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父島より2分早い“日本一早い”ライブ計画が始動

衛星インターネットを使って
大平洋の離島から初日の出ストリーム

■URL
http://www.ogasawara-channel.com/

 本誌記事で昨年12月から数回にわたって紹介した、東京都小笠原村の父島から行なわれた“日本一早い”初日の出ライブ中継。地元のインターネットカフェのスタッフらによって進められた取り組みで、それまで日本一をうたっていた千葉県銚子市より26分も早いというのがウリだったが、父島も来年はその座をうばわれてしまいそうである。さらに50kmほど南にある母島からのライブ計画が始動した。

 海上保安庁海洋情報部のWebサイトにある「初日の出時刻計算」で計算してみたところ、初日の出時刻は父島が6時20分、母島が6時18分(いずれも海抜5m地点の数値)。差はわずかだが、これが実現すれば、2003年の初日の出ライブ中継で日本一は母島ということになる。しかし、今回の目玉はそれだけではない。中継がブロードバンド対応となるのだ。

 ブロードバンドインフラが存在しない父島ではISDNが最速回線であり、今年のライブ中継では、本土側に用意された公開サーバーの画像を1秒に1回程度更新するのが限界だった。通信事情は母島でも変わらないが、今回はテレマン・コミュニケーションズが協力。メガビットクラスの衛星インターネット回線が用意されることになり、一気に300kbpsの動画ストリームが実現する。

 すでに11月中旬、同社の保有するランドクルーザー型の移動基地局車両が母島に持ち込まれ、中継実験に成功した。小笠原諸島は衛星のカバーエリアとしてはギリギリの位置だったが、東京の本社との間でテレビ会議やIP電話、DVD映像の配信などを行なったところ、最大速度は1.2Mbpsに達し、512kbpsで安定して通信できることが確認された。遅延も問題なく、映像もスムーズだったという。車両に備え付けられたアンテナが小さいために母島からの送信映像はややコマ落ちしたが、動きがそれほど激しくない初日の出中継では十分だとしている。ブロードバンドコンテンツの大手配信サイトでの配信が予定されているほか、P2P型の分散配信システムである「シェアキャスト」の採用も検討しているという。

父島・母島間を結ぶ定期船に積まれるテレマンの移動基地局車両(左)。11月16日から18日にかけて母島のライブ中継予定地で行なわれた、IP電話の通信実験の様子(右)。写真中央が三澤代表取締役。現在は、配信サーバーの協力者を求めて東京都内を奔走中だという(写真提供=小笠原チャンネル)

 今回、母島からのライブ中継を計画したのは、小笠原関連の情報サイト運営などを手がける「小笠原チャンネル有限会社」の三澤一信代表取締役。なんのことはない、今年、父島からの中継を手がけた人物である。当時と違うのは、以前はインターネットカフェのいちスタッフだったのが、今年は、小笠原での通信サービス提供を視野に入れた会社を自ら設立してしまった点である。離島など情報過疎地域へのサービス展開を狙うテレマンの協力のもと、小笠原のブロードバンド環境の整備を目指す。

 父島にある小笠原チャンネルの事務所の前には、すでにテレマンの小型衛星アンテナを設置。1月からは固定基地局として運用される予定となっており、初日の出ライブ終了後もモデル地区として衛星回線が無料提供されるという。さらにライブカメラや無線ルーターの機材面ではキヤノンやルートの協力も得られることが決まっており、小笠原の環境映像の配信や観光地のホットスポット化、IP電話サービスなどを実現したい考えだ。

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(2002/12/2)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]

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