【通信事業】
テレマン、31の離島で衛星ネットを活用した常時接続環境の整備構想■URL
通信衛星を使ったインターネット常時接続サービスは今から5~6年ほど前に登場し、いくつかの事業者が個人向けサービスも展開していた。しかし、通信速度や衛星回線のコストがネックとなり、ADSLやFTTHが普及していく一方で廃れていった。今回テレマンが計画しているのは、加入者宅まで衛星回線で結ぶかつてのようなサービスではなく、地上系サービスと「convergence(融合)」(デビッド・キム代表取締役社長)することで、条件不利地域におけるブロードバンドサービスを提供しようというものだ。 具体的には、島内のラストワンマイルはCATVや無線LAN、FTTHなどを利用し、そこからインターネットまでの“ミドルマイル”に衛星回線を活用する。すでに同社では免許不要な上り3Mbps/下り30MbpsのVSAT衛星IP通信システムを実用化しており、さらに高速化とコストダウンを図った新しいプラットフォームを来年第1四半期までに開発する。候補地となっている島の中にはすでにフレッツ・ISDNが提供されているところもあるようだが、衛星経由ではミドルマイル区間の下り速度を高速化しやすいのが強みだという。
この問題を解決するためにテレマンでは、この構想を国や自治体に提案し、補助金により回線コストをまかないたい考えだ。「国はe-Japan戦略を進めているが、光ファイバーが届かない地域は放っておくのか? その点、衛星ネットは技術的にはすでに確立したインフラであり、すぐに引ける。あとはコストをどうするのかという問題だけだ」(金田芳也執行役員/営業・マーケティング本部長)。離島振興法により港湾などのインフラを整備していきた従来の施策から、今後はITインフラを求める声にどう応えるか考えるべき時期に来ていると指摘する。 地上インフラ並みのエンドユーザー料金を実現するには、最低限、回線コストの半分を国や自治体が負担する必要があるという。果たしてこの提案が受け入れられるのかという疑問は残るが、「離島の住民もブロードバンドを享受する権利がある。急激に伸びるサービスではないが、ニッチな市場は必ず残る。NTTやKDDIにとっては小さすぎる市場であり、我々のようなベンチャーこそが取り組むべき事業だ」(キム社長)と意欲を見せている。 ◎関連記事 (2003/7/31) [Reported by nagasawa@impress.co.jp] |
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