ミラーリングとかの基礎知識(スマホ動画をテレビで見る方法)

第7回

iPhoneの画面をテレビに映すにはどうすればいい? 「ミラーリング」の簡単な方法を紹介【最新版】

iPhoneの画面をテレビにミラーリングしてみる。HDMIケーブル経由で、iPhoneの画面をそのまま大きく映すことができる

 iPhoneの画面をテレビにミラーリングするには、無線を使った「AirPlay」を活用する方法もあるが、最も確実でトラブルが少ないのはテレビのHDMI入力ポートにケーブルで接続する手法だ。接続する変換アダプターやケーブルの選択を間違えなければ、安定して確実に映すことができる。また、画面描画の遅延もないので、ゲームなど動きのある映像でも操作が遅れず確実なこともメリットだ。

 iPhone 15以降の機種では、ポートがLightningからUSB-C(USB Type-C)に切り替わっている。これにより、ミラーリングで利用する変換アダプターもUSB-Cで接続するタイプを選ぶ必要がある。

iPhone「16e」のユーザーは注意!

先に注意点として、iPhone 15以降の機種ではあるが、「iPhone 16e」はケーブルによるミラーリングに対応していないことを理解しておいて欲しい。もちろん、ほかのiPhone 16およびiPhone 15シリーズでは問題ない。コストを抑えた廉価版という位置付けのiPhone 16eのみ、ポートが同形状で紛らわしいのだが、USB-Cであっても映像出力がされていない(正確に言うと、USB-Cポートで映像を外部ディスプレイへ出力する「DP(Display Port) Alt Mode」に対応していないということになる)。残念だが、iPhone 16eではAirPlay以外でミラーリングはできないので、ケーブル接続でのミラーリングはあきらめよう。iPhone 16eユーザーが無駄な出費をしないためにも先にお断わりしておく。

※AirPlayなど無線によるミラーリングのやり方や、Lightningポート搭載のiPhone旧機種でのHDMI接続による有線ミラーリングのやり方については、下記関連記事を参照してほしい。

Apple純正「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」が確実

 ケーブルによるミラーリングで最も間違いがない選択は、Apple純正アクセサリの「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」を使うことだ。このアダプターにはHDMI出力ポートがあり、テレビのHDMI入力ポートに接続することで、即、ミラーリングが可能だ。つまり、USB-CとHDMIの変換アダプターのように使うことができる。

Apple純正アクセサリーのUSB-C Digital AV Multiportアダプタ
Apple純正アクセサリーの「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」

 アダプターには、ほかにUSB-Cポートも用意されているので、必要に応じて充電しながら利用することも可能。さらにもう1つのUSBポート(こちらはUSB Type-A)にストレージなど対応する各種USB機器を接続して利用することもできるという、多機能なアダプターとなっている。

 システム要件は、iPhoneではiOS 12.4以降、MacではmacOS 10.14.6以降となっている。今回は、iPhone 16のiOS 18.5にて実際に接続検証している。

USB-C Digital AV Multiportアダプタの3つのポート
ポートは、充電用USB-C(左)、HDMI出力(中)、ストレージなどを接続するUSB Type-A(右)
iPhone 16のUSB-CポートにUSB-C Digital AV Multiportアダプタを接続した状態
iPhone 16を接続すると、このような感じ。アダプターは意外と大きめ

 HDMIの映像は、60Hzのリフレッシュレートで最大4K(3840×2160)の解像度での表示や、対応するテレビであればHDRのDolby Vision(後述)にも対応している。4Kテレビでの表示はなかなか迫力がある。

 ちなみに、Lightningポート搭載iPhone向けの「Lightning - Digital AVアダプタ」では、フルHD(1920×1080)までの出力となっていて、けっこう粗めの表示となる。

 なお、HDMIへの出力ではなくプロジェクターなどへの接続用途で、VGA(アナログRGB)出力が必要な場合には、「USB-C VGA Multiportアダプタ」という製品のほうを選択するといいだろう。

HDMIケーブルをアダプター経由でテレビに繋ぐだけ

 実際の使い方は簡単だ。「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」をiPhoneのUSB-Cポートに差し込み、さらにHDMIケーブルでテレビのHDMI入力ポートに接続すればいい。

テレビのHDMI入力などの各種ポート
テレビ背面にあるHDMI入力ポートに接続する
テレビの映像入力切替画面
テレビの映像入力を、接続したHDMI入力ポートに切り替える。iPhoneとして認識している

 iPhoneをスリープ状態から解除すれば、iPhoneのホーム画面がそのままテレビにタテ画面で表示される。ゲームや動画鑑賞などでは、画面右上からスワイプして表示させるコントロールセンター[画面の縦向きのロック]をオフにし、iPhoneをヨコ向きにするとテレビのヨコ画面にフィットして表示する。

 ミラーリングの状態にしていてiPhone側で自動で画面ロックが掛かると、テレビの画面も合わせて消えてしまうので、設定の[画面表示と明るさ]にある[自動ロック]で[なし]を選択しておくといいだろう。

iPhoneでUSB-C Digital AV Multiportアダプタを認識した際に一瞬だけ表示されるインジケーター
アダプターはiPhoneで認識するとインジケーターが一瞬だけ表示されすぐに消える
iPhoneの[画面表示と明るさ]設定画面
テレビを接続すると、設定の[画面表示と明るさ]に認識される
iPhoneのホーム画面を縦表示でテレビにミラーリングした状態
このようにホーム画面がタテで表示される
iPhoneの画面を横表示でテレビにミラーリングした状態
iPhoneの画面表示をヨコ向きにすると、テレビのヨコ画面にフィットするようになる

