KDDIと住友商事がJ:COMを共同買収、CATVシェア50%超へ


 KDDI株式会社と住友商事株式会社は24日、ケーブルテレビ(CATV)最大手の株式会社ジュピターテレコム(J:COM)を共同買収すると発表した。2013年3月までに買収を完了し、同年秋にJ:COMがKDDI傘下でCATV2位のジャパンケーブルネット株式会社(JCN)を統合する。これにより新生J:COMは、CATV総加入世帯数が全国480万となり、50%超のシェアを獲得することになる。

 今回決定した住友商事とKDDIの合意内容は以下の4点。

 1)J:COMに対して、住友商事とKDDIで50:50の共同運営をすること
 2)J:COMを非上場化すること
 3)KDDI傘下のCATV統括運営会社であるJCNを、J:COMと統合すること
 4)KDDIがJ:COMを連結対象会社とすること

 1)の運営体制に関しては、代表取締役社長はJ:COMの現社長が続投し、新たにKDDIより代表取締役会長を迎えた「共同CEO体制」に移行する。2014年以降は住友商事が会長、KDDIが社長を指名。3年後の2017年1月以降の会長・社長についてはその都度協議する。

共同運営体制への移行

 J:COMは16社51局のCATV運営会社を統括しており、総加入世帯数は369万、シェアは約41%。JCNは20社20局のCATV運営会社を統括しており、総加入世帯数は110万、シェアは約12%。新生J:COMにはKDDIと住友商事の経営資源を積極的に投下し、販売チャネル拡大、物流統合、拠点統合、人的リソースの最適化などで相互効果を狙う。

 なお、J:COMの現状の資本構成では住友商事が39.98%、KDDIが30.71%を保有しているが、共同買収によって両社の議決権比率を50%ずつとする。両社折半で設立するSPC(特定目的会社)とKDDIが、普通株式1株につき11万円、新株予約権1個につき10万9999円で株式公開買付(TOB)を行う。買付金額は合計で2160億円となる見込み。

新生J:COMの概要

 24日に都内で開かれた記者会見で住友商事の大澤善雄代表取締役専務執行役員は、「新生J:COMは480万世帯、市場シェアは50%を超え、名実ともにナンバーワンCATV事業者になる」とコメント。また、持分比率が50%に増えることで同社の利益にも貢献するとともに、KDDIとの共同運営によってJ:COMのゆるぎない経営体制が構築できると話した。

 住友商事は現在、J:COMの筆頭株主だが、今後はKDDIと出資比率が同率となる。この点について大澤氏は「50%50%で共同経営するのは、安定した経営につながる」と不安要素を払拭。さらに、J:COMが非上場化することで「今までは株価が心配で思い切った経営ができなかったが、これからはスピードアップしてやっていける」と語った。

 KDDIの高橋誠代表取締役執行役員専務は、「J:COMとJCNは競争相手の統合ではない。CATVは1地域1ライセンスなので、両社の発展にとって統合はお互いプラスになる」と説明。「住友商事がパートナーとなることで、これからのCATV業界の持続的な発展をともに支えられる」と強調した。また、「マルチユース」「マルチネットワーク」「マルチデバイス」というKDDIの「3M戦略」が、新生J:COMの発展に大きく寄与できると自信を示した。

 なお、両社の間には800億円程度の共通経費があるといい、これを効率化することで事業の発展を図りたいという。

KDDIの高橋誠代表取締役執行役員専務(左)と住友商事の大澤善雄代表取締役専務執行役員

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(増田 覚)

2012/10/24 20:19