読者参加企画「ヤフオク・ユーザー座談会」レポート(前編) ~ヤフオク担当マネージャーも出席、ユーザーの声を直接届ける
INTERNET Watchは12月2日、ヤフー株式会社と共同で「ヤフオク・ユーザー座談会」を開催した。ヤフーが運営する国内最大の個人間取引サービス 「Yahoo!オークション(ヤフオク)」を利用中または利用経験のあるユーザーの方をINTERNET Watch誌上で募り、ヤフオクへの意見・要望をお聞きした。ここでは、参加者からあがったさまざまな意見や要望を前後編に分けてお伝えする。
座談会は、ヤフー本社オフィスのある東京・六本木ミッドタウンで実施した |
●ヤフオク担当マネージャーも出席、ユーザーの声を直接ヒアリングする
座談会は、東京・六本木のミッドタウン・タワー にあるヤフー本社オフィスで実施。ヤフーからは、ヤフー株式会社 コンシューマ事業統括本部 ECオペレーション本部 本部長の坂本孝治氏をはじめ、ヤフオク事業に関わる担当者やマーケティング担当者ら総勢20名近くが参加。うち坂本氏ら関係部門のマネージャー4名が同じ席に着き、ユーザーの声に耳を傾けた。
座談会の模様。個人情報保護のため、参加者はその場でつけたハンドルネームを名乗る形をとった | ECオペレーション本部 本部長の坂本孝治氏をはじめ、ヤフーの担当者が多数出席した |
今回参加していただいた読者ユーザーのプロフィールは実にさまざま。実店舗を経営する傍ら、楽天オークション(楽オク)、DeNAのモバオクを含めた複数のオークションを使いこなす方、趣味の品の落札を中心に1000回以上のヤフオク利用実績がある方、利潤追求を目的にほぼ完全に出品だけを行う方、ヤフオクがサービスを開始した1999年9月以来、継続的に利用しているという方も。
募集時に条件として、「ヤフオクにおける入札・出品評価が合計50件以上ある」「評価が50件以上あるが現在はヤフオクを利用していない」「ヤフオクをまったく利用していないが、月1回はなんらかのオークションを利用している」のいずれかを満たしていること――を挙げていることもあり、PCスキルも含めサービス利用経験の豊富な利用者に集まっていただいた。
進行はINTERNET Watch編集部が行い、前半はグループインタビュー方式で順に意見を聞き、後半は、出席者同士でも積極的な意見交換が行われた。
●「検索は表記ゆらぎに対応を」「アラート機能は設定可能なキーワードが少ない」
「Yahoo!オークション(ヤフオク)」のトップページ |
座談会の最初のテーマになったのが、ここ1年でヤフオクの利用頻度が上がったか、あるいは下がったか、という点。合わせて、そうなった理由も具体的に聞いた。
「利用が減った」と答えたユーザーは、ユーザーインターフェイスの使い勝手が改善されていないと指摘する。具体例として挙げたのが、出品者が閲覧する落札者一覧画面において、どの落札者が「Yahoo!かんたん決済」経由で入金したか、あるいは入金していないのか判別しにくいというもの。この参加者は「明らかに他のオークションサービスと比較して劣っている部分」と指摘。数多く出品するユーザーの視点から不満点を挙げた。
他にも「利用が減った」というユーザーは複数いた。理由としてもっとも多く挙げられたのが、検索の使い勝手だ。ある落札メインの参加者は「Googleの検索に慣れてしまうと、同義語であったり、濁点と半濁点の入力間違いなどの表記のゆらぎに対応していないヤフオク検索は不便に感じる。同じ言葉でも表記がカタカナかひらがなかで検索結果が変わる。結果的に、欲しい品が出品されていることに気づかないまま、取引終了していたこともある」と具体例を挙げた。
出品メインの利用者も、オークションでの相場価格を調べるためにヤフオクで検索するが、表記のゆらぎに対応していないため同種の出品を並べて比較することが難しいことがあるとコメント。
また、直接の検索ではないが、オークションアラート機能の限界を指摘する声も上がった。気になるキーワードを設定しておくと、その条件に適合する出品が行われた場合に通知してくれる機能だが、「好きな作家名を登録しておきたいのだが、そうすると(無料で知られる)青空文庫のデータをまとめたCDなども引っかかってしまう。その出品者IDをもとに除外することもできるが上限は15件までだし、結局他のIDで再出品されたらそれまで。そういった積み重ねが落札したいという気持ちを萎えさせている」という意見も出た。
また、このオークションアラート機能は、キーワード登録の件数は無料会員は3件まで、有料のYahoo!プレミアム会員は最大50件までという制限がある。このため、上述の検索表記ゆらぎ問題を補完しようとすると、「ポスター」という語に対し「ボスター」「ホスター」などを同時登録する必要があるため、あっという間に制限枠を使い切ってしまうという。
一方、ヤフオク標準の検索機能は現状でも十分であり、特定の商品を探すなら、オークション内の検索機能よりも、Googleやヤフーのウェブ検索で「オークション ○○○(探している品物)」など複数キーワードを設定して絞り込む方がいいと指摘する声もあった。ウェブ検索を利用した場合は、ヤフオクの出品をもれなく探すことはできない代わりに、ヤフオク以外のオークションサービスも横断的に検索することが可能だ。同様に、複数のオークションを串刺し検索する「オークファン」のようなサービスを利用しているという参加者もいた。
