【イベント】
CRLの研究施設公開イベントで、今年も“無線LANラジコン”が登場■URL 独立行政法人通信総合研究所(CRL)は8月1日と2日、東京都小金井市にある研究施設を公開するイベントを開催する。夏休みのこの時期に毎年行なわれている恒例のイベントで、CRLが研究・開発に取り組んでいる通信や電波、観測技術などを一般に広く紹介する。主な来場者が小学生ということで、本来は難解な先端技術に楽しみながら触れてもらおうという工夫も随所に見られるのが特徴で、そのひとつとして今年も“無線LANラジコン”のサーキットが設置される。
無線LANラジコンは、正式には「IPコントロールカー」と呼ばれているもので、LAN内だけでなく、IPネットワーク経由で遠隔地からでも操縦が可能だ。車体にはCCDカメラが搭載されており、操縦者のパソコンにリアルタイムに車載映像が映し出される仕組みで、あたかもクルマを運転しているような感覚で運転が楽しめる。 数年前より、同イベントやIT関連の展示会などでも展示されてきたが、今年の展示では、車体に前後2台のカメラを搭載したのが大きな改良点。操縦者のパソコンから、前後の映像を自由に切り替えられるようになった。カメラは約31万画素のユニットを使用。30フレーム/秒のMotion JPEG映像が送信され、VGAクラスのきれいな車載映像が表示されるようになった。 その一方で、1台あたり3Mbpsの帯域が必要になり、4台を同時走行させるために急きょアクセスポイントを2台に増設したという。今のところコンパクトフラッシュ型の無線LANカードを搭載している都合で、IEEE 802.11b準拠のシステムを使用しているが、IEEE 802.11g方式の無線LANシステムが使えればアクセスポイントも1台で済むとしている。
今回はさらに、韓国の会場をネットワークで結び、2国間でカーレースを行なうというイベントも予定されている。JGNなどの高速な研究用IPネットワークで接続するため、若干の遅延はあるものの、韓国からもほぼ同程度のレスポンスでIPコントロールカーを操縦できるという。一般公開日には、各日4回の体験走行時間が設けられており、それぞれ20名が参加可能。さらにその中から、日韓レースへの出場権が抽選で与えられる。 現在、IPコントロールカーは、使用している市販のパーツ代だけでも1台あたり合計10万円以上かかるという。玩具としての商品化はやはり難しいらしく、監視カメラシステムなどへの応用が考えられている。ただし、IPコントロールカー自体が役立つ用途もあるとしており、日本の医療関係者やスタンフォード大学の研究者が、長期入院中の子供のメンタルケアに有効ではないかと関心を示しているという。 なお、一般家庭などからIPコントロールカーを操縦できるようになるには、やはり現在のインターネットでは回線の品質がネックになる。一定の遅延であれば人間の慣れで対応できるが、パケットロスなどで映像が途切れるとコントロール不可能になるという。一般家庭レベルでIPコントロールカーが楽しめるようになるのは、100Mbps以上のFTTHが普及し、常時数10Mbps以上のスループットが確保できるような環境が整った時になるとしている。 ◎関連記事 (2003/7/30) [Reported by nagasawa@impress.co.jp] |
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