「ホロス2050未来会議」キャッチアップ便り

〈インターネット〉の次に来るもの――「第7章 情報過多時代の人生論/FILTERING」

最も重要になるのはフィルタリングやパーソナライズの新しい方法である

 2017年12月14日お茶の水デジタリハリウッド大学で第7回ホロス2050未来会議「第7章 情報過多時代の人生論/FILTERING(フィルターしていく)」が開催された。

 ケヴィン・ケリーの著作『〈インターネット〉の次に来るもの』から各章のキーワードを拾い、未来を読み解く同会議も今回で折り返し点を迎えた。第7回のキーワードは「FILTERING」。ケリーはインターネット誕生後の情報爆発について「広大な万物のライブラリーは、狭く限られたわれわれの消費習慣をはるかに凌駕していく。こうした広野を旅するには道案内が必要だ」と、フィルタリング、パーソナライズの重要性を述べ、その先に人々の注目が経済を動かすアテンション・エコノミーの登場を予想している。

 現在、インターネットの世界で情報選択のアシストをするフィルターの代表は「レコメンド・エンジン」だが、その利用によってフィルターバブルによる過剰適合で居心地の良い情報しか表示されなくなったり、プラットフォーマーの検閲が行われるなどの危険性も指摘されている。

藤村厚夫氏。アスキー(当時)で『netPC』『アスキーNT』の編集長を歴任し、現在はスマートニュース株式会社執行役員としてメディア事業開発を担当している
竹下隆一郎氏。朝日新聞社でR&Dや新規事業開発に携り、現在『ハフィントンポスト日本版』編集長

ファクトチェックによる幅広いニュース提供を図る

 藤村厚夫氏は、ニュース配信メディアだが編集部が存在せず、クロールし発見したニュースの中からフィルターが選択したものを届けるというスマートニュースの仕組みを紹介。「SNSなどのプラットフォーマーは広告モデルの目的次第でシリアスなニュースを掲載しないなどの措置を講じているが、それは人々の2極化対立の温床になりかねない。スマートニュースではファクトチェックによる安定した幅広いニュースの提供を図っている」と説明した。

特定のニュースが排除される危険性を避ける

 竹下隆一郎氏は、ハフィントンポストへの流入元が毎日変わることを挙げ、流入元のエンジニアのフィルター判断で特定のニュースが排除される危険を指摘。「ハフィントンポストでは『ノイズを入れていく編集方針』を取っており、ニュース全体として違和感の可視化が重要になる」と述べた。

パネルディスカッション:将来のコンテンツの形とその未来像

 高木利弘氏の司会で行われたパネルディスカッションでは、主催者の一人、服部桂氏が現在の百万倍に増えた情報量に人間の処理能力が追い付かない状況に触れ、「電信の発明で19世紀末から飛躍的に情報量が増えた際、新聞が最初のフィルターとして成功を収めた」ことを指摘。

 藤村氏と竹下氏は、スマホからAIスピーカーへの置換や自動運転によるパッセンジャー・エコノミーなどの技術の進歩が、今後スローニュース(※注)の増大などニュースの形態を変化させ多様性を増加させていく可能性に触れ、動的にフィルター選択を変更していく仕組みやフィルターへの疑いがネットの多様性維持に役立つのではないかと語った。ニュースの第一線に身を置く2人はケリーのFILTERINGをヒントに、将来のコンテンツの形と、それがリアルの人の会話に刺激を与えていくであろう未来像までを熱く語り合っていた。

(※注)真偽不明の速報の氾濫から一歩退き、調査や分析を経たのちに情報を流す試み。英BBCが速報とは別に力を入れている。当然、記事作成には時間がかかる。今後、情報を発信する個人にも、ある程度求められる姿勢かも知れない。(編集部注)

次回の「ホロス2050未来会議」開催予定

第8回 ホロス2050未来会議「第8章 さようならシリコンバレー新ビジネス/REMIXING」
成長はリミックスから生まれる

  • 日時:2018年1月11日(木)19:00~
  • 会場:御茶ノ水デジタルハリウッド大学駿河台キャンパス3F
  • ゲスト:
    藤元健太郎氏
    D4DR代表。日本初のeビジネス共同実験サイト「サイバービジネスパーク」を立ち上げ、インターネット・ビジネス・コンサルタントとして数多くの実績を上げてきた。
    山崎亮氏
    studio-L代表、コミュニティデザイナー。「人と人とがつながる仕組みをデザインする」をコンセプトに、日本各地で空間デザイン、地域コミュニティデザインを手がけてきた。

詳細は公式サイトを参照。チケット購入はhttps://holos2050-1708.peatix.com/view