レビュー

Wi-Fiルーターの「最適」を部屋のサイズ別に考えてみた!

新生活!ルーター選びから、「ちょっといいデバイス」の紹介まで

 春は新生活がはじまるシーズン。自宅を変えたり、新たな部屋に移ったりすることも多くなる。

 そして、ここで重要なのが部屋のインターネット環境だ。そこで今回は、「新生活」をテーマに、部屋のサイズや利用する人数別のルーター選びを考えてみた。

 新生活に便利そうなネット接続デバイスも取り上げてみたので、参考にしてほしい。

TP-LinkのWi-Fiルーターは、“安くて旨い”モデルが揃っている。部屋のサイズ別に選んでみよう

 さて、今回例にするのは、TP-LinkのWi-Fiルーターだ。

 TP-Linkは、中国の深センに本社を置く、価格競争力のあるネットワーク製品を世界中に提供しているメーカーだ。「予算は潤沢に掛けられないけども、性能はしっかりと妥協したくない」というときにお勧めできる。初期設定もスマホのみで簡単にできる工夫がされているところも評価できる。

 同社のモデルで興味深いのは、似たようなデザインでスペックの異なるモデルがラインナップされていること。つまり、「機種を選ぶ際、純粋に用途や性能で選べばよい」ということになる。そこで今回は、想定される部屋サイズや使い方で便利に使えるモデルを選んでみたい。

 もちろん、あえて上のモデルを選び余裕を持って使うという選択もアリだ。

今回選んだ3モデル。デザインは微妙に異なるがすごく似ている


まずは気にしてほしい「インターネット回線」

 さて、ルーター選びの前にチェックしてほしいのが「インターネット回線」がどうなっているか、あるいはどうするか、だ。

 一戸建てであれば光回線を直接引けばよいのだが、集合住宅では共用部の配線によって色々制約がある。

 光回線が直接部屋まで引かれているタイプなら、全く問題ない。もしくはLANケーブルや、CATV会社では同軸ケーブルを使って分配することもあるが、妥協できるのはこのあたりまで。VDSLと呼ばれる電話線を使って各部屋に分配しているケースでは、元は光回線であってもかなり遅くなってしまうので、注意が必要。

 これではせっかくのWi-Fiルーターの性能も無駄になってしまう。こういった共用部配線の違いは、部屋を借りる前に、よくよくチェックしておいて欲しい。

 NTT東西日本のフレッツ回線を使う場合には、IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)接続を選ぶと、これまでのPPPoE接続よりも混雑しにくい作りになっているので、比較的安定して高速通信ができる。

 今回選んでいるWi-Fiルーターは、海外製品ながらすべてこの接続方法に対応済みで、v6プラス、OCNバーチャルコネクト、transixといった接続が使える。ポート解放がややしにくいというデメリットはあるが、こうした特別な理由がなければ、IPv6 IPoE接続を選んでおくことお勧めする。

 Wi-Fiに関しては、今回挙げる3モデルすべて最新のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応している。メーカーが公表している接続範囲を見ても「一軒家で3階建てまで、マンションでは4LDK」となっていて同じだ。

 違う点であるストリーム数や処理性能、付加価値でチョイスしていけばOK。ストリーム数は、2.4GHz帯では同じで、最大速度は574Mbps。なので、主に5GHz帯の違いをチェックすればいい。また、Wi-Fiの暗号化規格は3機種とも、最新で安全性が高い「WPA3」に対応しているので安心して使える。

 それでは、実際に選んでいってみよう。


部屋の大きさと利用人数でWi-Fiルーターを選ぼう


「ワンルーム」で必要十分の「Archer AX23」

 単身世帯のワンルームなら、7~8000円程度で購入できる「Archer AX23」がシンプルでお勧め。スマホやタブレットを1台ずつ、さらにAmazon EchoやGoogle Homeを使って、音声でスマートランプやスマートプラグあたりをオン/オフする程度なら、5GHz帯は1201Mbpsまででいい。Wi-Fi 6対応のスマホは大部分が1201Mbpsまでの対応になっているので十分なのだ。

 後ほど広い部屋に引っ越しても、同社のメッシュWi-Fi「OneMesh」に対応しているので、エリアを拡張することもでき、無駄にならない。

 この「OneMesh」は、TP-Link製で対応したWi-Fiルーターと対応中継機を揃えることで、Wi-Fiのエリアを拡張することができる機能だ。Wi-Fiルーターと中継機のどちらにつながっているかを意識することなく、エリア内を行き来することができる。

