【レポート】
周波数有効活用と広帯域無線通信の実現にマイクロセルは不可欠
■URL
http://www.arib.or.jp/ (電波産業会)
http://www.crl.go.jp/ (通信総合研究所)
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IEEE 802の副議長のMatthew Sherman氏 |
独立行政法人通信総合研究所(CRL)および社団法人電波産業会(ARIB)は、情報通信月間参加行事として、周波数資源開発シンポジウム2003を開催した。無線通信システムに社会が依存していくなかで、未開拓の周波数の利用や、既に使用中の周波数の有効活用を促進するために開催しているもの。
シンポジウムでは、IEEE 802の副議長でAT&T研究所のMatthew Sherman氏が「無線LANシステムと関連技術の最新動向」と題した講演を行なった。同氏はIEEEにおける活動などの説明と、2005年ごろに登場されるとする第4世代移動体通信(4G)について、周波数有効活用の観点から説明した。
同氏によれば、4Gは物理層がデジタルで通信され、帯域も3Gの“ワイドバンド”に比べて“ブロードバンド”なものになるという。通信速度は有線LANに匹敵し、マルチメディアコンテンツも伝送可能なものとなる、なにより、従来の電話のネットワークではなく、コンピュータネットワークの枠組みで動作するという点も強調した。
通信速度が向上し、コンピュータとネットワークとの融合が進む4Gだが、問題点もあるという。同氏によれば「4Gのアプリケーションはバッテリーの寿命が問題だ」と指摘した。ムーアの法則に従って処理能力は上がっていっても、バッテリーの持ちは法則に従わないのだという。
そのため、バッテリーも持ちを良くするために無線出力を下げ、基地局1局あたりのカバー範囲を小さくするマイクロセルでの運用になるという。4Gは一方で、無線基地局同士のハンドオーバーも3Gよりも洗練され、近くのセル同士で周波数の再利用も可能になる見込みで、今後、セルはマイクロセルからさらに小さい範囲で通信を行ない、無線出力も小さいナノセルに移行していくという。
同氏は、4Gも含めて無線LANが進化し、無線LANのマーケットが拡大してユビキタスなサービスの展開が進むとまとめ、講演を終了した。
(2003/5/26)
[Reported by 正田拓也]
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