特集

「withコロナ時代」に直面するIT活用とセキュリティの課題

ラックが経営者向けに提言レポートを公開

『「withコロナ」経営者が今やるべきこと~ウイルスと共存する社会のITとセキュリティ対策~』

 2020年、世界を震撼させた新型コロナウイルス感染症のまん延。この大きな事件によって、私たちの働き方にも大きな影響がありました。外出自粛要請等もあり、多くのビジネスパーソンがテレワークへの移行を余儀なくされました。

 しかし、突然のテレワークで、このような働き方におけるビジネスに対応できるIT環境の準備をできず、事業が停滞してしまった企業も少なくありませんでした。このような環境においては、ITの停止がビジネスの停止に直結します。企業と経営者は、この想定外のリスクにさらされたのです。そうした日本企業および経営者の課題を解決するべく、株式会社ラックがコロナ禍で見えたテレワークの課題と対策を振り返る緊急レポートを作成しました。

新型コロナ対策で始まった新たな働き方

 2020年は中国の武漢周辺で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大したことから始まり、それはあっと言う間に世界中に拡散した。北半球の春季にあたる3~4月に欧州全土や米国でロックダウン(都市封鎖)が行われ、街から人影が減り、これまで小説や映画の中での出来事だと思われていたパンデミックが現実のものとなった。世界規模でのこのような規模の災害は、第二次世界大戦後では最大のものだという。

 当初は気温の上昇する夏季にはそれなりに落ち着くと思っていた人も少なくなかったが、7~8月が冬季にあたる南半球だけでなく北半球の感染も収束とはならなかった。

 その結果、世界の感染者は現在もどんどん増え続けている。2020年9月上旬時点で中南米や北米を中心に毎日20~30万人の感染者が増えている状態で、世界全体の累計感染者数は世界保健機関(WHO)の統計によると2600万人を超え、その増加をグラフで見ると感染拡大が収まるどころか、むしろ拡大している状況だ。日本の状況は、世界のそれと比べるそれほど悪いものではないが、累計感染者数は7万人を超えた。さらに、首都圏中心だった感染エリアも地方に拡大している傾向がはっきり出ており、まだまだ収束するようには見えない。

 このパンデミック状態において、世の中の様相は大きく変わり始めている。それは、人々が感染拡大するような過密な場所を避け、家の中で過ごすようになったことだ。テレワークや在宅ワークが一般化し、これまで当たり前だった朝夕の通勤ラッシュも体感的にかなり軽減している。

 このことは、想定以上に在宅ワークでも問題が無いという意外な現実とともに発生した大きな変化だろう。感染の収束が見えず、パンデミックの状況が数年単位で続くことが想定されることもあり、このような「withコロナ」の環境におけるニューノーマル(新常態)の構築が今後の経済活動において重要になるだろう。

 そして、その場合に重要になるのは、やはりITの活用だ。ウイルスと共存する社会において、ITは重要な社会インフラとなる。なぜなら、これまでの経済活動やビジネスにおいて対面のコミュニケーションが必須だったからだ。それらが制限される環境の中で、ITをどうやって活用していくかが、企業が今後も生き残って行くための重要な要素となるだろう。

IT活用に伴う課題、浮かび上がるセキュリティリスク

 しかし、そのITの活用にはいくつかの課題がある。まず重要なのが運用の課題だ。いくらITが便利になり、オンライン会議システムなどのツール類が進化しても、やはりそれらのツールをどう運用して行くかは最大の課題になる。そして、もう1つ忘れてはいけないのはセキュリティ面の課題だ。ITの活用範囲が拡大すれば、企業活動をしていく上で重要な機密情報をITで扱う機会は多くなり、これまで想定していなかった経路からの情報漏えいの可能性も高まるだろう。

 また、急激なペースで大規模に開始された在宅ワークは、誤解を恐れずに言うならば「準備不足でリスクの塊」と言って良いだろう。それは、情報漏えい面でも然りだが、通信環境に障害があるだけでビジネス全体がストップすることなどの可用性でもそうだと言える。今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を要因とした、これまでの働き方の多様化の試行レベルとは全く違うレベルの大規模な在宅ワークは、これからも想定外のリスクが多数起きるだろう。もちろん、各企業ですでに解決済みのものもあるだろうが、想定しきれていないリスクも多数残っているはずだ。

 これらは、重大な企業リスクであり、経済活動を止めないための経営課題と言える。もちろん、これまでもITは企業において無くてはならないものだったが、これからはその重要度が飛躍的に増すだろう。withコロナ時代は、経営者がITの活用の重要性とそのリスクを深く理解し、戦略的にリードしていかなければならない時代だと言える。

経営者が「今やるべきこと」をまとめたラックのレポート

 そのような経営者が理解しなければならない「withコロナ時代の経営課題」への問題提起と中長期的な考え方、そして、すぐにしなければならないセキュリティ対策を述べたのが、株式会社ラックが公開した『緊急レポート「withコロナ」経営者が今やるべきこと~ウイルスと共存する社会のITとセキュリティ対策~』だ。

 このレポートでは、IT活用と課題、セキュリティ対策について、今起きている問題や今後予想される懸念事項などを、IT分野の専門知識を持たない経営者にも理解できる平易な表現で分かりやすく説明している。所属組織や氏名などの最低限の項目の入力で無償ダウンロードできるレポートであり、このコロナ禍で経営者が何をしなければならないかの大きな気付きを得られる有益なレポートになるだろう。

武田 一城(株式会社ラック)

株式会社ラック マーケティング戦略担当。市場動向を把握する独自の情報網を持って、セキュリティ対策分野を中心に製品・サービスの事業立ち上げを行っている。また、数年に渡ってIT系メディアの連載を持っているように、執筆活動や講演活動も精力的に行っている。NPO法人日本PostggreSQLユーザ会理事。