HDMIケーブルについての注意点

使用するHDMIケーブルには、少しだけ注意が必要になる。HDR対応テレビで使う場合は、最低でも「Premium」認証済みで「HDMI 2.0」対応のケーブルが必要になる。これより上位で8K対応の「Ultra High Speed」で「HDMI 2.1」も、多少オーバースペックだが、選んでも問題ない。下位の「High Speed」で「HDMI 1.4」は、4K表示はできるがHDRの表示には対応していないので選択しないようにして欲しい。手持ちのテレビが古めの機種でHDRにこだわらなければ、特にHDMIケーブルに気にかけることはない。

サードパーティー製品の選択も、HDRでの鑑賞にこだわらないなら悪くない

 さて、Apple純正「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」でのミラーリングは確実かつ安全な選択ではあるが、税込価格で9980円と割とイイお値段なこともあり、ちょっとばかりひるんでしまう向きもあるだろう。

 実は、サードパーティー製品も含めて探すと、単純にUSB-CとHDMIを変換するシンプルなアダプターやケーブルも多数販売されている。だいたい2000~3000円あたりの製品が多く、リーズナブルで手を出しやすい。ケーブル形状のものであれば、別にHDMIケーブルすら用意する必要すらなくなる。

 今回は2製品、変換アダプター形状のAnker「PowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ」と、変換ケーブル形状のUGREEN「USB Type C HDMI 変換ケーブル(2M)」をチョイスしてミラーリングを試してみた。

AnkerのPowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ
Anker「PowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ」
UGREENのUSB Type C HDMI 変換ケーブル(2M)
UGREEN「USB Type C HDMI 変換ケーブル(2M)」

 結果からいえば、基本的に画面をミラーリングすること自体は特に問題はなく、変換アダプターとして認識し、4Kにて安定してミラーリング表示ができている。ただし、今回接続してみたアダプター2製品ともにDolby VisionでのHDR出力は利用できなかった(これによる「表示ガンマ」の違いか、わずかに表示される明暗も異なる)。

 また、細かい部分になるが、「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」使用時のみ、テレビのHDMI側が外部入力デバイスとして、機器名を「iPhone」と正確に認識し表示していた。

 HDR(High Dynamic Range)とは、映像の明るさや色域をより広範囲に表示できる規格だ。対応する動画やゲームの映像を対応するデバイスからテレビで表示させると、より美しい映像で楽しむことができるようになる。Dolby VisionはHDRの一種で、標準的なHDR10よりも表示できる範囲を広げた規格。対応する動画やゲームを表示させると、より美しい映像を堪能できる。Dolby Visionコンテンツは、Apple TV+やNetflixなどのサービスで対応している。コンテンツと再生デバイス、テレビ、HDMIケーブルの全てで、対応条件をクリアさせておく必要がある。

Apple純正「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」使用時の画面表示。Dolby Visionになる
Apple純正「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」使用時の画面表示。Dolby Visionになる
Anker「PowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ」使用時の画面表示。HDR10になる
Anker「PowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ」使用時の画面表示。HDR10になる
Apple純正「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」使用時のiPhoneの設定画面。Dolby Visionの選択ができる
Apple純正「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」使用時のiPhoneの設定では、Dolby Visionの選択ができる
AnkerとUGREENのアダプター/ケーブル使用時のiPhoneの設定画面。Dolby Visionの選択ができない
AnkerとUGREENのアダプター/ケーブルではDolby Visionの選択ができない

 一応、iPhoneで標準HDR(HDR10)出力は選択できるし、出力映像もテレビではHDR10として認識されている。Dolby Visionの表示にこだわらなければ、リーズナブルな選択肢の1つとしてアリだろう。非対応なのは、おそらくライセンス料の関係だと想像するが、特に手持ちのテレビがDolby Visionに対応していないなら、この部分の機能は関係はなくなる。このあたりは、主な利用目的と費用対効果で納得して選択するといいだろう。Dolby VisionのHDR映像もフルで楽しみたいなら、Apple純正の「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」が最善ということになる。

 動画のストリーミングコンテンツに関しては、アプリでミラーリングによる再生を許可している場合のみ、テレビ側にも表示させることができる。「Apple TV」アプリでは、ミラーリングした状態で動画再生を始めると、テレビ側の画面全体で映像が再生され、その間、スマホのアプリ画面側には停止などの再生コントロール画面になる。ストリーミングサービスのアプリでは、だいたいこのパターンが多い。もちろん音もテレビ側から再生される。もし音が出なかったら、iPhone側で消音にしていないか確認してみて欲しい。

「Apple TV」アプリでミラーリングした状態。テレビ側が動画コンテンツ表示、スマホ側は再生のコントローラー表示になる
「Apple TV」アプリでミラーリングすると、テレビ側が動画コンテンツ表示、スマホはコントローラーになる

 ゲームの場合は、双方に同じ画面が表示される。ケーブルによるミラーリングは遅延がなく、ゲームプレイにも全く支障がないので(無線のAirPlayでは問題があることが多い)、大画面でスマホゲームを楽しむことができるようになる。Bluetooth接続のゲームコントローラーも用意すれば、さらに快適にプレイできる。ただし、ゲームコントローラーは全てのスマホゲームで操作が可能なワケではないので注意して欲しい。

 最近ではホテルでも、部屋に設置されているテレビのHDMI入力ポートが使えるようになっていることもあるため、旅行先でも活用することができるだろう。ストリーミングデバイスがなくても、スマホをテレビに接続しミラーリングすれば、手軽に配信動画やゲームを大画面で楽しむことができる。ぜひ活用してみよう。