動画に“香り”を付けられるUSBアロマ噴射装置、香りの交換・合成にも対応


 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は6日、新たな香り噴射装置「マルチ・アロマ・シューター(Multi-Aroma-Shooter)」を開発したと発表した。コンパクトな装置で複数の香源を瞬時に組み合わせて提示することに成功するしたという。

 マルチ・アロマ・シューターは直径60mm、長さ60mmの六角柱で、上面の中心にある直径1mmの穴からユーザーの鼻をめがけてアロマを噴射する仕組み。内部に6種類の香源カートリッジを格納可能で、カートリッジを交換することでさまざまな香りに対応できるほか、複数の香源を組み合わせて噴射することでより豊かな香り表現が可能だとしている。

「マルチ・アロマ・シューター(Multi-Aroma-Shooter)」

 香りを噴射するタイミングと時間は、USB接続したPCからコントロールし、切り替えは最短100ミリ秒で瞬時に行えるという。「香りと映像の同期・編集ソフト」も開発した。同ソフトに動画ファイルを読み込み、下部に表示されるタイムスケールに各香源を表すアイコンをドラッグ&ドロップすることで、動画の任意のタイミングに香りを付与できる。

「香りと映像の同期・編集ソフト」

 NICTのユニバーサルコミュニケーション研究所ではこれまでにも香りの噴射装置を開発してきたが、2009年に発表した「マイクロ・アロマ・シューター(Micro-Aroma-Shooter)」は提示できる香りが1種類に限られ、香源の交換も難しかった。また、動画との同期には複雑なプログラミングが必要だったという。

4感覚対応の「多感覚インタラクションシステム(Multi-Sensory Interaction System:MSenS)」に搭載された「マイクロ・アロマ・シューター(Micro-Aroma-Shooter)」

 NICTではマルチ・アロマ・シューターをさらに改良し、NICT発のベンチャー企業である株式会社アロマジョインにおいて1年以内の商品化を目指す。食品や化粧品などのデジタルサイネージ、香りの出る映画・テレビ、リラクゼーション映像、五感デジタルミュージアム、香り体感エンターテインメントなどへの応用が期待されるとしている。


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(永沢 茂)

2012/11/7 11:00