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定義ファイルはフロッピーで郵送、過去30年間の“平成マルウェア”とノートンの戦いを振り返る

特設サイト「平成×ノートン史」

 平成の30年間に発見されたマルウェアと、アンチウイルス製品である「ノートン」の歴史をまとめた特設サイト「平成×ノートン史」を株式会社シマンテックが公開中だ。インターネットの普及とともに進化してきたマルウェアと、ノートンの“いたちごっこ”の歴史を振り返ることができる。

フロッピーディスクからウイルス感染ネット普及で爆増したワームやトロイの木馬などの脅威

 国内における年間のサイバー犯罪検挙数は平成11年の357件から平成30年には9046件へと増加している。この間にも数々のマルウェアが誕生してきたわけだが、平成元年から平成7年ごろまで、ウイルスの主な感染経路になっていたのはフロッピーディスクだった。当時はデータ受け渡し用のメディアとしてフロッピーディスクが使われることが多く、人づてで地道に感染を広げていった。このころのウイルスは、感染者を驚かせる程度のいたずら目的にとどまったものが多かったが、インターネットの普及によってその性質が変わるようになる。

 マイクロソフト「Windows 95」のリリースや、NTT「テレホーダイ」の開始などによってPCやインターネットが一般的に利用されるようになり、平成8年にはメール経由でのウイルス感染が見られるようになった。以降、メールを悪用した攻撃手法が確立され、今に至るまで大きな影響を及ぼしている。平成28年時点でマルウェアの感染経路として最も多く利用されているのがメールだった。

平成のインターネット普及の推移

 インターネット接続の主流がダイヤルアップ接続による従量制から、月額定額料金で提供されるADSLなど常時接続サービスにシフトしてからは、ウイルスやワーム、トロイの木馬などが猛威を振るうようになる。

 平成11年はアドレス帳のリストに含まれる人もウイルスに感染させる「メリッサ」、平成12年は「I LOVE YOU」というワームが拡散した(平成12年5月8日付関連記事『メールで広まる「I Love You」マクロウィルスに注意』参照)。同ワームは件名「I LOVE YOU」というメールに添付されたファイルのウイルスに感染すると特定のファイルが消されたり、Outlookに登録された連絡先に同じウイルスが送信されて感染を広げていくものだった。

 このほか、有名女性テニスプレーヤーの写真をメールに添付したと見せかけてウイルスに感染させる「Anna Kournikova」、ネットワーク機器を過負荷で停止させる「Slammer」、380億ドルの被害を与えた大量メール送信型の「MyDoom」や、「Sasser」、「 Netsky」、「Storm Worm」など、ワームが主流の時代だった。

平成のマルウェア