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Google Chrome 31のβ版公開~11月にネイティブアプリ実行機能が安定版に

 米Googleは3日、ベータチャンネルでChrome 31の最新ベータ版を公開した。

 特に注目されるのは、PNaCl(Portable Native Client)が初めてベータ版に含まれたことだ。予定通りならば、11月にはChrome 31安定版でPNaClによるネイティブアプリをChromeまたはChrome OS内で利用できることになる。

 GoogleはPNaClについて、「開発者はC/C++コードを、たとえ複雑な既存のコードベースであったとしても、ユーザーインストールを必要とせず、ChromeとChrome OSの全デスクトップバージョン間で動作する単一の実行可能ファイルにコンパイルすることができる。PNaClは、ネイティブコードのパフォーマンスとウェブの移植性を兼ね備えている」と説明している。

 NaClの利用例として、C/C++で開発されたレガシィデスクトップアプリケーション、計算量を要求するエンタープライズアプリケーション、複雑なコーデックを必要とするマルチメディアアプリ、ネイティブスピードで動作させる必要のあるゲームなどが想定されている。

 PNaClアプリは、Windows、Linux、MacまたIntel、ARMアーキテクチャに関わりなく、ChromeまたはChrome OSさえあれば、単一のバイナリで動作する。ユーザーがインストールする必要はなく、ほかにプラグインも拡張機能も必要としない。ChromeがWebブラウザーの最大シェアを持つことを考えると、この影響力は大きい。さらに言えば、使用したいアプリがあれば、どのプラットフォームでもChromeさえインストールすれば使用できることになる。使用OSを変えることに比べれば負担ははるかに少ない。

 なお、現時点では「PNaCl」と「NaCl」の間に若干の差異がある。NaClはポータブルでないため、特定のアーキテクチャに依存するアセンブリ等は利用できない。また一部のライブラリにも対応していない。

 Mozillaもネイティブアプリのパフォーマンスをブラウザで実現しようと試みている。ネイティブアプリをJavaScriptのサブセットであるASM.jsに変換することで大きな成果を上げつつある。ブラウザはますますOSに近づいていると言えそうだ。

 今回のChrome 31ベータ版ではChromeアプリの使い勝手を良くする新機能もサポートされた。「URL handlers for apps」は、リンクからChromeアプリを直接起動できる。例えばドキュメントファイルをクリックすると、それに関連付けされたChromeアプリであるワープロを開くといった操作が可能となる。

 また、「Directory access for Apps」は、ユーザーが許可を与えたローカルフォルダに、Chromeアプリがアクセスできるようにする。そのためローカルフォルダーのファイルを開き、ネイティブアプリとChromeアプリで利用、またはファイルの移動が可能となる。

 Androidホームスクリーンにアプリケーションショートカットを作成できる「Application shortcuts」、オートコンプリートによってAndroid上でクレジットカード情報を入力しやすくする「requestAutocomplete() 」も追加された。この支払い入力支援機能は、当面Android、Windows、Chrome OSユーザー向けに提供され、Mac版では将来提供されるとしている。

 そのほか、WebMビデオにおけるアルファチャンネルサポート、Chrome for AndroidでのJavaScript Web Speech APIによる音声認識サポートなどの新機能も追加されている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)