたり、ときには一時的に低酸素状態に陥って顔が青くなる「チアノーゼ」という症状が出てくる。

 電源ボタンはなく、体験者は設定された動作時間(24時間または48時間)を経過するまでお世話を続けなければならない。時間中は上記のようなイベントが体験者の都合に関係なく発生し、育児の大変さを実際に体験できる。

ミルクに見立てた液体を与える「授乳」ができ、排泄もする。
一時的に低酸素状態に陥って顔が青くなる「チアノーゼ」。大声で泣くCrying babyに対し、ただあやすだけでは、なかなか泣き止んでくれなかった

 Crying babyはすでに企業の社員研修の場でも活用されている。小坂准教授は同システムの開発に至った背景として、同居する家族が倒れて、生まれたばかりの子どもを急遽1人で面倒を見ることになり、その困難さを体験したことを挙げた。

 育休に対して理解のない人にも子育ての困難さを体験してほしい、とする同氏は、短時間の体験でも実感できるものかという質問に対して「数カ月間も子育てを体験せずとも、24時間まるまるCrying Babyをあやすだけで、十分に乳児のお世話が大変かどうかは分かるはずだ」とコメントした。