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いまどきの中国ネットカフェ事情をレポート

~チャットやネットゲームが浸透

 ブロードバンドのネットカフェがごく普通にある国というと韓国を想像するが、中国においても、もはや大都市ならず小都市にでも、ブロードバンド対応ネットカフェはどこにでもあると言える状態だ。今回の記事では、あまりレポートされていない、中国のネットカフェ事情を紹介しよう。

最新中国ネットカフェ事情

 ネットカフェは中国語で「ワンバ」と言い、主に大学の周辺に集中している。ネットの主役はやはり学生だからだ。ネットカフェ利用者の主な目的は、第1にチャット、次にゲームやWeb閲覧、メール、ストリーミングでのビデオ視聴などとなっている。したがって、各都市のほとんどのネットカフェ端末には、チャットソフトやゲームがインストールされているが、ビジネスソフトは入ってないか、もしくはインストールされていても使われていない状態だ。

 チャットソフトの主役は、中国産チャットソフト「QQ」だ。QQも以前のバージョンではICQに似ていたが、現在はマスコットキャラクターのペンギンが大人気になっており、ユーザー情報が細分化されたほか、登録したユーザーキャラクターに服を着せることができるなど、ICQとの差別化が図られている。世界的に有名なYahoo!メッセンジャーや、MSNメッセンジャー、ICQの数はQQに比べれば少ない。


中国で最も使われているチャットソフト「QQ」 QQの画面イメージその2

 ネットカフェではネットゲームも盛んだ。なかでも中国産ネットゲームがよくプレイされている。次に人気なのが米国産、その次がネットゲーム大国でもある韓国ネットゲームの中国語版だ。日本のオフラインゲームも人気があるが、日本産のネットゲームは、まだまだ中国には浸透していないようだ。中国産ネットゲームは、多くのゲームメーカーがさまざまなソフトをリリースしており、ジャンルはアクションやロールプレイングが主流で、ネットカフェ内においても皆が同じゲームをしているわけではない。

 また、PC端末にヘッドホンが用意されていないネットカフェでは、入った瞬間に“まるでそこはゲームセンターに入ったかのように”感じるほど騒々しい。ヘッドホンがある場合でも、ゲームの音は聞こえないが、ユーザーがゲームセンター感覚で居るために、ゲームをしながらの会話は絶えず、やはり騒々しい。

 中国では今年前半に起きたSARS騒動の際、多くの人が繁華街に出て物を買うのを嫌がり、B2C、B2Bのネット取引が増えた。しかし、その騒がしい雰囲気ゆえに、ネットカフェではネットショッピングやビジネスソフトを動かしている人を見たことがないし、筆者自身したくない。中国におけるネットカフェは、ゲームもできてチャットもできる娯楽センターなのだ。


中国の店頭で人気のネットゲーム用カード ネットカフェの様子

スペック重視のネットPC

 さて、筆者の訪れた場所の例をいくつか紹介しよう。例えば湖南省の省都、長沙のインターネットカフェでは、利用者の多くはチャットをしつつ、ストリーミングビデオを見ていた。いくつかのネットカフェに入ったが、入ったネットカフェでは、いずれも回線速度がかなり遅く(70~80kbps)、多くの利用者が見ている映像はカクカクだった。映像の内容は半分が日本のアニメ、半分が映画で、日本のアニメの人気の高さが伺える。利用者が一様に1画面にチャットソフトのウィンドウと映像のウィンドウを並べていた。

 貴州省の省都、貴陽のインターネットカフェでは、多くの利用者がネットゲームを楽しんでいた。フルサイズの画面でゲームを楽しんでいるため、その間はネットゲームのチャット機能でチャットを楽しんでいるようだ。ネットゲームのためか、ネットカフェ利用者の男女比率は、ざっと見たところ長沙のほうが女性が多い。インターネットのスタイルは地域によって異なるわけだ。

 ゲームやストリーミングだけでなく、中国ではWebブラウジングにもCPUパワーが必要だ。中国のポータルサイトのトップページには、“これでもか!”というほど情報を詰め込んである上に、Flash広告も大量に出ているので、日本ではブラウジングが可能なPentiumクラスのPCでも、“中国のWebサイトを閲覧する場合にはどうにもならないほど重い”という現象が起きる。他の国にはない、中国独自のWeb作成文化と言えよう。


中国ナンバー1ブランド「朕想」のネットカフェ専用機の外観 ネットカフェの様子。壁にPCのスペックが「Celeron 1.7GHz」などと書かれている

 このように、ネットカフェ端末はハイスペックなものが要求される。したがって、PCのスペックがそのネットカフェの売りとなるため、入口にPCのスペックを書いている店が結構多いのだ。書かれたスペックを見てみると、現時点のネット端末はPentium4の1.7~2.2GHzあたりのものが標準のようだ。店頭には回線速度も記載されており、「10Mbpsクラス」のような記述もあったが、速度測定サイトで調べてみたところ、実際には1Mbpsも出ていないところが多かった(ただし、日本の測定サイトへのアクセス速度だが)。

