ディスプレイ広告はiPadやネットTVに最適、米Google幹部が注力姿勢示す
Google製品管理担当副社長のニール・モーハン氏 |
米Google幹部が27日に来日し、同社の広告ビジネス戦略を説明した。従来のテキストを中心とした検索連動型広告に加え、ディスプレイ広告に注力することで広告収入を拡大する考えを明らかにした。
Googleではディスプレイ広告へのアプローチとして、1)広告売買システムを簡素化する、2)広告主および広告代理店が測定可能な広告効果を引き出す、3)新規参入者へエコシステムを開放する――という3つの戦略を掲げている。
1)については、2008年3月に買収した米DoubleClickの広告配信技術を活用し、広告の売買や配信、効果測定などを簡略化。Googleと提携する100万以上のWebサイトで構成される「Googleコンテンツネットワーク」などに広告を適切に配信する仕組みを提供する。
「数百万あるサイトにどのように広告を配信するか、といった作業を自動化する。例えばFord Mortorは、環境問題を扱うサイトにはハイブリッド車、技術系のサイトには展示会の広告を配信したが、DoubleClickの仕組みがなければ準備に数十時間かかっていただろう。」(Google製品管理担当副社長のニール・モーハン氏)
また、広告プラットフォームのサーバーとして、広告主や広告代理店向けには「DoubleClick for Advertisers」、広告を掲載するサイト運営者(パブリッシャー)向けには「DoubleClick for Publishers」を提供しており、数十億の広告を毎日配信しているという。
2)については、広告主のサイトを訪問したユーザーに対して、広告主の商品・サービスに関連するその他のサイトでも広告を表示する「リマーケティング」機能により、効果的な広告配信が可能になるという。
3)については、より多くの広告主が参加できるようにするために、テキストや画像、ロゴを用意すれば、数分でディスプレイ広告を作成できるという「ディスプレイ広告ビルダー」を無償提供するなど、中小規模の事業者にエコシステムを開放する。
「何百万の広告主が検索連動型広告で事業拡大したのと同じことをディスプレイ広告でも実現したい。ディスプレイ広告ビルダーは一口で言えば、小さな広告主が大きなブランドに対抗できるツールだ。」
また、大規模なパブリッシャーや広告ネットワークがインプレッション単位で広告スペースを売買できるオンライン市場「DoubleClick Ad Exchange」では、「世界の証券取引額を上回る金額」がやりとりされ、日本でも今年度中に提供する予定だという。
Googleのディスプレイ広告戦略 | ディスプレイ戦略を実現するための製品群 |
Googleグローバルメディアプラットフォーム担当副社長のエンリケ・ディ・カストロ氏 |
Googleでグローバルメディアプラットフォーム担当副社長を務めるエンリケ・ディ・カストロ氏は、ネットユーザーの傾向として「ビデオ化」と「細分化」という2つのキーワードを挙げる。
「日本では毎日800万人近くがYouTubeを見ており、視聴率でいうと40%に相当する。国内広告主のトップ10のうち8社は、すでにYouTubeで広告を展開しているが、YouTubeはディスプレイ広告キャンペーンとしても活用されつつある。また、ユーザーはニッチなサイトを見るようになっているが、Googleコンテンツネットワークは全世界のネットユーザーの8割にリーチできる。つまり、細分化されたサイトへのリーチが可能だ。」
今後の広告ビジネス戦略についてカストロ氏は、ディスプレイ広告の果たす役割が大きいと語る。「スマートフォンやiPadにおける広告展開は、ディスプレイ広告が適切。それだけでなく、インターネット対応TVでもディスプレイ広告が配信されるようになるなど、今後5年間でディスプレイ広告は大きく広がると見ている。」
関連情報
(増田 覚)
2010/5/27 16:06
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