特集
ネットワーク機器メーカーに聞く「今年の意気込み」と「去年の売れ筋」【2024年版】
今年の注目は?
2024年1月1日 09:55
新年明けましておめでとうございます。
新年といえば去年の振り返りと今年の展望。「メーカーから見た去年の売れ筋ネットワーク機器」や「今年の意気込み」が気になる人も多いはず。
そこで今回、ネットワーク機器を取り扱うメーカーに、2023年にヒットした製品やサービス、「2024年の意気込み」をお伺いし、お寄せいただいたコメントをそのまま掲載します。
コメントをいただいたのは、アイ・オー・データ機器、ASUS、QNAP、Synology、TP-Link、ネットギア、バッファローの7社(ブランド名50音順)。
各社が力を入れている、そして今後入れていくポイントや今年の意気込みなど、なかなか興味深いコメントもあるので、気になるメーカーがある方はそこを、全部読みたい方は頭からどうぞ。
株式会社アイ・オー・データ機器 広報担当 澤田和臣氏
●2023年にヒットした製品を教えてください
4G/LTEのモバイル回線とフレッツ光などの固定回線の両方がつかえるハイブリッドなM2Mルーターの「UD-LT2」です。
回線の障害に備える回線冗長化や、スケジュール・死活監視による本体の再起動を行う自動リカバリー機能を備え、遠隔地や無人拠点でも安心してご利用いただけます。
こちらの商品が、法人のお客さまからかなりのご好評をいただきました!
長時間使えるLTEルーターで、各社のSIMにも対応。法人のお客さまによろこばれる、ファンレス、金属筐体、マイナス20℃~60℃までの温度範囲での動作保証など、こういったところが評価されて、導入いただいています。
弊社はどうしてもコンシューマのイメージが強いですが、こういった法人向けアイテムもしっかりとご用意しております!
●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?
昨年20周年を迎えたLAN DISKシリーズですが、2023年の8月に法人向けのLAN DISKの引っ越し機能を強化しました!
これまでの移行の仕組みは、操作手順が多く、かつ作業中に古いLAN DISKのデータが変更されると差分が生まれるため、作業中はNASの利用を停止し、切り替え直前に差分を再度移行・上書きする必要がありました。
そのため、移行作業は業務への影響を抑えるため、夜間や休日に行わざるをえない場合がありました。
新しくなった引っ越し機能では、設定の移行が終わればすぐに新しい機器を利用開始できるため、利用停止時間を大幅に短縮。通常業務をほとんど止めずに移行作業ができるようになります。
●2024年の意気込みを教えて下さい
2024年はWi-Fi 7の年となります!
昨年の3月の特集で、弊社はWi-Fi 6Eをスキップして7とのことメントも言わせていただいています。NASも昨年12月にSoundgenicの新モデルを発表させていただいております!
2024年も、ユーザーの皆さまが快適にインターネットを使えるよう、ちょっと便利な機能、サービスを提案していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします!
●読者に一言どうぞ
当社のルーターはインターネット回線自動判別機能を搭載しているため、インターネットポートに添付のLANケーブルをさすだけで、すぐに、初期設定不要でインターネットに繋がります。
また、電波を見える化する「Wi-Fiミレル」といったアプリもご用意しており、どなたでも簡単に使えるようになっております。
土日も電話サポート対応しておりますので、ルーター選びに悩んだら、ぜひ当社のルーターも検討してみてください!
ASUS JAPAN株式会社 OPビジネスグループ マーケティング部 プロダクトマーケティング課 広報 吉田ゆみ乃氏
●2023年にヒットした製品を教えてください
2023年は5つの新製品ルーターを発売しました。中でもアンテナ内蔵型のRT-AX59Uはスタイリッシュかつ、場所を選ばずに設置ができるため、多くの方にお選びいただきました。また、Extendable Routerという新しいルーターのスタンダードについてもこの製品を皮切りに認知が広がったと感じています。
●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?
最新のRT-AX5400は160MHz帯域と1024-QAM(802.11ax)に対応した4+2デュアルバンド高速Wi-Fi 6ルーターです。4804M(5GHz)+574M(2.4GHz)で合計5400Mbpsのスピードを実現するため、ストレスなくインターネット環境を構築できます。また、この製品に限らずASUSのルーターにはハイレベルのホームネットワークセキュリティーを設けているのでご自宅でも安心してお使いいただけます。
●2024年の意気込みを教えて下さい
2024年もさまざまな新製品を控えています。ASUSのルーターの大きな特長はスマホアプリで簡単にセットアップができる点です。2024年に出た製品をメイン機として今まで使っていた製品はAiMesh機能で子機として使用していただけるので、ぜひ来年もご期待ください。
●読者に一言どうぞ
これからもさまざまな最先端の技術を用いて新製品を皆さまにいち早く提供したいと考えております。ASUSを知らない方でも面白い製品を作っている会社、と広く認知していただけるように邁進してまいります。ルーターはアプリもですがInternet Watch内の特集ページが充実していますので、ぜひこの機会に読んでみてください! ぜひ次のルーター候補はASUSでお願いします!
