レビュー
2000円のネットカメラ「ATOM Cam」で使える1つ1000円のセンサーを家のあちこちに取り付けてみた
カメラの「死角」をカバーし、開閉と動きの検知タイミングで通知、録画が可能に!
2021年4月8日 12:00
安価ながらも実用性能の高いウェブカメラとして注目を集めた「ATOM Cam」。すでに自宅へ複数台導入している人も多いのではないだろうか。
単純な録画だけでなく、カメラ単体で人や犬猫の姿を検知するエッジAIの機能が追加されたりと常に進化し続けている製品だが、2021年2月中ごろには、さらなる機能アップが図られた。ATOM Camと連携する外部センサーが一般発売されたのだ。
利用できるセンサーは、「ATOM開閉センサー」と「ATOMモーションセンサー」の2種類。名前から想像できる通り、開閉検知と動作検知のセンサーだ。センサー3つとドングルのセットが4000円(税込)なので、1つあたり実に1000円というリーズナブルさ。
このセンサーを組み合わせることでATOM Camをどんなふうに活用できるのか、筆者の自宅であちこちにセンサーを取り付けて確かめてみた。
窓や扉の開閉を検知できる「ATOM開閉センサー」
セットになっているのは、ATOM開閉センサー2つとATOMモーションセンサー1つ、さらにATOM Cam背面のUSBポートに接続する「ATOMドングル」の4つ。
仕組みとしては、ドングルがアンテナのような役割を果たして開閉センサーやモーションセンサーからの情報を受け取り、その結果をATOM Cam専用アプリの画面に表示する、というもの。いずれのセンサーもボタン電池で約18カ月動作し、電池が切れても自分で交換できる構造だ。
まずは開閉センサーの方から見ていこう。2つの部品に分割されていて、互いに近づいていれば「閉まっている」、離れていれば「開いている」と判定されるようになっている。裏面側に取り付けられた両面テープで窓や扉などに取り付けておけば、「閉じた・開いた」をスマートフォン上でチェックできるわけだ。
開閉状態変化はスマートフォンアプリにプッシュ通知され、過去の履歴も閲覧できる。そして、開閉のタイミングでATOM Camでの自動録画できる、というのがミソだ。
窓や扉が開いたときに、付近を監視しているATOM Camで自動録画し、侵入者の姿を映像に残して証拠にする、といった使い方ができるほか、ただ開閉をプッシュ通知するだけにして、自宅の窓や門の状態を把握しておきたい、というようなニーズも満たしてくれる。
開閉した瞬間以外にも、指定時間が経過しても開いたままのときに通知(録画)する、といったことも可能。よく開閉する窓や扉で通知や録画が頻繁に発生してしまう場合も、しばらく開いたままという条件であれば煩わしいこともない。防犯目的はもちろん、換気用の窓を閉じるタイミングに気付けるようにする、みたいな使い方もアリだろう。
動きを検知し、明るさ・暗さも分かる「ATOMモーションセンサー」
モーションセンサーは、センサーの前方に動きがあるか(人がいるか)どうかを判定できるものだ。裏面側に両面テープがあるので、壁などに貼り付けてもいいし、センサーを反応させたい方に向けて置いておくだけでもいい。
こちらも状態が変化したときにはアプリ上で確認できるほか、プッシュ通知とATOM Camでの録画が可能。通知・録画のタイミングは動きがあったとき、もしくは動きを検知しなくなったときの2パターン。アプリ上では、動きだけでなく、その場所が明るいか暗いかも分かる。
しかし、動作検知の機能は、ご存じの通りATOM Cam本体にも用意されている。映像が変化したとき、人や犬猫をとらえたときなどに通知・録画するのは元々できる。なので、そこにあえて別途モーションセンサーを使う理由はどこにあるのだろう……、と疑問を抱くのはもっともかもしれない。
モーションセンサーの使い道の1つとして考えられるのは、カメラが映せない場所で動きを検知したときに通知・録画したいときだ。例えば、カメラが認識できる位置まで人が寄ってきてから録画を開始するのではなく、カメラの視界外の敷地に人が入ってきた時点で録画を開始する、というような使い方が考えられる。
もう1つは、検知の精度をより高めたいときだろう。ATOM Cam単体の検知機能で、映像の変化を録画の契機にする方法だと、狙った変化以外のものにも反応してしまいがちだ。本来はカメラの方へ近づいてきた人に対してのみ反応させたいのに、少し離れたところを通り過ぎるだけの人影も検知してしまったりする。
しかし、モーションセンサーを併用して設置場所を工夫すれば、特定のエリアに入ってきた人のみを検知できる。余計な通知や録画が減り、監視する上でより意味のある重要なアクションに絞って通知・録画ができるわけだ。
