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NTTドコモビジネスとNTT、自動運転レベル4における遠隔監視の「通信安定化ソリューション」提供開始

ソリューションのイメージ

 NTTドコモビジネス株式会社とNTT株式会社は10月8日、自動運転の実証実験や社会実装を目指す利用者向けに、通信安定化ソリューションの提供を開始した。

 公共交通において、運行業務の人手不足が深刻化するなかで、自動運転の社会実装に向けた取り組みが全国で進められている。両社はこれまで、全国で自動運転の実証実験に参画し、自動運転レベル4の社会実装に必要である遠隔監視での通信の安定化に取り組んできたという。

 自動運転レベル4とは、米国自動車技術会が定める自動運転レベル0~5の6段階のうちの5段階目で、運転手が目および手を離した状態でも、または不在でも、特定条件下において自動運転システムがすべての運転タスクを行う。日本では2023年4月より道路交通法の改正で公道走行が解禁され、認可を得た事業者がモビリティサービスを開始している

 自動運転向けの通信では、基地局の切り替えやエリアの干渉によって通信品質が一時的に不安定になり、遠隔監視の映像が途切れるなど、走行の安全性に影響をおよぼすリスクが存在する。さらに、これまで通信品質の安定化を実現するために必要な複数の技術が、それぞれ個別に提供されていたため、導入する際にかかる時間や手間が大きくなっていたという。

 今回両社が提供するソリューションは、自動運転車両と遠隔監視システムの間を複数回線でマルチパス接続(Wi-Fi、ローカル5Gなど複数の無線通信経路による接続)し、遠隔監視の映像が途切れるリスクを抑制した、信頼性の高い通信環境を提供する。

 また、データ連携システムにより、走行データや車載センサーの検知情報、AI画像解析の結果など、さまざまなデータを遠隔監視システムに連携可能にする。これらの技術を組み合わせてパッケージ化し、自動運転の導入を目指す自治体などに対して短期間で導入可能にする。

 ポイントとして、次の3点が挙げられている。1つ目は「無線品質予測」で、無線通信の種類ごとに、機械学習に基づいて品質を予測する。2つ目は「マルチパス通信制御」で、無線品質予測や通信状況に応じてマルチパスを制御し、高い接続性を実現する。3つ目は「リアルタイムでのデータ伝送」で、車両などのデバイスで収集したデータを集約し、リアルタイムで遠隔監視システムに連携する。

ソリューションの構成イメージ

 通信の安定性の参考データとして、フィールド実証のデータが示されている。自動運転の遅延の目安水準として400ms以下の割合が95%であるのに対し、同技術を適用しない場合は1回線目が92%、2回線目が53%にとどまったが、同技術を適用した場合は99%と、目安水準を満たすことを確認したという。