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NTT、10Gbit/sのアクセス速度で100km級の広域光アクセス実証実験に世界初成功

~従来の10倍の通信速度にて、伝送距離を大幅に拡大する光増幅技術を開発~

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺、以下 NTT)は、新たに開発した「光増幅技術※1」により、従来の10倍に当たる10Gbit/sのアクセス速度で、従来の伝送距離10~20km級を大幅に拡大する100km級のフィールドにおける伝送実験に世界で初めて成功しました。
 今回の研究開発は、独立行政法人情報通信研究機構(本部:東京都小金井市、理事長:宮原秀夫、以下 NICT)より受託した委託研究「広域加入者系光ネットワーク技術の研究開発」によるものです。
 なお本成果の一部については、米国ロサンゼルスで開催中の国際学会OFC/NFOEC(Optical Fiber Communication Conference and the National Fiber Optic Engineers Conference)で3月8日(木)(米国西海岸時間)発表します。

1.研究開発の背景
 次世代アクセス系システムの研究開発では、効率的なネットワーク構築及び多様なサービスの安定提供を目指し、通信速度の高速化、伝送距離の長延化、伝送機器の省電力化等の検討が盛んに行われています。特に伝送距離の長延化は、広範囲なユーザを効率よく収容することが可能となり、且つ省電力化を促進させる可能性が高い事から技術革新が求められていました。
 NTTのアクセスサービスシステム研究所(以下、NTTの研究所)は、本課題を解決するべく、広いダイナミックレンジ※2の光増幅器を低廉に提供し、イーサネットPONシステム※3で発生するバースト信号※4に対応した光増幅技術の確立を目指し研究に取り組んできました。

2.研究開発の成果
 今回の実験は、北海道において、札幌・豊平・恵庭・千歳の各NTT東日本ビルを光ファイバで結び、総伝送距離100km以上の広域加入者系光ネットワークを模擬したテストベッド※5を構築して行いました。(図1、2)
 今回、NTTの研究所が開発した光増幅技術は、入力したバースト信号の大きさに応じて、高速に光減衰器※6を制御することによって光レベルを一定にする自動レベル制御(Automatic Level Control, ALC)技術です。また、小型経済化とアクセス系で用いられる各種波長に対応するため、利得媒体※7として半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier, SOA)を採用しました。
 自動レベル制御機能付き半導体光増幅器とIEEE802.3av※8に準拠した、10Gbit/sの速度を持つイーサネットPONシステムを組み合わせ、総距離100km以上の伝送実験を行い、10Gbit/sの速度で良好な伝送特性が得られることを確認しました。さらに、同様の実験構成で、速度約1.7Gbit/sの非圧縮HD (High definition)映像※9の双方向伝送を行い、良好な伝送特性が得られることを確認しました。

3.今後の展開
 今後は、光増幅器のさらなる性能向上を目指すとともに、装置の小型化にも取り組んでいきます。また、屋外設置も可能となるように耐環境化※10および高信頼化の研究開発を進めていきます。

【用語解説】
※1 光増幅技術
 光信号を電気信号に変えずに、光のまま直接増幅する技術。

※2 ダイナミックレンジ
 扱うことのできる最小の信号と最大の信号の大きさの比。光増幅器においては、これが大きいほど、広範囲のユーザを収容することができる。

※3 PONシステム
 Passive Optical Networkのことで、光ファイバ網において、光カプラと呼ばれる電源を使用しない分岐装置を用いて、複数の光ファイバを接続する形態。

※4 バースト信号
 ある時間間隔をおいて、間欠的に発生する信号。PONシステムの場合、上り(ユーザから通信事業者)方向において、各ユーザからの信号は、互いに衝突を避けるためにバースト状になる。

※5 テストベッド
 研究段階の技術を検証するために構築する実運用状態に近い実験環境。

※6 光減衰器
 光の強度を適切なレベルに小さくする部品あるいは装置。

※7 利得媒体
 光増幅器において光の増幅を行う物質。特殊な物質を添加した光ファイバや半導体などが用いられる。

※8 IEEE802.3av
 米国電気電子学会(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)が標準化した、10Gbit/sの速度を持つEthernet PON規格。

※9 非圧縮HD(High definition)映像
 ビットレートを低くするための符号化をしていない高精細映像。

※10 耐環境化
 屋外で使用できるよう、気密性、温度特性などの耐環境性能を高めること。


関連情報

2012/3/8 06:00