トピック
vProを数十万台導入した達人が運営する「vPro友の会」、「vProでみんなの仕事を楽にしたい!」
累計100システム弱、中小企業の悩みから、Wake-on-LAN、ブルースクリーンの問題まで……
- 提供:
- インテル株式会社
2025年3月13日 06:55
インテル vPro プラットフォームといえば、「BIOS画面やブルースクリーンでも操作できる遠隔操作や電源オン、それらをコアとした強力な管理機能」と、なんとなく知っている人も多いだろう。
インテルによれば、導入数や認知も増えており、既に導入が進んでいる大企業に加え、今後は中小企業などにも展開していくという。
そんなvProだが、悩みの種は「情報源が少ないこと」。これは、管理やセキュリティ、ネットワークなどの重要部分に関わる部分が多く、導入事例を公開するとリスクになってしまう、というのも一因だろう。
そうした中、2023年からサイトを公開、様々な技術情報を掲載しているのが「vPro友の会」。
サイトでは、初期設定の仕方から運用Tips、さらには「vProの読み方」まで、様々な情報を掲載しており、vProの概要を知るにはなかなか便利なサイトとなっている。
そこで今回は、「vPro友の会の中の人」として長くvProの導入に関わってきた方に、vProのポイントや「友の会」が目指すものを本誌の鈴木編集長が話をお伺いした。
前編の今回は、vPro友の会の起源や、「中の人」だからこそ知るvProの事例、vPro友の会の目指すことなどについてだ。
「vPro友の会」は、vPro好きの集まりだった!
[鈴木]まず、noteの名前にある「vPro友の会」とは何でしょうか? 会として組織化された集まりがあるんでしょうか?
[中の人]もともと、四半期に一度やっていた「ワークショップ」とその後に行っていた懇親会(平たく言うとvPro好きが集まった飲み会)が母体ですね。インテルの社員から、SIer、代理店、ユーザーまで、vPro関連の問題解決をいっしょにしているうちに、会社の枠を越えて個人的に仲良くなり、「じゃあ、お疲れ会をしましょうか」と懇親会をしていたのですが、いつの間にか「vPro友の会」という名前になりました(笑
その延長として、vProについて発信するnoteに「vPro友の会」の名前を使ったというところです。
[鈴木]じゃあ、2023年にWebサイトとして始まったというよりは、もともとvProに関わっている人たちがコミュニティとしてやってきたものなんですね。
[中の人]そうなんです。四半期に1回、勉強会と懇親会を開いて、vProにどんな立場で関わっているかにかかわらず集まる、という集まりです。そういうところからスタートしていて、今もノリは変わってない感じですね。
[鈴木]ちなみに、それはいつ頃の話でしょうか。
[中の人]vProは2006年の秋に出てきたのですが、2007年の初めには勉強会を始めていました。
[鈴木]新しい技術は、そういう横のつながりがあるといいですよね。
[中の人]そうなんですよ。vProって、インテルの人も「説明が難しい」と言っているようなところがありますからね。できることは明確なんですが、真価を理解してもらうには「その機能で得られる効果」まで理解してもらう必要がある。そういうわかりづらさを取り除きたいという気持ちがあったと思います。
[鈴木]それで友の会として、つながりができていったんですね。
[中の人]そうですね。別にvProの話に限らず「上司の稟議を通すのが大変だった」とか、「こういうふうにしてPCを紛失した人がいた」とか、表に出ない話などもしていました(笑)
あらゆるvPro関連情報が集まる場所を作りたかった
[鈴木]そうした友の会のコミュニティがvProの最初の頃からあって、それを元にvPro友の会のnoteを始めたのが2023年ということですね。
[中の人]そうです。もともと、インテルはvProに関する英語圏向けのオンラインコミュニティを運営しているのですが、こう言ったものが日本向けにもあったらいいと思ったのがきっかけで、vPro友の会のnoteを始めました。
[鈴木]なるほど。そうして始めたvPro友の会のnoteでは、技術的なものから、CTOの人が読むようなものまで、いろいろな記事が載っています。何を目指して始めたのでしょうか?
