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ユビキタスIDセンター、日立ら3社の標準タグ準拠製品を認定
~東大坂村教授「世界標準は私たちが作る」

■URL
http://uidcenter.org/japanese/japanese.html

東京大学教授 ユビキタスIDセンター所長 坂村健氏
これが小型チップを読み取るコミュニケータの試作機。CF型の無線LANカードを装着しており、FOMAやPDCの通信機能も内蔵している
 非営利の業界団体、ユビキタスIDセンターは6月23日、凸版印刷、日立製作所、ルネサステクノロジの3社が製造する小型チップを同センター標準タグ準拠製品として認定し、これらのチップを使い、夏頃から農作物の追跡に関する実証実験を行なうことを発表した。

 今回チップが認定を受けた仕様は、小型チップに埋め込まれた情報を処理するための標準規格。凸版印刷、日立製作所、ルネサステクノロジは、このユビキタスIDセンターが定めた仕様に準拠したチップを製造する。この小型チップは搭載したモノに情報を埋め込み、ほかの機器と通信する機能を与える。すべてのモノがつながる「ユビキタスコンピューティング」には基礎的かつ非常に重要な役割を持つデバイスだ。

 今回認定を受けたチップは凸版印刷製の「T-Junction」、日立製作所 ミューソリューションベンチャーカンパニー製「ミューチップ」、ルネサステクノロジ製「eTRON/16-AE45X」の3製品。チップ単価は現在「数百円」のレベルだというが、2005年までには10円以下を目指す。いずれも915MHz、2.45GHzの電波を利用したRF-ID方式を採用。これらを商品に装着し、コミュニケータと呼ばれる通信機能とリーダ機能を組み合わせた専用端末で読み取るとチップに書き込まれた情報がコミュニケータで閲覧できる。さらに、チップに入りきらない詳細な情報は、コミュニケータから指定されたサーバーへインターネット経由で接続し、補足情報を閲覧できる。この通信はeTRONベースで行なわれるため、VPNのようなセキュアな環境が保てるとのこと。

 発表会では薬箱につけたチップを、CF型の無線LANカード、FOMA、PDCの回線指紋認証機能を組み込んだコミュニケータで認識し、「これは風邪薬です」と電子音でユーザーに知らせるというデモが行なわれた。

 さらに、今回発表されたチップを利用し、夏ごろから15年度いっぱいまで、YRPユビキタスネットワーキング研究所、よこすか葉山農業協同組合、京急ストア、東京大学坂村研究室が共同で生鮮食品にチップを付け、生産段階から個別認識・管理をする実証実験「食品トレーサビリティプロジェクト」を実施する。

 実験の目的は、O157、残留農薬、添加物の問題など、食物の安全性が脅かされている現状を背景に、生鮮食品の1つ1つにチップを付け、消費者側から生産者、および農薬の散布状況などがわかるようにすることだ。散布農薬のボトルなどにもチップを付け、使用した農薬と野菜を関連付け、さらに流通経路、販売店でも同様の作業を施すことで、生鮮食品の辿った道筋をさかのぼることができる。

 実験対象となる作物はよこすか葉山農協で作っているものすべて。チップは、野菜に貼るシールなどに組み込むことを考えているという。

側面にUSB端子、ヘッドフォン端子がある 本体背面には指紋認証センサーも

●東大坂村教授「世界標準は私たちが作る」

 東京大学教授でユビキタスIDセンターの所長を務める坂村健氏は、プロジェクトの説明において、「チップと端末の通信だけを研究しているところはほかにもあるだろうが、情報を格納するサーバーとの通信や、総合的な環境を考えて研究しているのはわれわれだけ」と語り、「世界的に注目を浴びている。コンピュータの世界ではデファクトスタンダードになるということが非常に重要だ」とした。

 事実、ユビキタスIDセンター T-Engineフォーラムの参加企業は180にものぼり、国内ではソニー、松下電器、NEC、シャープ、富士通といったメーカーやNTT、NTTドコモ、KDDI、J-フォンなど通信業者が、海外でもサムスン、サンマイクロシステムズなどそうそうたる顔ぶれだ。

 また、坂村氏は標準に定めた仕様について「チップ対コンピュータ、のように限定された枠組みではなく、トータルに動くシステムの中で仕様を決め、チップを認定した。これは非常に重要なことだ」とプロジェクトの意義を語り、「認定基準さえ守ってくれればどのメーカーが作っても通信できる」と自信を見せた。

 また、このようなユビキタスコンピューティングへの取り組みについて、「インターネットが解放されたのが1990年。世の中で広く使われるようになったのはつい最近のこと。(ユビキタスコンピューティングも)今日、明日にできることではなく、12、3年かかるだろう。ただ、実現されればそのインパクトはインターネット並み、あるいはそれ以上のものになるのではないか」と述べた。

 また、ユビキタスのあり方についても「オープンアーキテクチャーが基本。だれかがロイヤリティで莫大に儲ける、という形では(あらゆるものにチップを乗せるユビキタスは)普及しない。我々が仕様を決めたからといって市場を独占するつもりはない」と述べ、プラットフォーム作りが重要であるとの考え方を示した。

 さらに、「世界で一番進んでいるのは日本であり、我々の研究所だと自信を持っている。今日の発表会はイニシアチブをとっていきたいという決意表明のためでもある。世界標準は私たちが作る」と力強く語った。

今回のチップを導入した場合のイメージ 実証実験のイメージ

(2003/6/23)

[Reported by 伊藤大地]

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