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3年ぶりに「うるう秒」、日本時間の7月1日「8時59分60秒」挿入――もうすぐ見納めの可能性も!?

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は16日、「うるう秒」の調整について発表した。2015年7月1日の午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に、「8時59分60秒」が挿入される。これにより、当日は1日の時間が1秒分だけ長くなる。

これまでの「うるう秒」調整実施日

 うるう秒は、地球の公転・自転に基づく「天文時」と、原子時計をもとにした「原子時」のずれを0.9秒以内におさめるため、数年に一度のペースで挿入されている特別な秒のこと。国際機関「国際地球回転・基準系事業」によって実施が決められた後、日本国内では総務省およびNICTが実際の調整を行う。1947年7月1日の初実施以来、2015年7月1日の調整が通算26回目。なお、前回のうるう秒調整は3年前の2012年7月1日に実施された。また、平日に実施されるのは1997年以来となる。

 NICTでは、電波時計用の標準電波やテレフォンサービスなどの手段を用いて、標準時を通報している。うるう秒調整を実施する2015年7月1日には、これらの通報時刻も適宜調整される。

 うるう秒についての詳しい説明やシステムごとの対応の違い、うるう秒を実感する方法などについては、前回2012年7月1日実施の際の以下の記事を参照してほしい。

 うるう秒については、その調整自体を実施するか否かで、国際的な議論になっている。

 社会全体でIT化が進んだ現在では、各種システムで対応作業が発生したり、過去にはうるう秒にともなうシステムトラブルも伝えられるなど、うるう秒実施の弊害も指摘されている。仮に調整を実行しなかった場合でも、天文時と原子時のずれは500年で30分程度とみられ、影響は限定的なものと考えられている。日本などはうるう秒の廃止を支持しているという。一方、うるう秒対応のシステムをすでに構築した国などは存続を支持するケースもある。

 このため、存廃については今年11月に開催予定の世界無線通信会議(WRC-15)で議論される予定。現時点ではどうなるか未定だが、もし仮に廃止との結論が出れば、うるう秒は2021年に廃止される見込みだ。

(森田 秀一)