ネット上の人権侵害、前年比52.6%増加


 法務省は26日、全国の法務局など人権擁護機関が扱った人権侵犯事件の状況を公表した。2009年の新規救済手続開始件数は2万1218件で、前年から0.9%減少。一方で、インターネットを利用した人権侵犯事件は過去最多の786件で、前年から52.6%増加した。

 インターネットを利用した人権侵犯事件の内訳は、名誉毀損が295件、プライバシー侵害事案が391件で、この2つの事案が全体の87.3%を占めている。また、特定の地域が同和地区であるとといった書き込みなどの差別助長行為事案は24件あった。

 これらの事案のうち、人権擁護機関がプロバイダーなどに対して削除要請を行ったものは81件。事例としては、ネット上の掲示板に何者かが被害者本人を名乗った上で、実名やメールアドレスだけでなく、被害者の私生活に関わる不実の内容が掲載され,その書き込みを見た交際相手の両親から結婚を反対されたケースが挙げられている。

 人権侵犯事件全体では、「暴行・虐待」に関する事案が5099件と最も多く、全体の24%を占める。特徴的な動向としては、児童に対する暴行・虐待が725件で前年に比べて15.6%増加したほか、雇用情勢の悪化などにより労働関係の人権侵犯事件も1257件と前年比で11.0%増加した。


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(三柳 英樹)

2010/3/26 16:00