QNAP株式会社 プロダクトマーケティング部 部長 原 幸人氏
●2023年にヒットした製品を教えてください
ご家庭から中小企業様まで幅広くお使いいただけるNASとして、TS-264が多くの方にご支持いただけました。
スマートフォン含むカメラで撮影した写真/動画の高解像度化、大容量化という背景もあり、ご家庭で扱うデータ量も増加してきております。2.5GのEthernetや標準でNVMeを搭載するノートPCなどが増えてきている中、高速に読み書きが行える2.5GbEを搭載する本NASをご選択いただくとともに、NASにアップロードした写真をスマートフォンから削除し、空き容量を確保できるところもご好評いただいています。
企業様においては、M.2と組み合わせてSSDキャッシュを有効にしていただいたり、10GbEを増設してより高速なストレージとして使っていただく、といった形でご使用いただいております。
●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?
QNAPでは、Thunderbolt 4対応のNAS TVS-h674T/TVS-h874Tを新しくリリースいたしました。
クリエイター様向けのノートPCでEthernetを搭載せず、Wi-FiとThunderboltをサポートするような機種が増えてきております。Thunderbolt 4ケーブルで接続する場合は、20Gbps程度とWi-Fi接続よりも高速、安定した通信が可能です。
ライブラリを確認する場合は、Wi-Fiで。実際に動画編集などをする場合はThunderbolt 4による高速通信で、といった形で使い分けることが可能とご好評いただいております。
また、まもなくTBS-h574TXというE1.S規格のSSDに対応した小型オールフラッシュNASもリリース予定です。こちらにもご注目ください。
●2024年の意気込みを教えて下さい
2023年中ほどから展示会なども活気を取り戻し、コロナ禍以前の盛り上がりが出てきたように感じています。本年は、展示会やセミナーといった形で皆さまから直接ご意見交換させていただける機会も増やしてまいりますので、ぜひQNAPのSNSなどフォローし、情報をご確認ください。
ファイルサーバーのサイジング相談や、マイグレーションなどのご相談にもパートナー様と共にご対応させていただいております。ネットワーク、ストレージなどでお困りの場合は、ぜひQNAPにご相談ください
●読者に一言どうぞ
いつもQNAP製品をご愛顧いただきましてありがとうございます。
弊社はQNAP(Quality Network Appliance Provider)の名前の通り、高速、高信頼なストレージ/ネットワーク製品をご提供するため、日々開発を続けております。
引き続き、お客さまの課題解決にお役に立てる製品、ソリューションをリリースしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
Synology Japan株式会社 マーケティング部 テクニカルマーケティングコンサルタント 内山裕子氏
●2023年にヒットした製品を教えてください
昨年は大人気のDiskStation Plusシリーズモデルの最新機種が多数リリースされました! 2ベイタイプの「DS224+」や拡張性に優れた4ベイタイプの「DS923+」が大変好評です。
さらに、昨年はDSMの最新版 DSM7.2 もリリースされ、不変ストレージ機能が搭載されました。ランサムウェア対策に有効な不変スナップショットや電子帳簿保存法などのコンプライアンス対策にも役立つWriteOnce共有フォルダが実装されました。
INTERNET Watch様レビュー記事でWriteOnceフォルダの詳細をご確認ください。
また、Plusシリーズ向けに開発されたSynology製HDD「HAT3300」も大変好評です。互換性も保証され、さらにサポート窓口を一本化でき、メンテナンスも省力化できます。
●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?
2023年に日本が議長国としてホストしたG7広島サミットで、SynologyのFS6400が採用されました!