TP-Link「Archer AX23」


2~3部屋の「2DK~2LDK」には「Archer AX55」

 2DKや2LDKで使うあたりの想定には、5GHz帯が2402Mbpsの「Archer AX55」がいいだろう。デバイスを少し多めにつないでも安定した動作が期待できるからだ。

 ワンルームであっても、接続するIoTデバイスが多めとか、PCのWi-Fi 6で160MHz幅の帯域を活用できるような単身者も、こちらを選択してもいい。1万円を切ったあたりの価格で購入できる。

 パートナーと2人で、Amazon Fire TVやChromecastを使ってネット動画をテレビで一緒に見たりすると楽しいかと思う。動画のストリーミング再生には、30Mbpsもあれば十分なので、前述のArcher AX23でも再生には全く問題はない。こちらも「OneMesh」に対応しているので、エリア拡張も心配ない。

 このモデルから上になると、USB 3.0ポートが付き、HDDやUSBメモリーなどを挿すことで、ファイルの共有ができるようになる。また「HomeShield」というセキュリティ機能で、接続管理の機能も使えるようになる。ただし、これはIPv6 IPoE接続時には制限があるので注意したい。

「Archer AX55」。Amazon Echo DotとChromecast with Google TVあたりと組み合わせて使うのもいい。レビューはこちら
背面にUSB 3.0ポートが付いている。HDDやUSBメモリーなどを挿し、ファイル共有ができる


「3LDK」でファミリーが使うなら「Archer AX73」

 3LDKや小さめの一軒家で人数の多めのファミリーが使うなら、5GHz帯が4804Mbpsの「Archer AX73」がいいだろう。

 6ストリームでMU-MIMOに対応しCPUもトリプルコアになって、同時に複数のデバイスからの処理をこなすのに向いている。5人程度の家族がスマホで同時接続するという環境も問題ないし、テレワークやオンライン授業などでPCを同時に接続させるといった利用でも快適だ。1万2000~1万4000円程度で購入できる。

 Archer AX73の5GHz帯4804Mbpsの速度を微妙に落として4324Mbpsにした以外、ほぼ同等性能の「Archer AX4800」というモデルもあり、こちらもとてもリーズナブル。実質ほとんど変わらない性能ながら1万円前後で購入できる。

 さまざまなIoT機器やスマートデバイスを同時に使うのにも向いているので、子ども部屋やペットの留守の見守り用にネットワークカメラを設置して使ったりしても面白いだろう。

6本のアンテナが特徴的な「Archer AX73」。レビューはこちら
見守り用のWebカメラを設置して使ってもいい。「Tapo C200」


広めの「一軒家の3階建て」ならメッシュWi-Fiで拡張

 一軒家でも3階建てなど大きめな場合や、3LDKでも部屋間の電波の通りが悪く感じる環境なら、メッシュWi-Fi「OneMesh」を活用して、Wi-Fiのエリアを拡張することをお勧めする。上記のArcher AX73にRE605Xを追加してプラス8000円程度上乗せになるが、このエリア拡大の効果は絶大だ。

 メッシュを使わずに無理してWi-Fiルーターに遠距離から直接接続すると実効速度で100Mbpsは切ってしまう状態となる位置にて、メッシュ中継機経由に切り替えると200Mbps前後がコンスタントに出るようになった。Wi-Fiルーターから遠い部屋からオンライン会議やオンライン授業をするというシーンで活躍するはずだ。

 なお、RE605Xを経由すると、5GHz帯は1201Mbpsと速度は抑えられる。また「RE605X」には有線LANポートが付いているが、これで有線LANでバックホール接続することはできない点にも注意しておこう。あくまでも無線を使って拡張する。

広い家なら「Archer AX73」に「RE605X」を追加してWi-Fiエリアを拡張しよう。メッシュ構築時のレビュー例はこちら
AX73とRE605XのOneMeshでの速度計測結果


