デジタル専用レコーダーの私的録画補償金訴訟、東芝が勝訴、SARVHの請求棄却


東芝が2009年2月に発売したアナログチューナー非搭載のDVDレコーダー「RD-G503W」

 東芝が販売したアナログチューナー非搭載のDVDレコーダー(デジタル専用録画機)における私的録画補償金をめぐって、東芝と私的録画補償金管理協会(SARVH)との間で争われていた損害賠償請求訴訟の判決公判が27日、東京地方裁判所であった。SARVHの請求が棄却され、東芝が勝訴した。

 SARVHは2009年11月、デジタル専用録画機の補償金を納付しなかったとして東芝を相手取り訴訟を提起。同社が2008年10月から2009年3月までに販売したデジタル専用録画機に関する補償金相当額3264万5550円の支払いを求めていた。なお、補償金相当額は提訴時点から追加され、合計1億4688万5550円となっている。

 補償金制度は、デジタル録音・録画による複製によって権利者が被る経済的不利益を補償するために、機器や媒体などに一定の割合で補償金を課し、著作権者に還元する制度。メーカーが対象機器・媒体の価格に補償金を上乗せして販売し、消費者から徴収する仕組みだ。

 今回問題となっているデジタル放送専用録画機ついては、補償金の対象とするかどうか関係者間で意見が対立し、合意が得られていない状況だった。SARVH側は課金の必要性を訴えていたが、東芝側はダビング10などの著作権保護技術によりコピーがコントロールされていることから、補償金制度の対象外であると主張していた。

 また、東芝などのメーカー側に課せられている、補償金納付に関する「協力義務」が、法的義務を有する「効力規定」か、それとも法的義務を有しない「訓示規定」かという解釈も争点の1つだった。SARVHは効力規定と主張したが、東芝側は訓示規定であると反論していた。

 さらに「協力義務」の具体的な内容についても、SARVHは「デジタル専用機器の出荷時に補償金相当額を上乗せ徴収し、これをSARVHに支払うこと」と主張していたが、東芝側は「デジタル専用機器に補償金相当額を上乗せ徴収してSARVHに支払うことに限定されるものではない」と主張していた。

 東京地裁の判決について東芝は、「損害賠償請求が棄却されたという点については妥当な判決だと判断している。具体的な判決内容についてはよく精査し、今後の対応について検討する」とコメントしている。


関連情報

(増田 覚)

2010/12/27 15:52