あとは、プライバシーの観点からカメラを設置したくない場所で、動きを検知したいとき、というのも考えられそうだ。トイレに誰か入っていないか、というのを知るために、いくら自宅とはいえトイレ室内にカメラを置くのはためらわれる。モーションセンサーだけ設置して動きを検知したタイミングで通知されれば、それで十分だ。
ATOM Camだけではカバーしきれないさまざまな「死角」も、センサーと組み合わせることでしっかり「見える」ようになるというわけ。
窓、玄関、宅配ボックス、ガレージにセンサーをセットしてみる
では、具体的にどんなところで使えるのか、開閉センサーとモーションセンサーを我が家のあちこちにセットしてみた。
1階の窓×開閉センサー
1つ目は、オーソドックスに1階の窓に開閉センサー。その窓付近を映し続けるATOM Camを1台設置し、窓が開閉したら録画する、という設定としてみた。
こうすることで、窓をこじ開けて侵入するような空き巣がいれば(もしかしたら窓を割るのかもしれないが)、すかさず録画して証拠映像を残せる。窓枠ではなく、ロックするためのレバー部分に取り付け、窓がロックされていないときに検知するようにすれば、戸締まり防止にもなるだろう。
玄関扉×開閉センサー
次に、玄関扉へ開閉センサーを取り付けてみた。ただ、この場合は玄関扉の端と壁に大きな段差があるため、開閉センサーが反応しにくい。そこで、ドアクローザー部分に貼り付け、開閉センサーが一定時間空きっぱなしのときに、玄関を見守るATOM Camで録画する、という設定にしてみた。
ここで注目したいのは、玄関のATOM CamにはATOMドングルが装着されていないこと。ドングルはセンサーの情報を取得するために必要なものだが、ドングルとセンサーが正しくペアリングされてさえいれば、ドングルが宅内のATOM Camのどこに装着されているかはあまり関係ない。
センサーで状態変化を検知したとき、録画を実行するカメラは任意のものを選べるようになっているから、極端な話、1階の庭で動きを検知したときに、ドングルを付けていない2階リビングのカメラで録画を行う、みたいな連携もOKだ。
宅配ボックス×開閉センサー
宅配ボックスの中にも開閉センサーを設置してみた。最近は宅配物を「置き配」されることが多くなってきている。在宅勤務でオンライン会議していて手が離せないときに、こっそり配達していってくれるのはありがたいが、夜になって配達通知のメールで届いたことを知る、みたいなパターンも少なくない。そこで、宅配ボックスの開閉を知ることができれば、配達があったことにすぐに気付けるというわけだ。
通知だけでも十分だが、場合によっては宅配物を盗もうとする人もいるかもしれない。心配なら同時にATOM Camで録画しておくのもいいだろう。
宅配ボックスが開いたときに、それを見下ろす位置にあるカメラで録画することで、誰が宅配ボックスを使ったのか(いたずらしたのか)を確認できる。ただし、センサーに防水機能はないので水がかからないようにすることもお忘れなく。
自転車用ガレージ×モーションセンサー
モーションセンサーは、ATOM Camで監視している自転車用のガレージに設置してみた。
これまでは、ATOM Cam自体の検知機能で、ガレージ内で動きがあったときに録画するように設定していたが、検知エリアを限定しても、夜間のクルマのライトなどが差し込んだときに反応してしまい、狙った検知タイミングで録画できていなかった。それをモーションセンサーで改善してみよう、というわけだ。
モーションセンサーはかなり小さく、置き場所を選ばないため、検知範囲がガレージ内に限定されるような位置と向きで設置できた。夜間にクルマのライトが差し込んでも反応することはなく、ガレージ内に入ってきた人のみを検知して録画する狙い通りの動作も実現できた。
カメラやセンサーの盗難も心配なので、設置方法はもう少し工夫する必要がありそうだが、思い描いた通りの監視ができるとうれしいものだ。
ATOM Camとセンサーを併用し、幅広い応用とより効果の高い防犯を
安価にもかかわらず、多機能で活用しがいのあるATOM Camではあるけれど、単体だけではうまく監視できないケースも多々ある。開閉センサーとモーションセンサーを組み合わせることで、そういった従来の「死角」をうまくカバーできるようになり、より効果の高い監視や防犯を実現できるはずだ。
ATOM Camをすでに導入していれば、4000円のセット1つで、2つの開閉センサーと1つのモーションセンサーをすぐに使えるようになるのも、なかなかにお買い得。これを機会に、もう一度改めてATOM Camによる自宅の監視環境を見直してみてはいかがだろうか。