【イベントレポート】
NTTのシンポジウムで東京大学の安田教授が講演
ブロードバンド時代の課題は
「メタデータのコンテンツ化」
■URL
http://trust.silab.ecl.ntt.co.jp/hikari/
http://www.hikari-sac.org/
東京都武蔵野市にある「NTT武蔵野研究開発センタ」で27日、NTT光ソフトサービス推進プロジェクトの主催によるイベント「NTT HIKARIシンポジウム2003」が開催された。同プロジェクトがこれまで取り組んできた活動が紹介されたほか、光ファイバーによるブロードバンド市場開拓のために必要となる課題などが報告された。
シンポジウムではまず、光サービスアーキテクチャコンソーシアム(HSAC)の会長である安田浩・東京大学国際産学共同研究センター教授が「HIKARIが熱い」と題して講演。コンテンツの面から見た今後のブロードバンドサービスに対する課題を語った。安田教授は、「今や誰もがブロードバンドでコンテンツを流せる時代」だとして期待が持てる一方で、そのためのプラットフォーム整備が課題と指摘する。
具体的には、あらゆるコンテンツの内容や権利情報などをコンピュータが認識できるようにするための「メタデータ」と、そのアーカイブ化である。メタデータが整備されれば、コンテンツ制作者はそれを参照しながらコンテンツ素材を組み合わせて新たなコンテンツを編集したり、携帯電話などに向けてコンテンツを簡易化して配信できるようになる。すなわち、今後重要になるのは「メタデータのコンテンツ化」であり、「メタデータなしのビジネスはもう存在しない」と強調する。
同時に、高齢者や子供などでもコンテンツが作れるシステムも必要になるとして、その一例である個人用映画製作システムが紹介された。講演では、テキストデータの旅行記をもとに、動作などの要素をタグで付加したXMLシナリオを自動作成するデモを披露。あとはこれをもとに、ネットワーク経由で必要な素材コンテンツを検索し、ひろってくれば1本の動画が簡単に作成できるという仕組みである。
実際は、構図やカメラワークなどのノウハウを蓄積したデータベースの構築も前提となるが、いずれにせよ、メタデータのプラットフォームが整備されることで、誰もがシンプルな動画を簡単に作成できるようになる。安田教授は、15秒の動画を150秒程度で自動作成できるシステムを目標に研究を進めているという。
シンポジウムではこのほか、HSACが定めたプロトコルを用いて、NTTやNEC、パイオニアなどが共同で取り組んだMPEG動画配信の相互接続実験や、HDTVの3倍(通常のテレビの24画面分)にあたる800万画素でクラシックコンサートなどを中継する「HIKARIネットライブサービス」についても報告。同センタ内でデモンストレーションも行なわれた。
(2003/2/27)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]
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