Google Chrome、ベータ版にウェブカメラとゲームパッドへのアクセス機能


 米Googleは9日、Chromeベータチャンネルにて最新バージョン「Chrome 21.0.1180.15」を公開した。Windows/Mac/Linux/Chrome Frameに対応する。

 最新ベータ版では、ブラウザーだけでSkypeまたはそれ以上の高度なリアルタイムコミュニケーションを実現するためのツールが初めて提供されたほか、Google Cloud Printが使いやすくなる改良も追加されている。

 新たに搭載されたのは「getUserMedia API」だ。これは、リアルタイムコミュニケーション標準規格「WebRTC」の一部で、ウェブアプリで高品質ビデオ/オーディオを使用するアプリを開発可能にする。

 WebRTCはHTML5の一部で、国際標準規格団体「W3C」に提出されているが、まだドラフトとして公開されてはいない。しかしMicrosoft、Mozilla、OperaなどGoogle以外の企業による賛同も得ており、新たなウェブアプリケーションの可能性を開くものとして期待されている。

 getUserMediaAPIを使用すると、FlashやSilverlightなどのプラグインなしに、ウェブカメラやマイクをブラウザーから使用できる。その際、ユーザー許可を求めるプロンプトが表示される。これはGoogleマップで自分の位置情報を提供する時と同じだ。

 今回搭載されたのはWebRTCのごく一部に過ぎないが、このAPIでどのようなウェブアプリが可能かについて、Googleはユーザーによって開発された2つのアプリを紹介している。

 1つはカメラに向かって手を振ることによって木琴を演奏できる「Magic Xylophone」というアプリ。カメラが撮影した手の動きを認識し、演奏できる様子がわかる。もう1つはカメラを通して入力されたビデオにリアルタイムにエフェクトをかけられる「Webcam Toy」というアプリだ。

 こうした利用方法は、現在のビデオチャットサービスがブラウザーから利用できるようになるという代替用途だけでなく、それ以上の可能性をも感じさせている。

 また、最新ベータ版には別の新しいAPIとしてGamepad Javascript APIも搭載された。標準的なゲームパッドをブラウザーのウェブアプリに接続して利用できるようになる。すでにChromeではNative Client(NaCL)向けに搭載されており、NaCL向けに高度なゲームを開発できることが示されている。今回新たにJavaScript APIが提供され、JavaScriptによる高度なゲーム開発に期待がかかる。

 実用的な新機能としては、Googleクラウドプリントが利用しやすくなった。Googleクラウドプリント対応プリンターが、Chromeベータ版の印刷ダイアログに統合された。ChromeやGoogleドライブ、スマートフォンやタブレット上のChromeから印刷が容易になったとしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/7/10 12:38