イー・モバイル、「Pocket WiFi S」発表


中央左がエリック・ガン氏、中央右は執行役員副社長の阿部基成氏

 イー・モバイルは、Android 2.2搭載のHuawei製スマートフォン「Pocket WiFi S」(S31HW)を1月中旬に発売する。同社では、付加価値のあるモバイルWi-Fiルーターとして販売する。

Pocket WiFi+α

 「Pocket WiFi S」はAndroid 2.2を採用したコンパクトなスマートフォン。素のAndroid OSを採用したスマートフォンであり、Android端末として通話やメール、ブラウジングなど通常の利用が可能だが、イー・モバイルでは、同社のヒット商品であるPocket WiFiシリーズの名を冠して、メールやブラウジングが可能な付加価値のあるモバイルWi-Fiルーター、として提供する。「Pocket WiFi S」の「S」は、「Simple & Smart」の頭文字という。

 なお、Android 2.2は、スマートフォンを通信モデムとして利用できるテザリング機能を標準でサポートしている。国内携帯電話事業者ではテザリング機能非対応として提供しているが、イー・モバイルではこれを有効にするとともに、データ通信に注力する同社の特長を活かし、スマートフォンではなくモバイルWi-Fiルーターとして投入する。ホーム画面には専用のウィジェットが用意され、無線LAN接続しやすよう配慮されている。

 「Pocket WiFi S」の端末は、9月にドイツで開催された展示会「IFA Berlin 2010」で発表された、エントリー向けAndroid端末「IDEOS」がベースとなっている。製品ボディカラーはブラックの1色だが、バッテリー側のリアカバーが変更可能で、パッケージにはブルーとピンクの2種類が同梱される。標準のブラックはつや消し加工となり、ブルーとピンクは光沢感のある塗装が採用されている。

製品仕様

 端末には、2.8インチ、240×320ドット、静電容量方式のタッチスクリーン採用のTFT液晶ディスプレイを装備する。ベースバンドチップはクアルコム製のMSM7225チップセットで、クロック周波数は528MHz。メモリはROM512MB、RAM256MBとなる。

 通信機能は、下り最大7.2Mbps、上り最大5.8MbpsのHSPA/W-CDMA方式(1700/2100MHz)、およびGSM(900/1800/1900MHz)をサポートする。端末はSIMロックがかかっていない、いわゆるSIMロックフリーの端末として提供される。このほかIEEE802.11b/g/n準拠の無線LAN機能(WPA2-PSK)、Bluetooth 2.1+EDR、GPSに対応する。無線LAN端末の同時接続数は5台。

 カメラ機能として、320万画素のCMOSカメラを搭載する。外部メモリは最大32GBのmicroSDHCカードをサポートしている。3.5mmのイヤホン端子やmicroUSB 2.0を装備する。

 1200mAhの充電式バッテリーを搭載し、連続待受時間は約240時間、連続通信時間は約4時間連続通話時間は約350分となる。大きさは約54.8×104×13.5mm、重さは約105g。ボディカラーはブラック1色。

正面背面
ブルーのリアカバーピンクのリアカバー

端末価格と利用料金

 端末価格は、ベーシック契約の場合に1万9800円、「シンプルにねん+アシスト」で契約すると購入時支払い価格は240円になる。

 料金プランは「スマートプラン」「スマートプラン」が用意される。ベーシック契約で「にねん得割」契約の場合、「スマートプラン」で月額4280円、「スマートプランライト」で月額280円~4680円となる。「シンプルにねん+アシスト400」契約の場合、「スマートプラン」は月額4980円、「スマートプランライト」は月額980円から5380円となる。

 なお、通話も可能となっており、30秒毎に18.9円かかる従量制となる。また、イー・モバイル同士の通話が定額となるオプションサービスなども利用できる。

無線LAN機器とのセット販売も

 イー・モバイルの代表取締役社長のエリック・ガン氏によれば、同社が1年前に提供を開始した「Pocket WiFi」は、年間で60万台が供給されているという。用途は、ノートパソコンのデータ通信利用がトップで、次いで携帯音楽プレーヤー、デスクトップパソコンと続く。利用者の1/3は女性、1/4が若者であることから、ガン氏は「若者と女性に強い」と語った。

 「Pocket WiFi S」は、従来の「Pocket WiFi」の機能に、+αとしてカメラやGPSなどを盛り込んだものという。テザリング対応のスマートフォンとして販売することも可能だが、データ通信に注力するイー・モバイルはモバイルWi-Fiルーターとして看板商品「Pocket WiFi」の名を冠した。

 製品の見せ方をモバイルWi-Fiとする背景には、「Pocket WiFi S」が国内のスマートフォンユーザーが求めるスペックよりも、エントリー向けのものであることも影響しているようだ。イー・モバイルでは販売方法については検討中としているが、「Pocket WiFi」と同様に、無線LAN対応機器とセット販売なども視野に入れて製品とサービスをアピールしていく方針だ。


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(津田 啓夢)

2010/12/14 18:09