そろえて楽しい!音声アシスタントやWi-Fiスマートデバイスたち……

 せっかくWi-Fiルーターを導入したら、Wi-Fiにつないで楽しめるスマート家電やIoT機器をどんどん導入して楽しんでみて欲しい。

 こうしたデバイスの定番はAmazon Echo(Alexa)やGoogle Nest(Googleアシスタント)、Apple HomePod(Siri)だが、今回ルーターを取り上げたTP-Linkでは、声を使ってリモコンのようにコントロールできるスマート家電「Tapo」シリーズをラインナップしている。

 同シリーズはAmazon EchoやGoogle Nest、Apple HomePodといった音声コントロールデバイスとリンクし、声でコントロールできるほか、スマホアプリを使ってスマホからコントロールすることもできる。

 Tapoシリーズの特徴としてハブが不要でWi-Fiに直接接続できることが挙げられる。アプリで設定でWi-Fiにつなぐだけで使える。

AlexaにTapoスキルを追加すると音声コントールも可能になる
LEDテープライト(下記)をAlexaに認識させた画面。これで音声コントロールができる

ネットワークカメラ「Tapo C200」

 1080pで水平360°、垂直114°の首振りができるネットワークカメラ。Amazon AlexaやGoogleアシスタントとの連携も可能。

LEDテープライト「Tapo L900-5」

 必要な長さにカットできるLEDテープライト。

 マルチカラー対応で、アプリからさまざまな色のコントロールやタイマー設定などができる。Amazon AlexaやGoogleアシスタントとの連携も可能。

 テープ状なので、家具の裏などに張り込んで間接照明に使ってムーディーな部屋にしたり、パーティーでも活躍しそうだ。

 ほかにE26ソケット接続の電球型スマートランプ「Tapo L530E」もある。

スマートプラグ「Tapo P105」

 音声アシスタントでACコンセント接続機器のオン/オフをすることができるスマートプラグ。電気スタンドのコントロールに便利だ。スケジュールを設定して指定時間にオン/オフもできるようになる。

Amazon「Echo」やGoogle「Nest」

 音声認識でデバイスを操作したいなら、スマートスピーカーを用意する。Amazon Echoでは「Alexa」が、Google Nestでは「Googleアシスタント」、Apple HomePodでは「Siri」が使えるようになる。

 各シリーズでさまざまサイズのモデルがあるが、基本の音声アシスタンス機能は同じで、スピーカーの音質や画面表示機能などで差別化している。スマホやタブレットのアプリで代用することも可能。

Amazon「FireTV」やGoogle「Chromecast with Google TV」

 テレビのHDMI端子に接続すると、NetflixやHulu、YouTubeといったストリーム動画を楽しめるようになるデバイス。スマホのようにアプリの追加でさまざまなサービス視聴に対応する。最近ではGoogle TVが入っているテレビも多くなってきた。


スマホアプリで簡単にコントロール

 ちなみに、TP-Linkの製品は、ほとんどがスマホのアプリで初期設定とコントロールが手軽にできるのも魅力の1つ。

 スマートホームデバイスは「Tapo」アプリでコントロールするが、例えばAlexaで使いたい場合には、TP-LinkのTapoスキルを追加すれば、音声でのコントロールが可能になる。うまく設定すると、例えば「アレクサ! テープライトを付けて/消して」と発話すれば、オン/オフができるようになる。

「Tether」アプリ

 Wi-Fiルーターや中継機の初期設定から簡易的な設定までが可能なアプリ。基本的にはこのアプリのみで利用できるが、例えば「WPA3」の暗号化設定など詳細な設定をしたい場合には、ウェブブラウザーにてログインして設定画面にアクセスする必要もある。

「Tether」アプリで設定したWi-Fiルーターにアクセスしたところ
「OneMesh」も含め、基本的な設定はアプリから可能だ

「Tapo」アプリ

「Tapo」アプリでは各種スマートホームデバイスに対応する

 スマートホームデバイスの初期設定とコントロールをするためのアプリ。ネットワークカメラ、プラグ、ランプ、テープライトに対応している。複数のデバイスを一度のアクションで操作する設定もできるようになっている。

「Tapo C200」でカメラの映像を表示したところ。首振りのコントロールができる
「Tapo L900-5」のライトコントロール画面


新生活キャンペーンも実施中

 なお、TP-Linkでは「総額50万円分のギフトカードが抽選で200人に当たる」とする新生活応援キャンペーンを5月8日までのスケジュールで開催している。別途条件などもあるので、気になる方はそちらも含めて参考にしてほしい。

(協力:ティーピーリンクジャパン株式会社)