各国メディアの活動拠点となる国際メディアセンターにおいてメインの配信サーバーとして稼働しました。「収録しながら編集した映像も配信したい」という追っかけ編集などの要件もあり、IOインテンシブなワークロードにも対応できるラックマント型オールフラッシュのFS6400が採用されました。
国の威信をかけた大変重要なイベントで、遅延やコマ落ちが許されず、高い水準のパフォーマンスと信頼性が求められるプロジェクトでしたが、FS6400は最後まで一度もコマ落ちすることなく、期待通りのパフォーマンスを発揮し、G7広島サミットの成功に貢献しました。お客様事例記事にて詳細をご確認ください。
●2024年の意気込みを教えて下さい
昨年、Synology製の監視用IPカメラ「TC500/BC500」が新たに製品ラインアップに加わりましたが、今年はさらにWi-Fiカメラの発売が予定されています。
2.4GHzと5GHzの両方に対応するデュアルバンドWi-Fiで、配線が難しい環境でも柔軟に導入できます。
また、生成AIを活用したバージョンアップも予定しています。オンラインでの共同編集を可能にするSynology Officeに、AIライター機能の搭載が予定されています。提案書や表計算など、生成AIの機能を活用して生産性を向上させます。
●読者に一言どうぞ
新年明けましておめでとうございます! 2023年もINTERNET Watchの多くの読者さまに応援いただき、誠にありがとうございました。
Synologyはデータ保護の企業として、NAS、HDD、SSD、監視カメラ、自社クラウドストレージなど、あらゆる製品ポートフォリオでお客さまの大切なデータを保護しています。今年もホームユースからビジネスユースまで、誰にとっても使いやすいインターフェースでデータ保護に関する包括的なソリューションを提供してまいります。
今年もよろしくお願い申し上げます!
ティーピーリンクジャパン株式会社 マーケティング部 小野氏
●2023年にヒットした製品を教えてください
日本特別モデルであるアンテナ内蔵×縦置き型ルーターが人気でした。日本のお客さまの声を反映して誕生した本シリーズは、2022年12月に販売を開始した「Archer AX80」を筆頭に、Wi-Fi 6Eに対応したものやシリーズ最小の文庫本サイズ等ハイエンド〜エントリーモデルまでラインアップ幅を広げています。
省スペースで設置可能なスリムなデザインとIPv6 IPoEやメッシュ機能等の実用性をご評価いただいている印象です。特に「Archer AX3000」は、最大推奨接続台数42台、セキュリティシステム「HomeShield」搭載等、単身者の方〜ご家族までご活用いただけるちょうど良いスペックを備えた高コスパモデルとなっており、多くの方にご好評いただいております。
●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?
Wi-Fi 7製品です。TP-Linkでは、2023年9月に日本初のWi-Fi 7ルーター「Deco BE85」の販売を開始しました。
昨今、Wi-Fi接続を必要とするデバイスは増え続けており、見守りカメラやロボット掃除機等スマートホーム製品を活用されているご家庭も多く、常時Wi-Fiに繋がっているデバイスは複数台。さらに最近では、8K動画やVR等大容量を必要とするコンテンツも見られるようになり、オフィスやご家庭でも10G回線が普及してきおり、10G回線と合わせて最新規格であるWi-Fi 7ルーターの導入を是非ご検討いただきたいです。
2024年は、Wi-Fi 7シリーズへ更に新ラインアップが仲間入りする予定です。進化し続けるネット環境を、最新技術でサポートします!
●2024年の意気込みを教えて下さい
本年もルーターをメインに最新規格や新デザインを備えたネットワーク製品を展開します。
法人向け製品からもWi-Fi 7 APや長距離AP等新ラインアップが続々登場予定です。弊社ネットワークソリューション「Omada」は、ホテルや商業施設などさまざまな施設でご活用いただいております。
TP-Linkは、ご家庭〜企業向けWi-Fiまで 幅広くネットワーク構築をサポートします。
本年もあらゆるユーザーニーズに応える新製品を展開していきますので、ぜひご期待ください。
●読者に一言どうぞ
TP-Linkでは、最新のテクノロジーを積極的に取り入れていくとともに、ユーザー目線での開発をモットーにさまざまなユーザーの利用環境に適した製品を展開していきます。エントリ〜ハイエンドまで揃う製品ラインアップを最高のコストパフォーマンスでお届けします。
2024年もTP-Linkをどうぞよろしくお願いいたします。
ネットギアジャパン合同会社 マーケティングスペシャリスト 添田絢也氏
●2023年にヒットした製品を教えてください
11月に発売を開始した5G SAおよびミリ波/Sub6対応Wi-Fi 6Eモバイルルーター「Nighthawk M6 Pro(型番:MR6550-100APS)」です。
ハイエンド機種にふさわしく、通常の無線接続だけでなく2.5G マルチギガポートおよびUSB Type-Cポートを活用した有線接続にも対応しています。
高速の5Gを活用する需要の高まりに加え、有線接続で通信の安定性を求める方々より引き合いをいただいています。USB Type-C経由でPTZカメラとテザリング接続する活用法など、映像配信のフィールドにおいても問い合わせが増えてきています。
オフロードにも対応しているので、さまざまなシーンでお使いいただけるのも強みですね。
●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?