[中の人]まずはここに行ってみよう、と頼れる場所を作ろうと考えました。
そこには堅い話から柔らかい話まで、たとえばvProの技術の話も、製品の話も、事例紹介の話もあっていい。実家のPCをリモートでメンテナンスしてみたという話でもいい。とにかくあらゆるvProの情報がある、あるいは誰かに聞く、というvPro関連情報のシングルコンタクトポイントを作りたかったというのが元々の発想です。
[鈴木]僕も個人でvProを調べ始めたときに、実際にどう設定するかといった情報があまりなくて困りました。vProは管理やセキュリティの要素が強いシステムなので、「ちょっとやってみました」みたいな情報が出てきにくいのも判るのですが、試す側としてはちょっと悩みますね。
[中の人]そうですね。情報が出てこないので、「意外と使われている」というのも知られない、というのもあったりします。
vPro友の会の関係者から見ても、vProをそこで使ってたのか、というケースが結構あるんですよね。地場のSIerさんにちょっとマニアックな人がいて、頑張って設定して、その内容はどこにも公開していないという。
情報が公開されない理由はとてもよくわかるのですが、携わっている立場から見ると、「できる範囲でいいから情報を出せれば、もっとvProのメリットを知ってもらえるのにな」と思うことが多く………といったところです。
なので、基本的な内容から技術の手触りが分かる内容まで、幅広い内容を書くようにしています。
「友の会の中の人」が関わってきたvProシステムは数十万台、現在は交通系や店舗などでも多数のvPro PCが稼働中……
[鈴木]今までいろいろなvPro導入事例を見てきたと思うんですが、こんなところでも使われているんだ、というような例を教えてください。
[中の人]交通系や店舗などで、専用端末が使われていたようなところが、今はだいぶPCに置き換わっていますよね。そうしたところでは、実は結構vProが使われています。そりゃ管理が圧倒的に楽になりますし。というわけで、実は皆さんが普通に生活している中でvProを使っていたりします。
私も昔は専用端末のシステムに多少関わっていましたが、そうしたシステムでは独自の通信方式でリモートから起動できるようになっていました。ところが、それをPCにすると、ネットワーク越しに起動制御をできるものってWake-on-LANぐらいになってしまう。検討した結果「Wake-on-LANは大変だし、無線では使えない」ということで、vProになった、という事例を多く見てきました。
あと、結構いろいろな学校や大学で使われているんですよね。ネットブートしたいということで、できる方法を探した結果、vProになったという。
[鈴木]ちなみに、関わった中で、vProってどのぐらい使われていそうなんですか。
[中の人]システムの数で100弱ぐらい、クライアント台数で数十万台ぐらいだと思います。大きな会社さんもありますし、そうでない会社さんや学校、医療法人など非常に幅広くお手伝いさせていただいたと思います
[鈴木]それだけのvProのクライアントが世の中の役にたっているということですね。もちろん、友の会の関係者が関わらないvProの導入もたくさんあるわけですよね。
[中の人]そうですね。
「電源を入れるだけなら、機械的に押すもののほうが簡単、でも……」
[鈴木]リモート起動のニーズの話に戻りますが、かつては大変でしたよね。
[中の人]そうですよね。vProは2006年に始まって19年になろうとしていますが、ほかの代替技術が出てきていないということは、やはり大変なんだと思います。
[鈴木]確かに、Wake-on-LANの話か、vProの話か、ベンダーごとの機能か、あるいはACの電源コンセントを操作するみたいな話になりますよね。
[中の人]本当に、電源を入れる「だけ」なら、電源ボタンを機械的に押すものを使ったほうがシンプルですが、PCは電源が入れば全てOK、というわけではないですよね。
OSが無事に立ち上がればOSの管理下になるから良いのですが、必ずしもそういう時だけじゃない。BIOSに行けるとかブルースクリーンでも操作できるとか、OSの手前でやりたいことがたくさんある。その部分も含めてリモートでできるのがvProということですね。
[鈴木]そのようにリモート起動や遠隔管理でvProが立ち上がったんですね。それがセキュリティ向上につながるのはどうしてでしょうか?
[中の人]vProが出てきたときから変わらず、「生産性」「セキュリティ」「管理性」「安定性」の4本柱を重要なものとしています。セキュリティはかなり広い概念ですが、私がvProで申し上げたいのは「管理されることによるセキュリティ向上」ですね。
まず、管理という点で重要な環境変化が「どのPCがどこに存在しているかが分かりにくくなっている」というところ。昔はノートPCといってもデスクに置かれていることが多かったので、あるかないかが分かりましたが、今のノートPCは持ち出し自在なので難しくなっています。
そのうえで、今も昔もセキュリティの1番地は「Windowsとアプリケーションを常に最新にしておくこと」です。ただし、みなさんも経験あるかと思いますが、なにかの理由でパッチが当たっていないPCは時々出てしまいますし、それを検出できたとしても、自力で解決できるエンドユーザーの方はあまりいらっしゃいません。
そこで、遠隔操作の出番になりますが、OS上で動く遠隔操作と違い、BIOS設定やBitLockerなどでも操作できますから、非常に幅広い対応がリモートから可能になるわけです。
そこで、情シスがサポートするわけですが、置いてある場所が遠隔地だったり在宅勤務だったりと、情シスの手間ばかり増えてしまいます。
私は「vProで何ができるか」は良く知っていますから、是非、みなさんにvProの便利さを知っていただいて、情シスの方やエンドユーザーの方に楽をしてほしいと思っています。楽をしたうえで、セキュリティも向上している、そんな環境を実現していただければと思っています。
「vProを知っている人」として、みんなの仕事を楽にしたい!