また、商品ジャンルによっては低価格化が早く、同等性能の新品が、中古よりも安く販売されているという逆転現象も起こる。このため、Yahoo!ショッピングで販売されている新品も含め、串刺し検索できればという出品者の声もあった。これについては、おもに落札で利用する参加者からも、オークションとショッピングを串刺し検索できれば、価格を見て中古にするか新品を買うかという検討が一度にできて便利になるという要望が上がった。
●実名登録のFacebook普及の影響で、再びエスクロー対応への要望が上がる
Facebookなどの実名制SNSが流行したことをきっかけに、ヤフオク利用が慎重にならざるを得ないとする出席者もいた。一般的な例として、落札者は出品者に対し、配送に必要な住所、氏名、電話番号を伝える必要がある。しかし、Facebookでその氏名を検索されると、プライバシー設定によっては勤務先や家族構成といったその他の情報まで"ダダ漏れ"になってしまうからだという。
この参加者は「相手がFacebookをやっていることで(利用履歴を見て)逆に安心できることもあるが、やはり普段から交流のない人に個人情報を伝えたくはない。進むに進めない状態」とも補足。住所や振込口座を教えあうことなく取引できる「エスクロー」(匿名取引サービス)の必要性が再び高まるのではないか、と語る。
ただ、ヤフオクでは2007年にエスクローを導入 (サービス名「受け取り後決済サービス」)したものの、利用者が伸び悩んだことからすでに提供を打ち切った。これに対して、別の出席者たちからは「楽オクでは匿名配送が現在でも積極的に利用されているように思う」「ユーザー向けPRの手法にも差があるのでは」といった意見も聞かれた。
●「商品ページ」の保存期間はどのくらいが適当か~120日では短すぎる?
ヤフオクの「商品ページ」。入札状況がリアルタイム表示されるだけでなく、落札後のユーザー間連絡にも利用される |
サイトの使い勝手を左右するヤフオクのユーザーインターフェイスについても、多くの意見や要望が上がった。「ヤフオクのTOPページに、『おすすめのオークション』ではなく利用者の落札履歴に基づいた出品を表示しては」、「出品カテゴリーを整理して、小カテゴリーでも『その他』の項目を選べるようにして欲しい」、「落札されなかったものを簡単に再出品できるのはいいが、再出品時に写真を追加できないのはおかしい」といった具体論も多かった。
また、終了した取引について、本人が情報を参照できる期間や、第三者が取引履歴を過去にさかのぼって参照できる期間など、過去の取引情報の見せ方についてもさまざまな意見が出された。
その1つが、「取引相手のIDを後になって再確認するのが難しいので、自分の取引履歴については期限なしで見られるようにしてほしい」という要望だ。現在ヤフオクでは、取引条件や入札価格を示した「商品ページ」を、落札者がいた場合は取引終了から120日、いない場合は60日で削除しており、自分の取引であっても参照できなくなる。「またあの人から買いたい」と思った場合も、前述の保存期間が過ぎると、自分の取引であっても参照できない。これを、「マイ・オークション」のメニューから同じ出品者を探してもう1度入札するといったことができるように改めて欲しいとの意見があった。
また、現在は商品ページに紐付いた「取引ナビ」と呼ばれる非公開型掲示板を使って、振込口座や発送先を連絡しあうようになっている。メールアドレスを相手に知らせる手間は省けるものの、取引終了後120日が経過すると、商品ページ削除と同時に取引ナビのログも削除される。
また、商品ページが消される時は、当然ながら商品画像も削除される。このため、事前の説明(キズの有無)と実際に届けられたものに間違いがないか、など信頼のおける出品者だったかどうかなどが後から確認するのが難しい、との不満が複数の参加者から上がっていた。
一方で、各ユーザーの評価は、期間制限は設けずに公開している。このため、商品ページは削除されていても、評価でどういうものを購入したかが第三者からわかってしまうので、評価の詳細も一定期間経過後に見えないようにしてほしいという要望もあった。コレクター商品の場合は、数年前に落札した商品を譲ってくれないかといったメールが来ることがあるためだという。
ヤフー担当者によると、落札済みの商品ページでは、落札の瞬間から落札者のID表示が一部伏せ字になるが、これはYahoo! JAPAN IDあてに不正請求などの迷惑メールが送りつけられることからユーザーを守るための措置だという。
第三者に公開された商品ページの削除やIDの一部伏せ字化については、プラスの面も評価する参加者が多かったが、自分のヤフオク管理画面である「マイ・オークション」からも120日間で閲覧できなくなる点には多くの参加者が異議を唱えた。「一般的な通販サイトの購入履歴のように、自分の取引履歴については長期間保存、閲覧できるようにして欲しい」という意見には賛同者が多かった。
(明日の後編につづく)
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2011/12/19 06:00
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