ヤフー、復興支援で三陸の特大ホタテ「デカプリホ」をプロデュース


 東日本の食の復興と創造を目的とする「東の食の会」とヤフーは10日、東北の水産品にブランド価値を与え、新たな水産業を創造する「三陸フィッシャーマンズ・プロジェクト」を立ち上げた。

 プロジェクトの第1弾としては、三陸産の特大ホタテを「デカプリホ」と命名。東の食の会にも参加するオイシックスの食品宅配サイト「Oisix」や、ヤフーが運営するECサイト「復興デパートメント」で販売開始した。

三陸産のホタテの中でも、殻の大きさが11cm以上、重さが250g以上のホタテを選別した「デカプリホ」

 デカプリホとは、三陸産の驚くほど「デカ」くて、「プリ」っとしている特大「ホ」タテのこと。三陸は親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかるため、ホタテのエサになるプランクトンが豊富だという。

 デカプリホは、そんな三陸産のホタテの中でも、殻の大きさが11cm以上、重さが250g以上のホタテを選別したもの。デカプリホを漁獲する漁業生産組合浜人によれば、250g以上のホタテは全体の約15%という。価格は10枚入りで3980円(送料込み)。

ブランド化で平均キロ単価を15%アップへ

左からオイシックスの高島さん、漁師の阿部さん、ヤフーの川邊さん

 今回のプロジェクトについて「今までの復興のようなやり方ではなく、未来に向けた新しい取り組みをしたい」と意気込むのは、ヤフー副社長最高執行責任者の川邊健太郎氏。最も重要視したコンセプトは「ブランディング」と強調する。

 従来の流通は関アジや関サバなどの例外を除けば、どこの港で上がった水産物でも値段に大差はない。一方、デカプリホをブランド化することで、最終的に平均キロ単価を15%ほど上昇させる狙いだ。

 「石巻や陸前の○○などと覚えてもらえるブランドを作りたい。ブランドを作っているという意識は、意気消沈している生産者が誇りを持つ機会となる。そこで根を張って水産加工物を提供することが、持続可能性の高い復興の実現につながる。」

 オイシックス代表取締役社長の高島宏平氏は、ブランディングの方法について「まずはネットを通して文字と画像で伝えた上で、レストランのシェフに扱ってもらったり、デパートで商品化するなどして展開を広げていきたい」と話す。

 プロジェクトでは物販だけでなく、「顔の見える水産業」も確立していく。販売サイト上では、26歳の若手漁師で、デカプリホの生産者である阿部勝太さんの声を紹介することで、水産業者と消費者をつなげた復興支援を目指すという。

 「たくさんの人たちとかかわるようになって、震災前よりも今のほうが漁業が楽しい。生産者の顔がお客さんに届くやりがいを感じている。この気持ちを次の世代にも伝えることで、中高生の進路の選択肢に漁師が入れば、と思いながら取り組んでいる。美味しいホタテなのでたくさんの人にたべてもらいたい。」(阿部さん)

 デカプリホに次ぐ第2弾プロジェクトは未定というが、東の食の会とヤフーでは今後、「無名でも価値のある商品をプロデュースしていきた」としている。

発表会ではデカプリホを使った料理が振舞われた

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(増田 覚)

2012/10/10 16:45