 ネットカフェの需要は、ネットカフェ専用機やネットカフェ端末管理用ソフトウェアが発売されていることからもわかる。例えばハードウェアなら、中国ナンバー1ブランド「朕想」のネットカフェ専用機はPentium 4 2.4GHz(7,700元、約10万円)と、Celeron 1.7GHz(5,800元、約75,000円)の2機種あり、FDDや光学ドライブは未搭載の代わりにヘッドホンが用意されている。ソフトウェアは、ネットカフェ用の端末管理ソフトが数社から販売されており、ネットカフェの多くで採用されている。これらのソフトをインストールすることで、システムを変更できないように設定できるほか、ユーザーインターフェイスもネットカフェ用にアレンジできるのだ。


中国のネットカフェの様子 ネットカフェの外観。回線速度が表示されている

□中国3大ポータルサイトなど
・「SINA.com」:http://www.sina.com/
・「捜狐 SOHU」:http://www.sohu.com/
・「網易 NetEase」:http://www.163.com/
・「ネットカフェ管理ソフト(中国語)」:http://www.mpsoft.net/download.htm
・「朕想」:http://www.lenovo.com/


中国でのネット接続のコツ

 旅先で長時間ネットを使いたい、でもPCやPDAを持ってきてない、という場合には、前述したように、大学周辺にネットカフェが多くあるため、「大学周辺のネットカフェに行く」という手はありだ。特にその都市1番の大学なら、日本人を含んだ外国人留学生が居るので、外国語入出力環境も整っているだろう。

 逆にそれ以外の場所では中国語入出力環境しかなく、上記のようなネットカフェ端末管理ソフトも入っているため、日本語入力用のソフトは容易にダウンロードできない。このような場合には、日本語入力は断念してローマ字記述するしかない。

 しかし、自分のPCでメールを読みたいと思う方も多いはず。そこで、最新の中国式インターネット接続法を伝授しよう。まず、出張で中国に行くならば、それなりのホテルに泊まるだろうから、部屋の電話から中国のプロバイダーに繋げることは可能だろう。この際には、ローミングサービスを使う必要は基本的になく、電話番号、ユーザーネーム、パスワード共に16300と設定すれば利用できる。

 以前の記事で、電話番号、ユーザーネーム、パスワードを共に163で繋げられると書いたが、現在は繋がりにくくなっている都市が多いので、16300をお勧めする。しかし、16300の代わりに別の番号が用意されている事も多いので、16300が使えない場合には、大きなホテルのビジネスセンター担当者に聞いて、電話線を使わせてもらうのが英語も通じるため、1番無難な手段と言えよう。このような形態のプロバイダーは数社あるが、そのうちのひとつ、169は16300より安い反面、中国国内のサーバーにしかアクセスできない。つまり、日本のWebサイト閲覧や日本のメールサーバーにアクセスすることはできないので注意が必要だ。

 PCやPDAを携えての長期滞在や中国国内の長期旅行ならば、現地のインターネットカードと呼ばれるプロバイダー接続用カードを購入し、カード上に書かれているユーザーネーム、パスワードを利用して接続すると、前述の16300よりも安上がりだ。プロバイダーは数社あり、165や167などアクセスポイントの電話番号が3桁のものや、95963など5桁のものがある。


中国の年賀状サイトで年賀状を送ろう

 もうそろそろ年賀状を送る季節だ。日本では年々ネットで年賀状を送るのが普通になってきているが、中国にもそんな年賀状やグリーティングカードを送るサイトがある。そこで中国の有名な年賀状サイトをいくつか紹介しよう。

 日本と中国の干支は同じな上、中国語も漢字文化であるため、大体日本人には意味が通じる。このため、中国のサイトのなかにも、そのまま日本人向けに使えるものもある。それでいてお国柄によるセンスが異なるため、見ていて面白いかもしれない。

 余談だが、中国の新年は旧正月(1月中旬)であるが、若年層の海外文化の支持から、元旦やクリスマスも祝う傾向にあり、それ専用のカードもある。特にネットユーザーは主に若年層だから、元旦用カードのラインアップは旧正月のと比べてもひけをとらない。

 Webの年賀状のラインアップの中には有料と無料(中国語で免費)のコンテンツがある。有料なものは、携帯電話代から差し引かれるため、日本に滞在している限りは利用できない。したがって、試し見だけになってしまう。利用するなら免費のものを選ぼう。


「CardShow」のWebサイト。見た目が賑やかだ 「捜狐(SOHU.com)」のWebサイト

□中国の年賀状サイト
・「CardShow」:http://free.kaxiu.com/
・「捜狐(SOHU.com)」:http://card.club.sohu.com/
・「網易(NetEase)」:http://card.163.com/
・「SINA.com」:http://ecards.sina.com.cn/nologin.html
・「China.com」:http://www.cnun.com/cards/
・「CHUN.com」:http://www.cnun.com/cards/
・「e-card(台湾)」:http://www.e-card.com.tw/


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山谷剛史 dtgoshi@dan.wind.ne.jp
2003/12/26

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