[鈴木]vPro友の会のnoteに話を戻すと、何を目指しているのかについて教えてください。
[中の人]そうですね、今は技術的な内容が多いですが、「vProという他にない技術を使うとこんなに楽になる」みたいなことをストーリーとして見せたり、アドバイスできる立場を目指したいですね。
というのも、vProや対応製品については、インテルやソフトベンダーが説明してくれるのですが、「では、vProを使って何をするか」をストーリーとして語られることが少ないと思っていまして。
[鈴木]なるほど。参加型の座談会イベントを開催したこともありましたね。
[中の人]そうですね。ただ、そういうところでも、「自分のやりたいこと」を話すのが苦手な方もいて、後から質問が集まってくるケースもあるので、どのような形でもいいと思います。
vProってネットワークにも関わる技術なので、トラブルシュートが複雑なんですよね。AMTのパケットってセキュリティ系のゲートウェイからすると未知なもので、最近のようにホワイトリスト型が中心になってくると通らないこともあったりしますし。また、Wi-Fiでパケット長に起因する問題があったりとか。そうした、書ききれないナレッジがわれわれの中にたまっています。
[鈴木]タッチ&トライはインテルも開催してましたよね。
[中の人]はい、技術としては、やはり実際に動かしてもらうのが一番ですね。ただ、自社の実環境で動かさないとわからないこともよくあります。たとえば、iPhoneのテザリングで試しても、パケットが流れていないと接続が切れるので、動かないということもあります。
[鈴木]なるほど、いわゆる業務向けのシステムの情報って、外に簡単に発信できないことが多いですから、そういう人たちが参考になるようなことが友の会で実現されているという感じなんですね。
[中の人]そうですね。パブリックな場だけじゃなくて、個別の相談にも可能な限りお答えをしています。深い話になると全部やりましょうというわけにはいきませんが、分かる範囲でお答えして解決するケースも結構多いですね。
[鈴木]ウェブでも結構コメントが来たりするんでしょうか。
[中の人]直に来るというよりも、友の会の中の人に連絡が来るという感じですね。たとえば友の会の関係者で、vProを使った事例を発信している会社では、案件が発生する2ヶ月ぐらい前から急にアクセスが増えるという現象があります(笑)。
[鈴木]実際の案件となると、ウェブのコメントでは質問しづらいですよね。
[中の人]そうなんですよね。たとえば実際のネットワーク構成を書くのもなかなか難しいですよね。また、例えばサイネージのベンダーさんで、「こういう環境でのメンテナンスで苦労しています」と書くと納入先が分かってしまうので、個別にご相談をいただいたこともあったりします。
[鈴木]なるほど。そうした難しさのあるものを、いかに盛り上げていくのかということで、中の人としていろいろ考えて活動しているんですね。
[中の人]vPro全般としては、私は「仕事で使うPCはすべてvProになるべき」だと思っている立場です。
もちろん、AMTなどの運用管理は、必要な場合と必要じゃない場合がありますが、もっと幅広く使ってもらうことで、活用法も幅広くなると思います。
vProが登場して18年たちましたが、同じ機能を同じレベルで実現しているものはない技術で、やはり「代わる技術がない」ものだと痛感します。vProに長く携わっている人間の一人として、これからもサポートを続けていきたいと考えています。
- 第1回 note、はじめました。
- 第2回 現在のインテル vPro プラットフォームについて
- 第3回 セキュリティやシステム管理関連の機能について
- 第4回 vPro の機能、どうすれば使えるの?
- 第5回 インテル AMTのプロビジョニングについて
- 第6回 インテル AMTのManual Setup and Configuration (前編)
- 第7回 インテル AMTのManual Setup and Configuration (中編)
- 第8回 インテル AMTのManual Setup and Configuration (後編)
- 第9回 インテル AMTのHost-based setup and configuration
- 第10回 インテル vPro プラットフォーム向けにインテル社から現在一般提供されているツールについて
- 第11回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(構築編)
- 第12回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(設定編)
- 第13回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(クライアントPC接続編)
- 第14回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(Admin Control Mode編)
- 第15回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(Admin Control Mode編2)
- 第16回 Intel vPro Technology Module for Windows PowerShellを使ってみる(1)
- 第17回 Intel vPro Technology Module for Windows PowerShellを使ってみる(2)
- 第18回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(二要素認証編)
- 第19回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(続・二要素認証編)
- 第20回 インテル EMAでクライアントPCの管理を行う(トラブルシューティング編)
- 第21回 Intel vPro Technology Module for Windows PowerShellを使ってみる(3)
- vPro よもやま話①
- vPro よもやま話② vProの「わかりづらさ」?
- vPro よもやま話③ インテルEMAの登場