Wi-Fi 6E対応のメッシュWi-Fiシステム「Orbi 9(型番:RBKE963-100JPS)」です。発売したのは2022年末でしたが、その当時に比べて6GHz帯のWi-Fi 6E対応クライアントがかなり充実してきました。iPhone 15 Pro/Pro MAXがWi-Fi 6E対応ということで、かなり身近になってきたのではないでしょうか。
6GHzは混雑が少ないと言われていますが、高速道路で例えるとわかりやすいですね。150km/hで走れる道路も、前を走るクルマが多ければスピードを出すことはできません。混雑が少ないということは、前を走るクルマが少ないということです。
ネットギアのYouTubeチャンネルで6GHz帯と5GHz帯の速度比較を公開していますので、ぜひチェックしてみてください。
●2024年の意気込みを教えて下さい
2024年はWi-Fi 7対応製品の動きが活発化すると予測されます。ネットギアの強みは特許技術を生かした真のメッシュWi-Fiシステム「Orbi」があることです。もちろん、Wi-Fi 7対応のOrbiについても着々と準備を進めておりますので、ご期待いただければ幸いです。
速度はもちろんですが、Wi-Fiで重要なのはカバー範囲だと考えています。ライフスタイルが多様化した現代では、Wi-Fiを使うのは家の1か所だけではないですよね。あらゆる場所にWi-Fiを満たすOrbiを、より多くの方に広めていきたいです。
●読者に一言どうぞ
実際にはまだ「つながればいい」という感覚で、低速の回線のまま使い続けている方は少なくないでしょう。
ほんの数年前には4K映像のストリーミングは一般的でなかったと思います。しかし気づけば、一般家庭でこういった高画質の映像を楽しむことが当然の世の中になっています。この流れが止まることが考えられない以上、家庭内におけるWi-Fiの通信速度とカバー範囲を向上させることは急務ではないでしょうか。
株式会社バッファロー 販売企画部 部長 志村太郎氏
●2023年にヒットした製品を教えてください
Wi-Fi 6E対応ルーター「WSR-5400XE6」です。
昨年9月に発売されたApple社のiPhone 15 ProとPro Maxが「Wi-Fi 6E」に対応していたこともあり、「Wi-Fi 6E」の普及は徐々に高まってきています。「Wi-Fi 6E」は新たに6GHz帯を利用することで、安定した通信環境でのリモートワーク、動画のストリーミングサービスもストレス無い通信で利用できます。対応端末を導入することで従来の5GHz帯の混雑を解消できるのもポイントです。
市場価格2万円弱という手の届きやすい価格である点も評価いただきました。「スマート引っ越し」に対応しているため、煩わしい設定をし直す必要がなく、買い替え前のWi-Fi環境を簡単に再現することが可能となる点もお客さまによろこばれています。
●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?
注目のキーワードは「Wi-Fi 7」。
2023年末に電波法令が改正され、新たに6GHz帯の帯域幅320MHz通信が可能に。これまで国内の6GHz帯の帯域幅は最大160MHz通信までのため、従来品は帯域幅320MHz通信を利用することができない状況でした。法令改正によりWi-Fi Allianceによって策定中のWi-Fi 7においても、6GHz帯の帯域幅320MHz通信が利用される予定のため、弊社は近々にWi-Fi 7対応ルーターを発売予定。
Wi-Fi 7は理論上の最大通信速度36Gbpsで、Wi-Fi 6/6Eの最大通信速度9.6Gbpsと比較して約3.8倍の高速化を実現。従来の規格に比べて最大通信速度や接続の安定性が向上し、進化するWi-Fiの利用シーンの要求に応えられるようになります。
●2024年の意気込みを教えて下さい
コーポレート・ステートメントの「つなぐ技術で、あなたに喜びを」のもと、お客さまに質の高い商品・サービスを提供していきたいと考えています。皆さまにネットワークを提供する会社として業界を牽引しながら、新しい規格・新しい技術をいち早くお届けし、快適なデジタルライフを不安なく過ごしていただけるように努力いたします。
●読者に一言どうぞ
ユーザーの皆さまに寄り添った使いやすい商品展開を心掛け、強化してまいりたいと考えております。2024年もバッファローをどうぞよろしくお願い申し上げます。