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Linux Foundationのもと、ドローンの基本ソフトプロジェクト「Dronecode」発足

Intel、Qualcomm、Baiduなどが結集

 米非営利団体のLinux Foundationは13日、無人航空機(通称「ドローン」)の基本ソフトをオープンソースで開発するためのプロジェクト「Dronecode Project」を発足すると発表した。

 発足メンバー企業は、3D Robotics、Baidu、Box、DroneDeploy、Intel、jDrones、Laser Navigation、Qualcomm、SkyWard、Squadrone System、Walkera、Yuneec。プロジェクトはLinux FoundationのCollaborative Projectの1つとして、同財団の監督のもとに既存オープンソース関連プロジェクトや資産を結集する。

 この資産には、3D Roboticsのソフトウェアプラットフォーム「APM/ArduPilot」(これにはヘリコプター用の「ArduCopter」、航空機用の「ArduPlane」、車両用の「ArduRover」が含まれている)、「Mission Planner」「DroidPlanner」も含まれる。3D Roboticsは、「WIRED」誌の元編集長であるChris Anderson氏とJordi Munoz氏によって2009年に創業されたベンチャー企業で、この分野のオープンソース開発を牽引する役割を果たしてきた。

 また、世界屈指のロボット研究機関であるETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)のLorenz Meier氏がリーダーを務めてきた「PX4」や「MAVlink」プロジェクトも参加する。

 Dronecodeには現在、1200以上の開発者が毎日150以上のコミットをさまざまなプロジェクトに対して行っており、Skycatch、DroneDeploy、HobbyKing、Horizon Ag、PrecisionHawk、Agribotix、Walkeraといった企業にすでに採用されている。

 発足したDronecodeプロジェクトのテクニカルステアリングコミッティ委員長には、APM/ArduPilotのリードメンテナーで通称「Tridge」として知られているAndrew Tridgell氏が就任する。

 DronecodeプロジェクトがLinux FoundationのCollaborative Projectになる意義について、Linux FoundationのエグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏は「Linux Foundation Collaborative Projectになることで、Dronecodeコミュニティは、ブレークスルーのその瞬間に、このような大規模プロジェクトに必要なサポートを受け取ることになる」と説明した。

 航空宇宙市場調査会社のTeal Groupの調査によると、今後10年でドローンテクノロジーに関連した世界的な研究、開発、試験、評価の市場規模は910億ドルに上ると試算。ドローンの用途としても現在の商用、軍事用途以外に、環境調査、野生生物保護、救難救命といった幅広い用途が想定され、さらにドローンが収集したデータを解析、保存、視覚化することでビジネスへの応用も期待されている。

 もともとDronecodeに関連したプロジェクトは、3D Robotics共同創業者のChris Anderson氏の趣味的プロジェクトから始まった。Anderson氏はコミュニティサイト「DIY Drone」を開設し、ここにさまざまな専門家が集まって情報交換が行われるようになった。専門家の分野は幅広く、ソフトウェア、エレクトロニクス、ロボット工学、航空工学、データ解析などで、そこからさまざまなオープンソースプロジェクトが発足し、開発されてきた経緯がある。多くのプロジェクトで「Arduino」を使用することから、プロジェクトの名称に「Ardu」が接頭辞として付くのも特徴的だ。

 Anderson氏によれば、今回Linux Foundationのプロジェクトとなったのは、プロジェクトが単にはやりだしたからではなく、「円熟期に達したと判断されるから」だとしている。Linux Foundationが正式な非営利組織としてプロジェクトを組織監督することで、企業も参入しやすくなることが期待される。

(青木 大我 taiga@scientist.com)