Google、チケット価格比較ビジネスに参入~航空券情報サービス大手ITAを買収


 米Googleは1日、航空券情報提供サービス大手の米ITA Softwareを7億ドルの現金で買収したことを発表した。

 今後、米国の規制当局の認可を得られ次第、買収手続きを完了し、Googleは、ITAの技術とデータに基づくチケット検索・価格比較サービスの開発に着手する。

 ITAは1996年に設立され、航空券の空席情報、価格状況、航空機の運行情報をほぼリアルタイムのデータベースで検索できるアルゴリズムを開発した。同社が「QTX」と呼ぶこのシステムは、XMLのインターフェイスを使用したオープンなもので、多くのサードパーティー企業がこのサービスを使用しているとされる。

 Googleは買収後もITAの既存顧客との契約を尊重し、新規顧客も獲得していきたい考えだ。旅行に関連した検索企業には、OrbitzやKayak等の有名企業が既に存在する。

 しかし、Googleではこの業界の競争は激しく、まだ改善の余地があるとしている。また、Googleは現時点で類似サービスを提供していないため、買収による市場シェアが変わることもないとしている。なおGoogleは、航空機チケットを直接販売する意志はないこと、航空券の価格設定などは行わないことを明らかにしている。

 既存のITAのQTXビジネスを拡大していく一方で、旅行関係の検索サービスを提供し、チケットを購入できるサイトに誘導するビジネスを行いたい考えだ。そのため、できるだけ多くの企業と提携関係を結びたいとしている。

 Googleは、「他社が行っているようにITAのサービスをライセンスして検索結果に組込むこともできた。しかし、Googleの技術力によって、ITAよりも大きなイノベーションと、より大きなブレークスルーをもたらすことができると考えた」としている。

 なお、ITAは欧州での事業規模が小さいため、ITA買収についてEUによる認可を得る必要はないという。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/7/2 10:27