東京都、「非実在青少年」に関する25項目のQ&A集を作成・公開


 東京都青少年・治安対策本部は、「東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集」を作成し、26日に公開した。全28ページのPDFファイルが都のサイトからダウンロードできる。

 「東京都青少年の健全な育成に関する条例(青少年健全育成条例)」の改正案は、2010年第1回定例都議会に提出されたが、漫画やアニメに描かれた「非実在青少年」についての規制を追加しようとした条文が大きな議論を巻き起こし、継続審議となっている。都では今回、特に問い合わせが多かったという「子供に対する強姦シーン等を描いた漫画などを子供に売らない取組」について都民に理解してもらうため、わかりやすい質問回答集を作成した。

 東京都が26日に発表した「都への提言、要望等の状況」の月例報告によると、3月に広報広聴部都民の声課で扱った提言・要望は3196件。テーマ別では、文化・スポーツに関することが1291件と多かったが、青少年健全育成条例に関することも1153件に上った。反対意見だけでなく、賛成意見も寄せられているという。

 質問回答集では、「『非実在青少年』とは何か」「『非実在青少年』は生きている青少年ではないのに、なぜ規制する必要があるのか」「18歳未満に見えるキャラクターが出てくる漫画やアニメはすべて見られなくなるのか」「コミックマーケットなど同人誌販売会は対象になるのか」といった25項目についてまとめている。

 なお、改正案では携帯電話フィルタリングの解除手続きを厳格化するなど、インターネット関連の新たな規制も盛り込んでいたが、今回の質問回答集では言及していない。

 改正案の概要を都が発表したのは2月中旬だったが、具体的な改正案の条文が知られるようになったのは、3月に入り、「非実在青少年」やインターネットの規制などについて問題点を指摘する声が多く上がるようになってから。これを受けて都では3月中旬、改正案の解釈について見解を示す文書を発表。広範囲の表現規制を行う意図について否定していた。さらに継続審議が決まった後も、改正案のポイントを説明する周知資料を4月中旬に作成・公開している。ただし、条例改正の話だけに、こうした解説資料の作成・公表とともに、改正案そのものも容易に参照できるよう、都のサイトでの公開も求められそうだ(改正案全文は本誌3月11日付記事も参照されたい)。

 継続審議となった改正案は、原則として、6月に開かれる第2回定例都議会でそのまま審議されることになる。ただし一部報道では、独自の改正案の検討作業に入ることを決めた会派もあるとしており、東京都における青少年健全育成関条例の審議は長引きそうな気配だ。


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(永沢 茂)

2010/4/26 19:42