マイクロソフト、JIS90互換フォントの提供はWindows 7で最後


 マイクロソフトは13日、Windows 7向けの「MS明朝&MSゴシックJIS90互換フォントパッケージVersion 1.2b」を10月1日よりダウンロード提供すると発表した。JIS X 0213:2004(JIS2004)文字セットを標準搭載するWindows 7においても、JIS X 0208:1990(JIS90)文字セットを利用できるようになる。

マイクロソフトにおけるJIS90およびJIS2004への対応

 従来マイクロソフトでは、Windows日本語版に搭載するフォントの文字セットとして、JIS第1水準および第2水準(JIS90に規定されている6355文字)をベースとしたShift JISの漢字に加えて、1998年にはJIS補助漢字(JIS X 0212:1990に規定されている5801文字)を加えた計1万2156文字を組み込むとともに、文字の字体としては基本的にJIS90の例示字体を採用していた。

 一方、2007年1月末に一般発売したWindows VistaではJIS2004に移行。JIS2004では、エンコーディング方式としてUnicodeを採用しているほか、第3水準(1259文字)・第4水準(2436文字)の漢字などが新たに追加されている。なお、第1水準・第2水準の漢字については、JIS90とJIS2004で互換性が確保されているが、一部の文字(122文字)で異なる字体が採用されている。例えば、「逢」などのしんにゅう(1点から2点へ)、葛飾区の「葛」(「ヒ」から「L+人」へ)、祇園の「祇」(ネへんから示へんへ)などがある。

 こうした経緯があり、マイクロソフトではWindows XPまでのJIS90デフォルト搭載から、Windows VistaでのJIS2004デフォルト搭載に移行するにあたり、互換フォントを提供することで旧システムとの互換性の確保を図っている。具体的には、Windows XP用にJIS2004互換フォントパックを提供。これをインストールすることで、Windows XPにおいても、JIS2004の文字や字体(2点しんにゅうの「逢」など)を使えるようにした。逆に、Windows Vista用にはJIS90互換パックを提供し、これをインストールすることでWindows XPまでの字体(1点しんにゅうの「逢」など)を使えるようにしている。

 10月22日発売のWindows 7においてもJIS2004デフォルト搭載となるため、Vistaに引き続きJIS90互換フォントパックを提供することとした。なお、10月1日から配布するWindows 7用の「MS明朝&MSゴシックJIS90互換フォントパッケージ」は「Version 1.2b」となっているが、これは、Vista用にすでに配布している「Version 1.2」と内容は同じものだという。対象OSが異なるため、バージョン名を区別している。

 マイクロソフトでは、JIS90互換フォントパックを提供するのは、Windows 7用が最後になることも明らかにした。Windows 7の次のバージョンからは、JIS2004に完全移行するとしている。

Vista発売時は混乱なし、7発売後の影響は?

マイクロソフトの中川哲氏(コマーシャルWindows本部本部長)

 マイクロソフトの中川哲氏(コマーシャルWindows本部本部長)によると、Windows VistaにおけるJIS2004移行の際は、マスコミ報道の影響もあり、ユーザーらからは「文字化けしないのか?」といった声など、マイクロソフトの予想以上の関心が高まりがあったという。

 しかしふたを開けてみると、JIS90互換フォントパックのダウンロード数は、具体数こそ明らかにしていないが、「非常に少ない」ものだった。また、Windows Vistaで字体が変わったなどのクレームも、マイクロソフトのコールセンターで直接受けたものに関する限り0件。字体の厳密性が求められるバックエンドのアプリケーションや検索プログラムといった文字コードを扱うソフトウェアの開発者など、特定システム分野への影響を除けば、「一般マーケットに関して大きな混乱はなかった」とみており、JIS90互換パックを利用しなくても多くのユーザーには影響ないとしている。

 ただし、現状のWindows Vistaのシェアと、Windows 7に対する市場の期待や評判を考えると、今回のWindows 7におけるJIS2004移行の方がエンドユーザーに対する影響が大きくなる可能性もある。Windows 7の発売日が10月22日ということで、日本では年賀状シーズンを控えた時期という点も、エンドユーザーは留意する必要がありそうだ。中川氏によると、Vistaに引き続きJIS90互換フォントパックを提供するに至った理由として、予想されるWindows 7の普及スピードの速さも判断材料になったという。

 マイクロソフトでは現在、Windows VistaにおけるJIS2004対応についての情報ページをすでに開設している。Windows 7用の「MS明朝&MSゴシックJIS90互換フォントパッケージVersion 1.2b」提供開始に合わせて、「Windows 7日本語フォント解説ページ(仮称)」も公開予定だ。


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(永沢 茂)

2009/7/13 15:40