2009年の中国オンラインショッピング事情、CNNICが調査報告


 CNNIC(China Internet Network Information Center)は、中国のオンラインショッピング事情についてまとめた「2009年中国網絡購物市場研究報告」を発表した。

中高所得者層がオンラインショッピングを利用し始める傾向に

2008年および2009年のオンラインショッピング利用者の所得別構成比

 中国の2009年6月末時点でのオンラインショッピング利用者は、前年同期比で38.9%増の8788万人。これはインターネット利用者3億3800万人の26%に相当する。インターネット利用者の増加ペースに比べ、オンラインショッピング利用者は緩やかに伸びており、CNNICでは「娯楽目的でインターネットを利用し始める人が多いから」と分析している。

 男女別では、インターネット利用者の53%が男性であるのに対し、オンラインショッピング利用者の61.5%は女性。また、オンラインショッピング利用者の年齢層では、18歳~24歳(53.3%)が最も多く、それに25~30歳(28.4%)が続き、この年齢層で全体の8割を超える。

 職業別では、会社員(43.4%)が最も多く、以下、学生(20.1%)、自由業(13.2%)と続く。また、インターネット利用者全体に比べ、短大・専門学校卒・大卒以上の割合が多いのもオンラインショッピング利用者の特徴で、中高所得者がオンラインショッピングを利用し始める特徴がある。

 もともとオンラインショッピングは大都市部より広がったこともあり、大都市では普及している。例えば、北京では人口の60.7%にあたる1037万人がインターネットを利用し、そのうち51.3%にあたる532万人がオンラインショッピングを利用している。同様に、上海でも人口の61.8%にあたる1167万人がインターネットを利用し、そのうちの52.6%にあたる613万人がオンラインショッピングを利用している。

 その一方で、農村部ではほとんどオンラインショッピングは利用されていない。農村部のインターネット利用者は人口の28.3%だが、農村部のオンラインショッピング利用者は全体の7.4%に過ぎない。

インターネット利用者とオンラインショッピング利用者の推移インターネット利用者(青)とオンラインショッピング利用者(赤)の年齢別構成比

サイト利用率ではTAOBAOが圧倒的、Amazon中国は4.5%にとどまる

利用するオンラインショッピングサイトを1つ選ぶ場合の回答

 オンラインショッピングサイトを知る方法としては「知人友人の薦め(48.7%)」「インターネット(32.8%)」の2つの理由にほぼ占められた。オンラインショッピング利用者に知られているサイトは、C2Cサイト(ヤフーオークションのような個人対個人取引)の「淘宝網(TAOBAO、93.9%)」が圧倒的に認知度が高く、C2Cサイトで2位の「拍拍網(40.0%)」以下を大きく引き離している。3位は、淘宝網以前は人気だった旧eBay中国こと「易趣網(19.8%)」、4位は百度による「百度有〓(〓は口へんに阿、9.2%)」となった。

 B2Cサイト(楽天やAmazonのような企業対個人取引)の認知度では、最も高かった「当当網(29.8%)」でも3割弱という状況で、2位以下も「卓越網(Amazon中国、15.6%)」「京東商城(9.5%)」と認知度は低い。日本の商品が購入できることを特徴とする日本発のオンラインショッピングサイトはあるが、この調査では調査対象外であった。

 なお、「卓越網(Amazon中国)」のサイトデザインおよびサービスは日本のそれとほぼ同じである。その卓越網の評価は、他のB2Cサイトと比べて「サイトデザイン」「価格」「支払いの安全さ」「アフターサービス」で高い評価を得たが、反面「配送の迅速さ」で他サイトより劣る評価となった。

 C2CサイトおよびB2Cサイトの利用率でも、淘宝網のシェアは群を抜いていて、81.5%が淘宝網で購入すると回答。他サイトの利用率は、卓越網(Amazon中国)で4.5%、B2Cで最も知られる当当網でも10.4%、C2Cで淘宝網に続く拍拍網でも10.5%である。

 「利用するオンラインショッピングサイトを1つ選ぶなら?」という質問にも「淘宝網(76.5%)」の回答が圧倒的で、2位以下の「拍拍網(6.1%)」「当当網(5.8%)」「卓越網(Amazon中国、2.2%)」を大きく引き離した。「淘宝網だけを利用する利用者(79.3%)」が多い反面、他のオンラインショッピングサイトではそれぞれ約半数が「複数のサイトを利用する」と回答、淘宝網だけを利用するか、淘宝網と別のサイトを複数利用する利用者が多いようだ。

購入決定要因は購入者レビューが多数、専門家の意見の影響力は少ない

 また、同調査によれば、オンラインショッピングサイトを認知していながら購入経験がない人が気になる商品を探すときチェックするサイトは、「B2Cサイト(53.5%)」が最も多く、続いて「C2Cサイト(32.5%)」となっており、「検索サイト(4.3%)」「掲示板(3.9%)」「メーカーオフィシャルサイト(1.6%)」をはるかに上回る結果に。

 この結果は、オンラインショッピング経験者の29.5%が購入後に商品の感想を書き込むが、書き込み先で最も多かったのが「オンラインショッピングサイトの商品のページの感想書込欄(63.8%)」であり、「自身のブログ(27.0%)」「掲示板(21.2%)」を大きく上回っていることも影響しているだろう。

 なお、商品購入を決定する要因としては、「購入者のレビュー(43.3%)」「知人友人の意見(34.7%)」が高く、「専門家の意見(10.9%)」「著名サイトでのレビュー(7.7%)」は少数派である。商品購入前の購入者レビューのチェックは「毎回(41.1%)」「ほとんど(26.0%)」と合わせて半数以上が購入者レビューをよくチェックするという。

 購入する商品のジャンルは「服・アクセサリー(61.5%)」「化粧品・宝石(23.5%)」「本・CD・DVD(20.2%)」「携帯電話・デジタルカメラなどデジタル製品(13.2%)」「電話やゲームなどのプリペイドカード(9.0%)」「食品とサプリメント類(7.8%)」「パソコンと周辺機器(6.9%)」「家電(4.8%)」「子供向け商品・マタニティ(3.5%)」「スポーツ用品(2.4%)」「記念品(1.6%)」「花やケーキなどのプレゼント用品(1.5%)」「旅行予約(0.5%)」「その他(7.3%)」となった。

 男女別では女性の方が「服・アクセサリー」「化粧品・宝石」の購入率が高く、男性の方が「携帯電話・デジタルカメラなどデジタル製品」「電話やゲームなどのプリペイドカード」「パソコンと周辺機器」「家電」の利用率が高かった。

 2009年上半期での購入回数は「1、2回(32.3%)」「3、4回(26.3%)」「5~10回(30.5%)」「10回以上(10.9%)」だった。20代以上の会社員などの高所得者と10代の学生などの低所得者を比較すると、1回あたりの購入価格は前者のほうが高いが、利用頻度は両者ともほぼ変わらないという結果となった。

月収別でみる半年での最も利用するサイトでの購入総額月収別でみる半年でのオンラインショッピング利用回数

関連情報

(山谷 剛史)

2009/12/4 14:25